みなさんは3Dプリンターを触ってみたことはありますか?
紙に印刷する普通のプリンターと違って、3Dデータをもとにして立体のオブジェクトを作るマシン。それが3Dプリンターです。ニュースなどで見かけたことはあっても、実際に使ってみたことがある人はまだまだ少ないかもしれませんね。
3Dプリンターはこのように、溶かした素材を下から一層ずつプリントして、立体物を作り上げていきます。
複雑な形のモノでも簡単に作れるんです。
自由にモノを作り出せるなんてとてもワクワクするし、僕は3Dプリンターがめちゃくちゃ欲しい。
でも、本格的な3Dプリンターとなると本体価格だけで数十万円、廉価版でも数万円の出費になります。立体物をつくる材料のフィラメントも決して安くはありません。
そこで僕は思いつきました。
「100均グッズだけで3Dプリンターを作れば安上がりじゃん!!!」
というわけで店内を物色して、3Dプリンターを自作するための部品を買い揃えました。
買ったものは以下のとおり。
板材・メッシュBOX・暗記用下敷き・ホットボンド・電動消しゴム・プチ電車・クリアボビン・竹製編み棒・ステレオイヤホン・LEDライト・クリップ・金折隅金・ガスレンジガード、などなど。合計4000円くらいでした。
モーターが内蔵されている電動消しゴムを4つ使い、3Dプリンターの動力を再現します。先っぽの消しゴム部分には、裁縫で使う糸を巻くためのボビンを付けてあります。右にあるのはスイッチです。電車のおもちゃに使われていた金属板を使用しました。
ちなみに、配線はイヤホンケーブルで行っています。
黄色のプラスチックケースを土台にして、動力パーツを付けていきます。
モーターの威力が弱いので、動力部に関しては試行錯誤して何回も構造を変えました。
そしてついに……
100均グッズだけで作った3Dプリンターの完成です!!
どちらが本物の3Dプリンターか、あなたにはわかりますか?
「で、その自由研究みたいな3Dプリンターはどうやって使うの?」とツッコまれる前に、このマシンの仕組みを説明していきましょう。
こちらは「ホットボンド」と呼ばれる熱で接着剤を溶かす工具。
これを吊るして、溶かした接着剤を垂らします。3Dプリンターもフィラメントを熱で溶かして立体物を作るので、仕組みはだいたい同じです!
「ごめんなさい、ただのゴミにしか見えません」と思った人のために、次は動きについて説明します。
手前にある4つスイッチで、それぞれの電動消しゴム(モーター)を操作します。左の2つは縦の移動、右の2つは横の移動になっています。
完全にアナログですが、これなら吊るしたホットボンドを好きな場所に垂らせます。
左のスイッチでホットボンドが左右に動いて……、
右のスイッチで土台が前後に動きます。
ちなみに、100均で購入したエリーちゃんを付けると……
よく回ります。
この3Dプリンターの仕組みが理解できたでしょうか?
簡単に言うと左右と前後の動きを組み合わせることによって、上から垂れてくるホットボンドの位置を自由に操作できます。
出来上がったら冷めるのを待ち、土台から剥がします。
で、これ何?
最初なのでゴミみたいなモノが完成してしまいましたが、次は裏技を使ってちゃんとしたモノを作りましょう。
まずは、プラ板で作った型を土台に置きます。
型の中に、白いホットボンドを隙間なく垂らしていきます。
出来上がった(かなりボコボコな)立方体に……
黒のホットボンドを垂らせば……
サイコロの完成です!
出る目に偏りがありますが、ちゃんと使えます。
次はスマホケースを作ってみたいと思います。
スマホケースを持ってないので、落としたらどうしようといつもドキドキしていたんですよね。
そんな時、3Dプリンターなら自分の好きな形のスマホケースを生み出すことができるんです!
スマホをホットボンドの下にセットし、スマホに直接ホットボンドを垂らして作ります。
(※ホットボンドは高熱のため、スマホが壊れる可能性があります。マネしないでください)
できました!!
スマホに対するアンチテーゼを表現した現代アートみたいになってしまいましたが、ホットボンドは固まると少し弾力を持つので、落とした時の衝撃もちゃんと吸収してくれそうです。ちょっと心配だけど。
ケースのついでに、ウサギ型のイヤホンジャックアクセサリーも作りました。
もう既製品には頼らない。これからは「ないものは自分で作る時代」。
さて、この「100均3Dプリンター」の実力はお分かりいただけたと思います。
最後に、エリーちゃんの洋服を作ってあげましょう。今のこの格好だと寒そうだし。
オシャレな服を作って、エリーちゃんに喜んでもらいたい。
「もうすぐ30になる男が何してるんだ」と不安になりながらも、懸命に洋服をデザインしていきます。
かなり時間がかかりましたが、なんとか形になりました。
これをエリーちゃんに着せてあげれば……
レディー・ガガになりました。
レディー・ガガが、第52回グラミー賞の授賞式に出席した時の衣装です。
「知らんがな」という、みなさんの心の声が聞こえてきました。
こちらがグラミー賞授賞式の時のレディー・ガガ。本当にちょっと似てませんか?
ちなみに、ガガになったエリーちゃんも……
よく回ります。
いかがだったでしょうか?
100均グッズだけでも、頑張れば3Dプリンター(もどき)を作ることができました。なんでも挑戦してみるものですね。
でも本音を言えば、本物の3Dプリンターが欲しい。
だって、ショボいものしか作れないから……。
(おわり)
マンスーン
「ハイエナズクラブ」や「オモコロ」などで記事を書いています。理系大学出身をまったく生かせていない低い技術力で役に立たない電子工作をしたり、B級映画のVHSテープを収集したりしています。Twitter ID:@mansooon
(記事編集:ノオト)