トレッドミルやスピンクラスに飽きてしまった人と自分をさらに追い込むための新しいチャレンジを探している人にとって、水泳は究極のワークアウトチョイスになるだろう。
プールやオープンウォータースイミングの人気はますます高まっており、たとえば、Swim Englandの調査も、英国国民の約47%が水泳に取り組んでおり、約700万人が週1回水泳を楽しんでいるとしているが、その理由を理解するのは簡単だ。
普段のワークアウトスケジュールに水泳を加えれば、フィジカルとメンタルのバランスを整えつつ、優秀な全身運動をこなせるのだ。
ここまで読んでもまだ水泳を始めるべきかどうか迷っている人のために、水泳が健康とフィットネスに与えてくれる7つの効果を紹介していこう。
01
水泳は低負荷エクササイズ
水泳の経験がゼロでも、水泳を始めるのに遅すぎることはない。有酸素運動の水泳は、ペースを変えるだけで激しいワークアウトとリハビリ的ワークアウトを切り替えることができる。
英仏海峡横断チームリレースイム世界最速記録(1往復・1.5往復)を樹立したメンバーのひとりで、Open Swim UK主宰・Nike Swim勤務のジェーン・マコーミックは次のように切り出す。
「水泳は専念するスポーツとしても、他のスポーツの補完としても機能する素晴らしいオールラウンドスポーツとされてきました」
「複数のストロークで心肺系フィットネスを高めつつ、浮力で身体への負荷を減らしながら心拍数をキープできますし、ランニングやサイクリングより関節への負荷が小さいのです」
02
リハビリに最適
ランニングやサイクリングなどの高負荷スポーツとは異なり、水泳は低負荷なので怪我からのリハビリに最適なアクティビティと言える。水が衝撃を吸収しつつ、身体を支えてくれるので、関節に余計なプレッシャーがかからない。
また、水の抵抗に抗うために筋肉をハードに動かさなければならないため、結合組織を強化することもできる。
関節の怪我のリハビリでは、関節を覆う筋肉を徐々に鍛えるようにアドバイスされることが多いが、このようなリハビリは患部に余計な負荷がかからない水中の方が楽に進められる。ジェーンは次のように付け加える。
「膝の手術をした人にリハビリとして12週間の水泳トレーニングに取り組んでもらった結果、1年後の膝の伸展力がプール以外の施設でリハビリした人よりも32%増加し、膝の屈筋力も50%増加しました」
03
VO2 Max(最大酸素摂取量)の向上
より楽に運動できるようにスピードとスタミナを向上させたいなら、VO2 Max(最大酸素摂取量)の向上が重要になってくるが、水泳はVO2 Maxの向上に最適なスポーツだ。
VO2 Maxとは運動中に身体が取り込める最大酸素量を示す生理学的測定値のことで、値が高いほど水泳の効率が高まる。
ジェーンは次のように説明する。
「水泳時の酸素量を制限することでVO2 Max値を向上させます。顔を水につけた状態は酸素量を制限するので、肺活量が大きくなります」
また、ジェーンはVO2 Maxを高めるための様々な反復ドリルが存在するとし、バタフライやクロールでのキックを例に挙げる。
「スイム用フィンを装着し、水中でドルフィンキックをしながらできるだけ長い距離を泳いでください。このエクササイズを8回繰り返しながら、少しずつ距離を伸ばしていきましょう。これを半年ほど継続すればVO2 Maxは顕著に向上するはずです。全体的なパフォーマンスも向上します」
VO2 Maxが向上すれば、それだけ無酸素性作業閾値(AT:Anaerobic Threshold)も高まる。ジェーンは次のように付け加える。
「無酸素性作業閾値が向上すると、乳酸が増加した際の許容値が高まります。そのため、より長い時間、高いパフォーマンスを発揮したり、スピードを高めたりできるようになります」
04
メンタルヘルスの改善
英国のメンタルヘルスチャリティーMindは、英国人の4人に1人は毎年何らかのメンタルヘルス上の問題を経験しているとしている。
フィジカルエクササイズがこれらのメンタルヘルス問題への解決策として有効であることはすでに証明されており、運動習慣がなかった人でも最低週3回身体を動かせばうつ病のリスクが30%減少する。
2018年にSwim England の依頼でYouGovが実施した調査の結果は、この事実をより強固なものにしている。
この調査結果は、プールで泳ぐ習慣はメンタルヘルスの向上に絶大な効果があり、成人140万人が水泳によって不安感とうつ症状の軽減に劇的な効果を感じていることを示した。
さらに英国でエクササイズの習慣を持つ330万人を対象に行われた調査は、水泳を習慣的に行っている人の43%が水泳を始める前より幸福感が高まり、26%が面倒な日常タスクを高いモチベーションで取り組めるようになったという結果を出している。
05
通常のエクササイズよりも高いカロリー燃焼率
筋力強化とコンディショニングに優れている水泳に、高効率のカロリー燃焼を加えれば、まさに最強のワークアウトを手にすることになる。
一定ペースで30分泳ぎ続けるだけで最大350kcalを燃焼することが可能で、ハードなストローク(自由形やバタフライなど)なら燃焼量は2倍になる。
また、水泳は運動量のコストパフォーマンスも抜群だ。水中で30分動いた時の運動強度は陸上の1時間に匹敵する。エクササイズに割ける時間が限られた現代人にとって、水泳は優れたワークアウトなのだ。
06
均整のとれた筋肉が身につく
水の密度は空気の約800倍なので筋肉の引き締め効果が高い。水の自然な抵抗は筋肉の強さと持久力を高めてくれるので、身体への自信を深めるのにも役立つ。
高速での水泳は速筋繊維を強化して瞬発力を高めるが、長時間・長距離の水泳は心肺系スタミナと持久力を向上する遅筋繊維に効果がある。
身体の特定の部位を引き締める方法もある。上半身を引き締めたいなら、脚の間にブイを挟み、体幹と腕を使って前進しよう。下半身を引き締めたいなら、背泳ぎやバタフライのキックに取り組んでみよう。
07
他のスポーツやトレーニングの効果を高める
OnePollの調査は、水泳を楽しんでいる人の87%がランニングやその他のフィットネスアクティビティでのスタミナ向上を実感し、フィットネスアクティビティに水泳を加えている人の89%がフィットネスと筋力の向上を実感したという結果を出している。
プールでの水泳は筋肉をリラックスさせながら刺激を与えるのでアクティブリカバリーに向いている。また心拍数を高めるので心肺系の健康維持と向上にも最適だ。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中 トップページからチェック!