オーランド・マジックのPGコール・アンソニーのようなNBAで活躍するプロバスケットボール選手はハードワークが必要なことを認識しており、「このレベルでプレーするために僕がどれだけの努力と犠牲を重ねているのかを皆さんに知ってもらいたい」と語っている。
レギュラーシーズンではフィットネスが重要だが、プレーオフでもそれは同じだ。2022年のNBAファイナルズのゲーム6でボストン・セルティックスのジェイレン・ブラウンは44分出場・35ポイントを記録した。このレベルを維持するためにブラウンは徹底的な食事・栄養管理で体脂肪率を下げながら、有酸素運動とウエイトトレーニングを定期的に行っている。
5人制あるいは3x3でも、スキルアップを目指しているならそのためのドリルに重点的に取り組めば良い。しかし、強靭な肉体を手に入れたいなら以下のエクササイズに取り組むのが良いだろう。
01
シャトルラン
シャトルランはスペースさえあればどこでもできる。バスケットボールのコートでやるなら、まずはベースラインからフリースローラインまでをダッシュで往復して、次にハーフコートまでダッシュで往復する。
そのあと逆サイドのフリースローラインまで往復したら、最後にベースラインからベースラインまでを往復する。これで1セットだ。フルサイズのコートが近くにないなら、公園などで同じ距離を確保してやってみよう。
最高の結果を得たいなら、1日10〜15セットを週3〜4日行うべきだ。また、1セットを35〜40秒で終わらせよう。シャトルランはフィットネス面で複数の恩恵が得られるが、一番大きな恩恵はコートを走り回れるスタミナがつくことと瞬時の方向転換ができるようになることだ。
02
フルコート・パートナースプリント
このエクササイズはパートナーとスペースがあれば行えるが、スペースがバスケットボールコートならベストだ。
まず、パートナーと並んでベースラインに立つ。次にどちらかが逆サイドのベースラインまでダッシュして、ベースラインにタッチし、スタートしたベースラインまでダッシュで戻ってくる。ここでカギになるのは最初から最後まで全速力でダッシュすることだ。
そのあともうひとりが同じダッシュをする。ひとり10〜12本を1セットとして3セット(セット間の休憩5分)行おう。こちらもフルサイズのコートが近くにないなら、公園などで同じ距離を確保してやってみよう。
フルコート・パートナースプリントは攻守の切り替えとファストブレイク(速攻)の耐性をつけるために効果的だ。
03
17(セブンティーン)
17はバスケットボールのコンディション調整に必須のエクササイズで、ひとりでもチームでも行える。
基本的にはサイドラインからサイドラインへのダッシュだが、70秒以内に17本ダッシュすることが目標になる。これを1セットとして3セット(セット間の休憩3分)をこなそう。このエクササイズはダッシュのスピードアップに役立つ。
尚、バリエーションとして17・13・6がある。このバージョンの1セット目は70秒以内で17本のままだが、2セット目までの休憩時間が60秒に短縮される。次の2セット目は13本だが制限時間が45秒に短縮され、2セット目終了後の休憩時間は45秒になる。そして最後の3セット目は6本を30〜35秒で完了させなければならない。
04
バーベル・ミリタリープレス
このエクササイズにはバーベルかダンベルが必要だ。バーベルを使用する場合は、立ったままバーベルを持ち、バーベルを目線の少し下にセットして、肘を伸ばしながら真上に挙げて元の位置へ戻す。ダンベルを使用する場合も基本的な動きは同じだが、両手に持ったダンベルを同時に動かすことを意識しよう。
10〜12レップを3セット行おう。ミリタリープレスは主に肩に効果があるが、上半身全体を鍛えることができる。
バスケットボールでは肩の筋肉がシュートに大きな影響を及ぼす。ミリタリープレスを続けていけば、疲れてくる試合終盤にもディープを放てるようになるだろう。また、ドリブルとリバウンドで対戦相手と肩が触れ合うときがあるが、強靭な肩を手に入れておけば、当たり負けしなくなる。
05
インクラインプレス
このエクササイズではワークアウト用ベンチとバーベルまたはダンベル2個が必要になる。傾斜をつけた(インクライン)ワークアウト用ベンチに座り、ウエイトを持って肘が完全に伸びるまで垂直に持ち上げたあと胸につくまで戻す。これを1レップとして10〜12レップを3セット繰り返そう。
インクラインプレスのウエイトを持ち上げる動きはシュートレンジを伸ばすのに役立つ。疲れてくる試合終盤でもシュートを打ち続けられるようになるはずだ。また、フォワードとセンターはリバウンドをより多く取れるようになる。
06
ウエイテッド・スクワットジャンプ
スクワットジャンプは下半身の筋力強化に最適なエクササイズのひとつだが、これにダンベルを加えるのがこのエクササイズだ。
ダンベルを片手にひとつずつ持ち、両手を体側に揃えて膝と尻のラインが床に対して水平になるまで膝を曲げていく。そのあとは一気に両脚を伸ばしてできる限り高くジャンプする。1セット30秒を5セット繰り返そう。
当然ながら、ウエイテッド・スクワットジャンプはジャンプ力の強化に大きく役立つ。また、リバウンドやダンク、ショットブロックの向上にも効果的だ。
07
デッドリフト
デッドリフトは最も基本的なパワーリフト系エクササイズのひとつで、腰、背中、尻、ハムストリングの筋肉の強化に効果的だ。デッドリフトを行うためにはバーベルかウエイトが必要になる。
目の前の床にバーベルを置き、両足を肩幅に開いて立つ。次に腰から曲げてバーベルを持ち、背中を真っ直ぐ伸ばしたままバーベルを持ち上げる。この時点で両脚の付け根あたりにバーベルを持ったまま直立していればOKだ。最後にまた腰から曲げてバーベルを床に戻す。最高の結果を得るためには体重の約1.5倍のウエイトで最低6レップを3セット繰り返そう。
デッドリフトはバスケットボールのジャンプ力と走力の向上に効果的だ。デッドリフトはコンパウンドエクササイズ(多関節運動)で、5種類以上の筋肉に刺激を入れられるため、より速く走り、より高く飛ぶために必要な柔軟性と股関節屈筋の強化に役立つ。
08
食事・栄養
健康的な食事がフィットネスの維持には重要だ。食事は身体の動力源になる。バスケットボール選手なら、炭水化物でエナジーを確保し、タンパク質(プロテイン)で筋力を増強したい。理想としては1日に数回フルーツと野菜をしっかり食べつつ、全粒粉、魚介類、豆類も欠かさないようにしよう。
バスケットボールではハードなトレーニングが欠かせないので、食事回数を1日4〜5回に増やし、さらに軽食も1〜2回食べよう。軽食はトレイルミックスやヨーグルト、フルーツ、エナジーバーなどが理想的で、練習や試合の前後に食べたい。また、摂取する脂肪量をなるべく低く抑えることも重要だ。
09
休息
バスケットボール選手には休息も必要だ。週1〜2日は休息に充てて、トレーニングからの回復に努めよう。休息によってハードワークで傷ついた筋肉を修復し、減ったエナジーやグリコーゲンを回復することができる。また、休息は怪我や疲労、うつに繋がるオーバートレーニングの回避にも役立つ。
10
まとめ
ある程度健康的なコンディションが維持できている人なら、上記のエクササイズを定期的に行えば6〜8週間で “バスケットマン” になれるだろう。正しい器具や設備があり、集中も高まるのでジムやコートで行うのがベストだが、自宅や公園でも十分に鍛えられる。
得意なポジションがどこであろうとも、どのようなスキルを身に付けていようとも、フィジカルが向上すればそれらも合わせて向上するだろう。
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