超新星ザイオン・ライト
© Anthony Acosta / Red Bull Content Pool
スケートボード

【ザイオン・ライト】スケート界で最も力のある注目株!

今スケート界で一番勢いのある注目株、ザイオン・ライト。ストリート・スケーティングからハイレベルなトランジション・トリックまでなんでもこなすオールラウンダーとして知られる彼の生い立ち、動画まで一気に紹介!
Written by Matsui Hiroki
読み終わるまで:5分最終更新日:
アメリカ、フロリダ州のパーム・ビーチ出身のザイオン・ライト
  
スケートに興味を持ったきっかけは、クリスマスに兄がゲットした一本のスケートボード。楽しそうに滑る兄を見て自分の板が欲しくなった彼は親にねだったものの、“スケートボードは危険”という理由で買ってもらえなかった。というのも、当時彼はなんとまだ3歳。1年間スケートを欲しがり続けて、ついに自分の板を手に入れたザイオン少年。彼の生まれながらのスケート狂ぶりには驚かされるばかりだ。
  
4歳になってついに念願のスケートボードを手に入れた彼は、スケートパークに通い詰める日々を過ごす。ローカルのスケーターたちによる"手ほどき"を受けて驚くべきスピードで上達していき、地元の大会に出はじめたのが8歳の時。最初こそ結果を残せなかったものの、1、2年後には表彰台の常連になる程の実力者になっていた。
  
スケートコンテストに出場し始めたザイオンの活躍を影で支えた人物が父親だ。ある時、大きなスケートコンテストに出場することになっていたザイオンを現地に連れて行くために仕事を辞めてしまったこともあるという。
超新星ザイオン・ライト

超新星ザイオン・ライト

© Garth Milan/Red Bull Content Pool

ザイオンは当時を振り返りながら「父がいなかったら今の僕はいなかっただろうね」と言う。現在のザイオンの活躍の裏には父親の献身的なサポートがあったのだった。
  
そんなザイオンは、10代になると映像作家の友人たちと共にアメリカ全土を旅しながらライディングフッテージを撮影し、やがてスケーター界隈でその名が広まっていった。16歳の時にはフロリダからスケートの本場であるカリフォルニア州ロングビーチへ引っ越す決意をした。すべてはスケート仲間と共に暮らし、スケートボードに集中する為。
  
そして東海岸から西海岸へ活動拠点を移動してからわずか1年後、Boardr Amで2位、PHXAMでは優勝を果たし、一躍スケート界のワンダーボーイとして知られるようになる。
  
そんな彼をスケート業界が放っておくはずもなく、2018年にREAL skateboardsからプロへ昇格。そのとき発表されたのがこちらの動画だ。
ラッパー、Big Lのぶっといビートに乗せて繰り広げられる見所しかない4分半は、間違いなく2018年のベストパート候補のひとつだろう。2分52秒の特大f/s Big Spin(※1)、3分5秒の柵越えFrontside Flip(※2)、多彩なレールトリックの数々。挙げだしたらきりがないが、やはりエンダーのHalfcab b/s Smith Grind(※3、4)は別格の難易度と完成度だ。
  
このパートからも分かるように、スティーズなストリート・スケーティングのイメージが強いザイオン・ライト。実はトランジション・スケーティングも相当なスキルの持ち主だ。2018年にハンティントン・ビーチで行われたVans Park Seriesではペドロ・バロス、ジャガー・イートンをはじめとした錚々たる世界のトップライダーを抑え優勝を果たしている。
動画開始27秒後で見られる特大のAlley-oop f/s Indy Air(※5、6)、そしてその勢いをキープしたまま繰り出すf/s 540(※7)。会場の盛り上がりも最高潮に達し、極め付けのf/s Pop Shove It(※8)で完全に観客のハートをロックした。
  
彼のトランジション・スキルの高さを証明したこの大会は、ザイオン・ライト=次世代オールラウンド・スケーターという認知が全世界に広まるきっかけとなった。
超新星ザイオン・ライト

超新星ザイオン・ライト

© Ryan Taylor/Red Bull Content Pool

彼は言う。「常に新しいトリックに挑戦してるんだ。新しいことへのチャレンジは楽しいよ。うまくいかないこともあるけど、それを乗り越えることが新しいとこに挑戦することの醍醐味だと思う」
  
心の底からスケートボードを楽しむ姿勢とチャレンジを続ける精神に、ザイオン・ライトの活躍の秘密を見たような気がした。あっと驚くニュースを次々ドロップする彼から今後も目が離せない。
 
(※1)f/s Big Spin フロントサイド方向に体を180度回しながら、デッキを360度回すトリック
(※2 )Frontside Flip フロントサイド方向に体とデッキを180度回しながらデッキをキック方向にフリップさせるトリック
(※3)Halfcab フェイキースタンスからフロントサイド方向に体とデッキを180度回すトリック
(※4)b/s Smith Grind 背中側のレールやレッジに対してリアトラックをかけながらノーズを下に落とした体勢でグラインドするトリック
(※5)Alley-oop リップから飛び出しフロントサイド方向に体とデッキを180度回すトリック
(※6)f/s Indy Air 後ろ側の手でデッキの前側の中腹をグラブをしながらリップから飛び出すトリック
(※7)f/s 540 フロントサイドに540回転するトリック
(※8)f/s Pop Shove It フロントサイド方向にデッキを浮かせながら180度回転させるトリック
※本稿は2019年10月に執筆されたものです
  
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