Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
ついにその幕が切って落とされた「 Red Bull 5G 2015 」。5つのジャンル、5つのゲームによる東西対抗戦というオリジナルレギュレーションを掲げたゲーミングコンペティションは、2012年のスタート以来、実に4年目を迎えた。 東軍、西軍が雌雄を決するFINALSを前にまず行われるのは、東西各ゲームの代表を決定する地区予選。来週に控える東に先んじて、10月4日(日)、西地区代表決定戦が「 クラブピカデリー梅田大阪 」を舞台に開催された。 過去3年のファイナリスト達も様々なジャンルで参加した西予選。熱戦の模様をレポートする。
Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
会場となった「クラブピカデリー梅田大阪」は、大阪を象徴する映画館として長年親しまれて来た「梅田ピカデリー」が昨年リニューアル。今や梅田エリア最大級のクラブとして広く知られる会場内には、「 FIGHTING 」「 PUZZLE 」「 MOBA 」「 FREE 」4ジャンルのブースがエリア分けして設置された。 通常のゲーム大会とは一線を画す空間演出は「Red Bull 5G」ならでは。“ゲーミングシーンに翼を授ける”というミッション通り、参加者のテンションはブチ上がりだった。
Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
FIGHTINGジャンル - 輝ROCK(テルロック) © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
この日行われた4ジャンルのうち、最初にファイナルを迎えたのは「FIGHTING」ジャンル、採用タイトルは「DEAD OR ALIVE 5 Last Round (PS4)」。
これまでRed Bull 5GのFIGHTINGジャンルと言えば、鉄拳やウル4といったメジャータイトルが毎年選ばれていたが、今年はPS4でFREE TO PLAYが可能という点から選出された「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」。
待望の採用に熱烈なDOA勢が集結したトーナメントは、“レイファン”使いの「輝ROCK」と、“かすみ”使い「ライナーバック」の二人がファイナルまで勝ち上がった。実力伯仲、拮抗したファイナルは紙一重の攻防となったが、第1ラウンド3-2、第2ラウンド3-2と接戦を制する勝負強さを見せた「輝ROCK」が、ファイナルスコア3-0で完勝。東西通じて今年最初のファイナリストの座を射止めた。「輝ROCK」の特長はプレーのレベルもさることながら、目を引くのがパンプアップされた上半身。まんま格ゲーキャラかと見紛うような上腕二頭筋はFIGHTINGジャンルの西地区代表に実に相応しいが、「Red Bull 5Gの舞台に緊張してしまい普段はやれるプレーが思うようにできなかった。
FINALSはもっと大きな会場だけにその辺りの対策が重要。」と殊勝に語った「輝ROCK」。それでも「格ゲーの中ではマイナーなDOAがタイトル採用されたコトが嬉しかった。数多ある格ゲーの中でも人間味や性格が最も出やすいのがDOAの魅力。FINALSでは観てくれる人の印象に残るようなプレーをしたい。」と胸を張った。
PUZZLEジャンル - milk2(ミルクツー) © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
続いてファイナルを迎えた「PUZZLE」ジャンルのゲームタイトルは、全ジャンルの中で最も早く発表されたご存知「ぷよぷよテトリス」。昨年はぷよぷよとテトリスそれぞれの地区代表を決定し、その二人がタッグを組んで東西対決するというレギュレーションだったが、今年は「スワップモード」が採用された。
交互にゲームが入れ替わるスワップモードは、ぷよぷよだけでもダメ、テトリスだけでもダメという、プレーヤーにとっては実に厄介なシロモノだが、それゆえ新たな刺激にハマるプレーヤーも続出、ぷよ勢もテト勢も自分の苦手な方を鍛錬して大会へと挑んだ。
迎えた西地区代表決定戦で戦前から優勝候補に挙げられたのは、昨年のテトリスの東地区代表で、テトリスの実力は宇宙一とも謳われる“最強の怪物”「HBM」。事実、昨年のテトリス西地区代表でFINALSでは辛酸を舐めさせられた“徳島からの嚆矢”「せーは」をブロック2回戦で撃破、リベンジに成功すると、その後も圧勝の連続でファイナルへと進出。東西越境とは言え、2年連続ファイナリストの座は安泰かと思われた。
しかし、その「HBM」をファイナルでマクリ上げたのが、大阪テト界からの刺客「milk2」である。もうひとつのブロックを勝ち上がった「きり」を加え三つ巴戦で行われたファイナルは、第1試合で「HBM」と「milk2」が激突。第1ラウンドを3-2で「HBM」が勝利すると、第2ラウンドは同じく3-2で「milk2」、第3ラウンドを3-1で「milk2」が連取すると、第4ラウンドを同じく3-1で「HBM」が取り返す白熱の展開。両者プレー中の舌戦も熱を帯び、見守る観客のボルテージも最高潮に高まったが、大接戦を最後に制したのは「milk2」。最終ラウンドを3-1でモノにし、見事“怪物超え”を果たした。続く「きり」との対戦も3-0で制した「milk2」は文句ナシの西地区代表に決定。
昨年、東京・秋葉原で行われた「Red Bull 5G 2014 FINALS」をわざわざ大阪から観戦に訪れていたという「milk2」は、「去年のFINALSを現地で観て、来年は絶対あの舞台に自分が立ちたいと強く思った。テトリスでは足元にも及ばないHBMさんに勝てたのはRed Bull 5Gに賭ける執念です。」とインタビューには謙虚にコメント。“怪物越え”という大きな看板をぶら下げた「milk2」が悲願のFINALSへと駒を進めた。
Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
FREEジャンル - 畜生会タワーフォール部 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
昨年のファイナリストが敗れるというPUZZLEジャンルの衝撃が残る中、続いて行われたのは「FREE」ジャンルのファイナルだったが、敗れ去る者がいれば復権する者がいたのも今年の西地区代表決定戦である。
FREEジャンルの採用タイトルは2人1組で対戦する「Towerfall Ascension」だが、昨年の「バイキングぽいぽい」よろしく、「Red Bull 5G」のFREEジャンルと言えば、その目的は参加のハードルを下げ、裾野を広げるコトに他ならない。やったら楽しいが大会はない、つまり熱心なシーンがないゲームタイトルを敢えて採用し、誰もがフラットな条件でスタートできるジャンルを作ろうというのがその主旨であるが、過去の様々なジャンルのファイナリスト達がまんまと参戦して来て、まんまと敗退したりするのだから面白い。今年も自分の専門ジャンルやゲームタイトルが採用されなかった“ロス勢”が大挙集結、昨年の「FREE」ジャンルの東西代表を筆頭に、「RACING」や「FPS」のファイナリスト達がそれぞれのタッグを組み、短期間で「Towerfall Ascension」をやり込んで来た。
FREEジャンルの面白いところはそもそもそのゲームのスペシャリストがいないという点。それゆえアップセットも起こりやすく、過去に「SPORTS」と「FREE」で2度のFINALS勝利を経験している「jengaman」が1回戦でコロッと敗退するなど、全く予想のできない中トーナメントは進行した。
迎えたファイナルは「アスカリレッドタイムズ」と「畜生会タワーフォール部」の対戦となったが、その中身は西地区を代表する「RACING」ジャンルの猛者たち。そう、FREEジャンルに出場する時は、ネーミングが適当になりがちなのである(笑)。特にファイナルを制した「畜生会タワーフォール部」はと言うと、その実RACINGジャンル2012-13と2年連続ファイナリストの「kh」、そして2014のファイナリスト「アユム」がタッグを組んだチーム。今年は「Red Bull 5G」史上初めてRACINGがジャンル採用されないという、彼らにとっては不遇の年であるかも知れない。
しかし勝利後のインタビューで「この1年は長かった。ようやくファイナリストに戻って来るコトができました。」と「kh」が語ったように、自分の専門ジャンルがなくても参加できるのが「Red Bull 5G」のひとつの側面であり、短期間のやり込みによってはファイナリストになれてしまうのがFREEジャンルなのである。RACINGではないコトに甚だ違和感はあるが、「kh」と「アユム」が西代表に内定。何しろFINALSという特殊な舞台の経験者である2人がいるコトは、団体戦という特殊なレギュレーションのFINALSに向けて、西にとっては間違いなくプラスの要素である。
Red Bull 5G 2015 西代表決定戦 © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
MOBAジャンル - Assault(アサルト) © Jason Halayko/Red Bull Content Pool
この日行われた4ジャンルのうち、最後にファイナルが行われたのは「MOBA」ジャンル。MOBAとは「Multiplayer Online Battle Arena」の略、コンピューターゲームにおけるリアルタイムストラテジーのサブジャンルであるが、「Red Bull 5G」では今年初めてジャンル採用された。
MOBAジャンルの新設に関して大会アドバイザーの松井悠氏は、「これまでPlayStationや、Nintendo Wii、Xbox 360など家庭用ゲームのプラットフォームのみで開催して来たが、コンピューターゲームユーザーにも門戸を開きたかった。」と語る。
その記念すべき初年度のゲームタイトルに採用されたのは、アーケードで人気を博すシリーズのPCオンライン版「LORD of VERMILION ARENA」。レギュレーションとしてポイントになったのは、通常行われる7人対7人や5人対5人ではなく、3人対3人という珍しい形式を採用した点である。結果から言うと、西地区代表決定戦を圧勝したのはMOBA界では広く知られる「Assault」の3人。
「Assault」と言えば、先日「東京ゲームショー」で行われた「LORD of VERMILION ARENA」の公式大会「LoVA Challenge Cup」で、準優勝という好成績を収めたチームであるが、その際のレギュレーションは5人対5人。3人対3人で行われる「Red Bull 5G」について、主要メンバーのひとり「神速三段突き」はこう語る。「7vs7や5vs5に比べて、個人の能力が最大化されるのが3vs3。個人の能力の上に、チームプレーがある。Assaultはシーンの中でも個人能力が優れたプレーヤーが揃ったチーム。在籍8人の中でも最強クラスの3人で組まれた今大会は、3vs3のルールで行われる限りどこにも負ける気がしない」。当然のコトながら、チームで戦略を立てて戦うのがMOBAの大きな特徴ではあるが、それ以前に個々の力と、メンバーに対する信頼が、勝利に繋がるというのが、どうやら「Red Bull 5G」レギュレーションでのポイントとなりそうである。
ゲームジャンルの枠を超えて5つのジャンルの団体戦として行われるFINALSに向けて、「MOBAジャンルに関しては西代表の確勝を約束する。他のジャンルのメンバーが伸び伸びと戦えるようにチームに貢献したい」と断言する「Assault」。何とも頼もしいメンバーが西代表に加わった。