鬼塚雅
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スノーボード
【鬼塚雅はなぜ強い?】アスリートたちが語る自分流の闘い方
世界中から絶大な注目を集める女子スノーボード・スロープスタイルの鬼塚 雅。彼女はいかにしてそのパフォーマンスを異次元のレベルへと昇華させるのか?(素顔にも迫る一問一答インタビュー)
Written by Ryo Tajima
読み終わるまで:6分Updated on

◆鬼塚 雅

スノーボーダー、鬼塚 雅。1998年10月12日生まれ、熊本県出身。
スノーボーダー、鬼塚 雅。1998年10月12日生まれ、熊本県出身。© Hikaru Funyu
日本女子スノーボードシーンにおいて、今もっとも大きな存在感を持つと言っても過言ではない。鬼塚 雅は、スロープスタイルのトップボーダーとして、日本に止まらず世界を代表するアスリートの1人になっている。
2020年1月のX Games Aspenではキャブダブルコーク1260を女子では世界で初めて実戦で着地するといった大技を決め、ビッグエアのシーンにおいても大活躍。
常に自らの課題を見つけ、それを克服しながら、さらなるチャレンジを続ける鬼塚 雅。そのパフォーマンスの裏側にあるのは、どのような思考か。その源流にある姿勢に迫る。
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅© Hikaru Funyu

◆研究熱心かつストイックな姿勢

Q:(最高のパフォーマンスを引き出すための)目標設定の方法は?
「大きな目標を作って、それを達成するために何が必要かというところから小さな目標を考えて階段状にしていくと、自分がどこまで目標をクリアできたかがわかるし、立ち位置がどこなのかがわかります。目標設定をいっぱい作って、積み上げるようにして大きな目標に向かっていくという考え方も楽しいかなって」
Q:ここイチバンの勝負で(最高のパフォーマンスを引き出すために)思い浮かべることは?
「自分がやる技の注意すべきところのことしか考えていないですね。バックサイドとかだったら、回し始めちゃうポイントを注意してやろうとか、空中でしっかりひねりを入れるとか、気をつけるべきところを頭の中に思い浮かべています」
鬼塚雅
鬼塚雅© Maruo Kono / Red Bull Content Pool
Q:ここイチバンの大舞台で(最高のパフォーマンスを引き出すために)緊張を和らげるコツは?
「どちらかと言うと緊張するタイプなので、“やるぞ!”ってモードに入るために、しっかりとウォーミングアップしていきます。そこで緊張がほぐれてスイッチが入っていくような感覚がありますね」
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅© Hikaru Funyu
Q:失敗したときや落ち込んだとき(最高のパフォーマンスを引き出すために)行う対処法は?
「考えてもわからないことは考え過ぎても良くないんですよね。失敗に対して落ち込むことももちろん大切ですけど、ひとしきりガックリした後は次の目標を向くようにしています。あんまり気にしすぎると執着に変わっちゃうので、そうなる前にダメだったなって思い出で終わらせちゃうんです。とは言っても、私も後ろを見がちで、けっこう引きずっちゃうんで、すぱっと切り替えられるように頑張ります! 」
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅© Jason Halayko / Red Bull Content Pool
Q:理不尽な環境下でも(最高のパフォーマンスを引き出すために)平常心を保つ秘訣は?
「好きな漫画で『理不尽なことも自分の実力不足だ』といった台詞があるんですけど、それが心に残っていますね。理不尽だって周りのせいにして終わりにしてしまうのではなく、人のせいじゃなくて、それも自分の中の何かを磨く良い機会にするようにってことを心がけていますね。でも、ついつい“なんでだよ! ”とか言っちゃうこともあるんですけど(笑)」

◆いかなるときも自己管理を第一に!

Q:(最高のパフォーマンスを引き出すための)ストレス発散方法は?
「元WBC世界フェザー級王者のプロボクサー、粟生(粟生隆寛)さんは友人なんですけど、ボクシングを教えてくれるって仰ってくれたので、始めたボクシング。やってみると、やっぱり気持ち良くてスッキリしますね。やっているときは無心になれるし、かっこいいです!」
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)遠征へ必ずもっていく意外なモノは?
「あんまり意外じゃないですけど、好きなプロテインバーがあって、それを練習中の携帯食用に持っていっています。どんなときでもサッと食べられるので、海外での練習には欠かせないし、ある程度激しく動いても形がすぐに崩れないので、持ち運びしやすいのが好きです」
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すための)休日の過ごし方は?
「休日にどれだけ回復できるのかが勝負です。パッと気持ちを入れ替えてカラダを回復させようとしますね。カラダは元気でも精神的に疲れているときは、友達と会ってショッピングに行ったりお話ししたりして遊んで気分をリフレッシュしたり。心身共に、しっかりと休むようにしています」
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅© Hikaru Funyu
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)観る映画は?
「映画やドラマは観ていると続きが気になっちゃって、逆に集中できなくなってしまうので(笑)。そういう意味では、スマホのアプリとかで漫画を読むことが多いですね。海外でも移動中でも見れるし、ちょっと空いた休憩時間にパッと読んで、後で続きを読むこともしやすいですし。好きな漫画は王道ですけど『ONE PIECE』。あとはアプリで新旧問わず、色んな漫画をチェックするのが好きです」
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)聴く音楽は?
「両親が聴いていて、いつのまにか好きになっちゃったんですよね。もう10年以上前から聴いています。コンサートにも行ったことがあります。そうやって好きになった音楽は、やっぱり、いつ聴いても気分が上がりますね」

◆常に大事にするのはポジティブマインド!

Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)直したいクセは?
「あんまり嘘がつけないというか、自分の固定概念があるので、スノーボードに関しても人の意見をすんなり受け入れない部分があるんですよね。違うよって言われも、いやいや! って答えちゃうんで、もっと心を広くして、色んな考え方を認められるようにならなくちゃなって思っています」
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅
自分流の闘い方 - 鬼塚 雅© Daniel Milchev / Red Bull Content Pool
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)やめたいけど、やめられないことは?
「もう、そのまんまなんですけど、私はやりたいと思ったことを全部やっちゃうタイプなんで、逆にそれをやめたい(笑)」
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すための)ゲン担ぎは?
「大会のときは新しいことに挑戦することが多くて逃げ出したくなることもあるんですよね。そんなときは心臓の辺りをドンドン! って叩いて気合いを入れ直して、しゃんと立つようにしています。これは大会前に絶対やっていることですね。ゲン担ぎじゃないかもしれないけど(笑)」
Q:(最高のパフォーマンスを引き出すために)参考にしている人物は?
「選手だけじゃなく、会う人すべてからインスピレーションを受けています。出会った人の良いところを見つけるのが好きですし、自分にない部分を見るのが私自身の成長にも繋がるんです。本当に、世の中には尊敬できる素敵な人がたくさんいます。そんな人それぞれの良いところを参考にしています」
   
※本稿は2021年10月にインタビューした内容です。
  
  
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