強風が吹くパタゴニア
© Mark Shenley/stillpictures
探検

風が最も強い場所 7選

南極からエベレストまで、強風のスポットを紹介する。
Written by Josh Gale
読み終わるまで:5分Published on
風速が時速225km/hを超えるエベレスト

風速が時速225km/hを超えるエベレスト

© Dan Rafla/Aurora

風という存在は、帆を張ったり、風力タービンを回転させたりと自分たちの助けになる一方で、結婚式のレセプションのテントを吹き飛ばしたり、髪型が崩したりと邪魔になることもある。世界には風が強い場所が存在するが、果たして何が原因なのだろうか? 今回は専門家たちに話を聞き、世界で最も風の強いスポットを紹介してもらった。
01

1:エベレスト(写真上)

場所:地球最高峰
特徴:高速ジェット気流
風力:10
「世界最高峰では強風に見舞われる」 − これはなんとなく理解できるのだが、その原因は何なのだろうか? Red Bull X-Alpsのアスリート、ホンザ・レマネックは次のように解説する。「エベレストの標高は9000m近い。この高さになるとジェット気流が流れている。これが原因だ」
「ただし、ジェット気流は流動的なので、頂上で風が吹かない穏やかな天候に恵まれる時もある。5月はジェット気流が弱まるというデータがあるので、この時期に登頂を目指す人が多い」
ワシントン山の風に立ち向かう

ワシントン山の風に立ち向かう

© Jose Azel/Getty Images

02

2:ワシントン山

場所:米国・ニューハンプシャー州
特徴:不安定で危険な天候
風力:10
この山ではかつて強風の世界記録を生んだ。この山は1934年に風速370km/hを記録したが、2010年にオーストリラリアのバロー島で風速405km/hが記録され、世界記録更新となった。
気象学者で山岳の天候に詳しいクレメンス・トウシュ(UBIMET)は、ロケーションが強風の原因だとしている。
「ワシントン山はホワイト山地の最高峰で、嵐が発生しやすいのです。西からの風がこの山にぶつかり、海岸からの低気圧の影響も受けます。また、北の冷気と南の暖気がぶつかる場所でもあります。すべてが組み合わさることでハリケーン級の強風が年に何回も記録されるのです」
トラヴィス・パストラーナが挑んだワシントン山のヒルクライムはこちら。

1分

The Defi Wind is the biggest windsurf race ever

The Defi Wind is the biggest windsurf race ever

03

3:グリュイッサン

場所:南フランス・オード
特徴:Defi Wind開催地
風力:7
風は時として味方となるが、ウインドサーファーにとってもそれは同じだ。強風は彼らを魅了するが、プロウインドサーファー、ジェイソン・ポラコウは、ウインドサーフィンにおける世界最高の強風を提供してくれるスポットのひとつがグリュイッサンだと考えている。
「Defi Windに参加したばかりだけど、瞬間風速は時速145km/hを記録した。ここはウインドサーフィンシーン屈指の強風が吹くスポットのひとつだと思うよ」
ピストル・リバーに挑むリーバイ・シバー

ピストル・リバーに挑むリーバイ・シバー

© [unknown]

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4:ピストル・リバー

場所:米国・オレゴン州
特徴:ウインドサーフィン向き
風力:7
オレゴン州カリー・カウンティに位置するピストル・リバーはビッグジャンプを求めるウインドサーファーにとっては最高のスポットだ。その風の素晴らしさから毎年6月にAmerican Windsurfing TourのPistol River Wave Bashが開催されている。
Red Bullアスリートのウインドサーファー、リーバイ・シバーはこのスポットへの愛を次のように語る。「ピストル・リバーは大好きなスポットのひとつだよ。人里離れていて美しいからね。ここの冷たく荒い海を扱えるアスリートの数は少ないけれど、美しい景観だけでも行く価値がある。この写真は僕がウインドサーフィンのジャンプの世界記録に挑んだ時のものだ。僕と海だけさ。最高のセッションだったよ」
強風が吹くパタゴニア

強風が吹くパタゴニア

© Mark Shenley/stillpictures

05

5:パタゴニア

場所:南米大陸南部
特徴:吠える40度
風力:9
南米大陸南端に位置するパタゴニアは強風で有名だ。ホンザ・レマネックが説明する。「南緯40度から70度にかけての南半球は基本的に海に囲まれている。タスマニア、パタゴニア、南極半島とごくわずかな島をの除いてね」
「この一帯は南下するほど西からの風が強くなっていく。緯度順に “吠える40度”、“狂う50度”、そして “絶叫する60度” と呼ばれている。ホーン岬は南緯56度で、ドレーク海峡の北側に面している。この一帯の風は非常に強いけれど、南米大陸の南端に風が集まっていくので、その付近の風は更に加速するんだ」
南極の風に晒されるペンギン

南極の風に晒されるペンギン

© Michael Nolan/Getty Images

06

6:南極大陸

場所:地球の南端
特徴:冷たい滑降風
風力:10
南極大陸は、風を弱める陸塊が存在しないため、地球最強の風が生み出される。コモンウェルス湾ではオーストラリア人探検家ダグラス・マウソンが時速318km/h以上の風と対峙した。
「分厚い氷床があるので、南極点は標高約2800mにせり上がっている。この氷床は海岸に向かって下がっているが、この冷たい斜面が滑降風を生み出す。斜面が長ければ風速は秒速25m/sを超え、風が収束する地点では更に強くなる」
カンザス州の竜巻街道

カンザス州の竜巻街道

© Jim Reed

07

7:竜巻街道

場所:米国・竜巻街道
特徴:強烈な竜巻
風力:10
『オズの魔法使い』のドロシーはラッキーだった。当然ながら米国の竜巻街道の現実は厳しい。この周辺の住民は地下にシェルターを用意している。