ミュージック

ジョルジョ・モロダー:ディスコサウンドの秘密

ディスコミュージックの王であり、最近はDaft Punkとのコラボレーションも話題となったジョルジョ・モロダーがディスコサウンドの秘密について語った。
Written by Hank Shteamer
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Giorgio Moroder

Giorgio Moroder DJ set

© Christelle de Castro/Red Bull Media House

モロダーはDonna Summer、そして映画『スカーフェイス』に代表される数々のサウンドトラックの制作で知られており、ディスコミュージック、そしてダンスミュージックの大御所として知られているが、ここ最近は Daft Punkのニューアルバム『Random Access Memories』へ参加し、大きな話題を提供している。
現在ニューヨークで開催されている Red Bull Music Academyにて初のDJセットを披露したモロダーを捕まえ、ダンサブルなディスコサウンドの秘訣などについて話を訊いた。
優れたディスコサウンドに欠かせない要素とは何でしょう?
ディスコサウンドにはいくつかルールがある。まずはは「4つ打ち」でなければならないということで、各拍にキックを入れなければならない。また裏に入ってくるハイハット。そして8分(音符)か16分(音符)で鳴るベースラインだ。メロディーはシンプルだったり、複雑だったり曲ごとによって異なる。例えば“Last Dance”は非常に複雑な曲だし、“Love To Love You Baby”はシンプルだ。
あなたの初期作品はディスコスタイルではありませんでした。こういうディスコサウンドの手法が自分なりに理解できるようになったのはいつでしょうか?
私が最初に4つ打ちを用いた曲は“Love To Love You Baby”だったが、作った時は「音楽的に正しくないからこのような曲は作ってはいけない」と思っていた。しかし、実際にレコーディングしてみると、「かなり良いぞ。他の楽曲よりもダンスできる」と感じることができた。最初は乗り気じゃなかったのだ。しかし、これ以降はこの手法を用いている。
ディスコブームの終わりを感じた時のことを憶えていますか?
ああ、確か1980年、1981年頃だったと思う。私がDonna(Summer)と制作したアルバム『The Wanderer』があまり売れなかった。単純に内容が他のアルバムより劣っていたという部分もあるだろうが、所謂ディスコサウンドがラジオから消えていっていたのは確かだった。
その後、Daft Punkなどに代表される新しい世代のディスコサウンドが生まれてきました。彼らとは今回のアルバムでコラボレーションもしていますね。所謂オールドスクールなディスコサウンドの復活に気が付いたのはいつですか?
シーンに大きな変化をもたらした最初のトラックは、David Guetta がKelly Rowlandをフィーチャーした“When Love Takes Over”だろう。あれがラジオで初めてプレイされたダンスミュージックのひとつだったと思う。このトラック以降、ラジオでプレイされるトラックの約50%がダンスミュージックに変わった。ポップミュージックはダンスミュージックを意味するようになったんだ。
Giorgio Moroder

Giorgio Moroder

© Christelle de Castro/Red Bull Media House

最高だと思えるシングルはどれですか?
“Love To Love You Baby”は私にとって初のメジャーヒットだった。このトラックによって私のキャリアが開かれ、Donna Summerが生まれ、私たちは瞬く間にナンバーワンとなった。そういう理由から私はこのトラックが一番気に入っている。また、音楽のすべての要素が盛り込まれているという意味では “Flashdance… What A Feeling”だろう。メロディーと歌詞が素晴らしいし、アレンジも良く練られている。またIrene Caraも映画に合うような見事な歌声を披露してくれた。そして結果的に映画もヒットして、ブームも生まれた。そういう意味で、このトラックはサウンドトラックとして素晴らしいというだけではなく、所謂音楽として大きな成功を収めた曲と言えるだろう。
音楽の世界だけではなく、カルチャーにも影響を与えるような音楽が良いと?
そうだ。例えば“Love To Love You Baby”は世間で議論を巻き起こしたが、多くの女性から支持されることになった。彼女たちはようやく解放されたと感じることができたのだ。彼女たちはノーだと思う時はノーと言って良いのだと感じることができたのだ。数多くの女性からそういう感想を言ってもらった。
Red Bull Music Academyは5月末日までニューヨークで開催中。