ロンドンを拠点にするキャリステニクス・チーム「Steel Warriors」
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フィットネス

【ストリートワークアウト】初心者向けキャリステニクス・ワークアウトガイド

重力法則を覆すキャリステニクスの世界に踏み入れてみたい? まずは今回紹介する6種類のエクササイズにトライしてみよう!
Written by Tim Stevenson
読み終わるまで:9分Published on
ヘッドスタンド(三点倒立)やハンドスタンド(逆立ち)、ヒューマンフラッグ(人間鯉のぼり)をマスターしたい? 地元の公園の遊具でちょっとした凄技にトライしたい? ジムのワークアウトに飽きていて、何か新しいことにチャレンジしたい?
「イエス」がひとつでもあるなら、School of Calisthenicsの共同設立者、ティム・スティーブンソンがまとめてくれた今回の初心者向けキャリステニクス・ワークアウトをチェックしよう。
キャリステニクスは自重ワークアウトの一種で、通常の自重ワークよりもダイナミックなスタイルで可動性筋力を高めてくれる。その起源は古代ギリシャまで遡り、戦士たちの訓練に使用されていたとされている。
キャリステニクスの歴史や文化、フィットネス効果については『【ストリートワークアウト】キャリステニクス基礎知識』で解説しているので、是非参考にしてもらいたい。
ティムが今回紹介する初心者向けキャリステニクス・ワークアウトは、可動域を広げ、超人的なストレングスを身につけ、自重トレーニングを楽しんでもらうためのもの。これらは、ヘッドスタンドやハンドスタンド、ヒューマンフラッグといったキャリステニクスの代表的なポーズの基礎になる。
ティムは次のように語っている。
「これらのエクササイズは誰でもできます。自分に合った調整方法も各項目で説明しています。是非トライして、ムーブメントを楽しんでみてください」
「自信が得られてから一歩ずつ先へ進んでください。このワークアウトは、サーキットトレーニングとして行っても、エクササイズ別に行ってもOKです」
《注意》器具を使うトレーニングは安全確保を必ず行ってください。

エクササイズ1:オーバーヘッド・バー・モビライゼーション

《レップ&セット》
5〜8レップ×2セット(セット間に休憩30秒)
《効果》
トレーニングセッションの前に身体をほぐすのは非常に重要だが、キャリステニクスでは肩をほぐしておくことが特に重要になる。このエクササイズはハンドスタンドやマッスルアップ、バックレバー(背面水平)などのムーブメントで重要な上半身の可動域を高める助けになる。
  • 両足を肩幅程度のスタンスに広げて立つ。長くて軽い棒(レジスタンスバンドで代用可)を用意し、広めの間隔で握る。グリップの間隔が広いほど簡単に行える。
  • 両腕を頭上に上げ、そのまま後手になるまで肩を回す。ゆっくりと動かすことを意識する。
  • 無理に身体を動かすのはNG。回転が難しいなら、グリップの間隔を広げよう。スムーズで無理なく回転できるようになる。

エクササイズ2:アーチャーリング・ロー

《レップ&セット》
負荷を十分に感じられるボディアングルで8〜12回×3セット(セット間に休憩60秒)
《効果》
アーチャーリング・ローには体操用吊り輪がベストチョイスだ。このエクササイズは背筋を引いて鍛えつつ、肩の安定性を高めるのに最適だ。
  • 吊り輪(またはTRXサスペンショントレーナー)をバーにセットする。数歩後ろに下がり、床に対して身体が45°になるように吊り輪に掴まる。腕は真っ直ぐ伸ばす。
  • 肩甲骨の間にコイン1枚を挟むようなイメージで肩甲骨を引き寄せる(肩が上がらないようにする)。肘を曲げたまま左腕で吊り輪を引き、身体を吊り輪に近づけると同時に右腕を伸ばしたままサイドに開く。弓の射手のように片腕が曲がりもう片方が伸びた状態がトップポジション。このポジションを2秒キープする。
  • 両腕が身体の前で平行かつ真っ直ぐな状態になるまで3秒かけて戻す。レップごとに左右を入れ替える。数歩下がれば楽に行えるようになる。
  • 難度を上げたいなら、吊り輪の真下あたりまで足を近づけ、身体の角度を水平に近づける。すぐに大きな負荷を感じるはずなので、レップは意識しなくて良い。

エクササイズ3:フロッグスタンド(カエル逆立ち)

《レップ&セット》
ホールド最長10秒を目標にして5回トライする。×3セット(セット間に休憩60秒)
《効果》
ハンドスタンドをマスターするための第一歩がフロッグスタンドだ。上半身のストレングスを徐々に鍛えられる優れたプログレッショントレーニングで、床から足が浮いた状態でのバランスの取り方も学べる。また、非常に楽しいエクササイズなのでやみつきになる。
  • しゃがんだあと床の前方に両手を置く。指先で床を掴むようなイメージで指を開く。フロッグスタンドでは、手の平全体を床につけないようにする。
  • 肘が自分の背中側を指すようなイメージで肘を曲げる。肘に角度をつけることで肩が安定する。
  • つま先をつけたまま踵を浮かして膝を持ち上げていき、膝を肘に乗せる。
  • 身体を前傾させ、片足のつま先をゆっくり床から離す。この状態でバランスが上手く取れるようになったら、もう少し前傾して両足を床から離し、両手でバランスを取ってみよう。
  • 床に向かって押し続けることで身体を安定させる。色々なポジションを試しながら、バランスの取りやすいポジションを探っていこう。

エクササイズ4:スキン・ザ・キャット

《レップ&セット》
1回転(往復)=1レップ。徐々に回転距離を延ばしていく。ボディコントロールをキープし、必要に応じて回転の途中で休む。ある程度自信が出てきたら足を床に戻す前に数レップする。レップ数を問わず3セットを限度にする。(セット間に休憩60秒)
《効果》
このエクササイズは肩の可動域全体のストレングスと安定性の強化に適している。逆さま状態に自信を持つ助けにもなる。空中感覚を鍛えられるので、バックレバーのための基礎を築ける。スキン・ザ・キャットは鉄棒でも体操用吊り輪でもOKだが、自分の肩の高さに合わせること。
  • 吊り輪に掴まり、背中を丸めながら身体を少し引き上げる。
  • 次に、両脚を上に引き上げながら、リング間で後方回転する。床が真下に見えるようになるまで回転を続ける。
  • 身体を小さく丸めながら回転する。回転が難しく感じているなら、足で床を蹴って勢いをつけても良い。
  • 吊り輪を引きつけながら吊り輪の間に尻を通す。中止したい時は、回転を続けて後方に足をつけるか、回転を元に戻して前方に足をつけよう。
  • 時間をかけて段階的に可動範囲を広げていこう。肩は360°回るようになっているので、楽しみながらトライしてみよう。

エクササイズ5:ウォール・ウォーク

《レップ&セット》
不安を感じない範囲内で壁の上まで足を進め、そのまま足を使って元の位置へ戻る。様々な高さを試し、どこまで行けるのかトライしてみよう。追い込みたいなら、床に足を戻さないで3〜5レップ繰り返す。レップ数を問わず3セットを限度にする。セット間に十分な休憩を挟む。
《効果》
ウォール・ウォークはストレングスを向上させると同時にハンドスタンドに必要な自信を築く助けになる。ウォール・ウォークは素晴らしいスキルエクササイズで、体幹の安定性を高めながら上半身のストレングスを大幅に向上させる。
  • プッシュアップ(腕立て伏せ)の姿勢になり、安定している壁に足をつける。
  • 腕を伸ばし、足を上げて壁に置く。両手で身体を押し上げながら、壁で後ろ向きに進む。両手で壁に近づいていき、壁に補助されたハンドスタンドのような姿勢を取る。
  • 不安を感じない範囲で足を壁の上側まで進めていく。体幹を引き締めた状態を維持することが重要なので、パンチを受けるガード姿勢のように常に胸郭を腰に向けて引き下げるようなイメージをする(背中を反らさない)。また、尻を引き締めてクルミを割るようなイメージをしてみよう。
  • 背中が反ってバナナのようなフォームになるなら、休息を挟んで再トライしよう。無理矢理足を壁の上まで持っていかないように注意しよう。
  • 終える時は、両手を前に戻しつつ、壁面を前進するように足を床に近づけていき、最初のプッシュアップポジションまで戻ろう。慣れないうちはハンドスタンドの姿勢まで押し上げる必要はない。不安を感じずに安定した姿勢が取れるようになるまでに徐々にビルドアップしていこう。

エクササイズ:アーチャー・プッシュアップ

《レップ&セット》
負荷を十分に感じられるボディアングルで1セット8〜12回×3セット(セット間に休憩60秒)
《効果》
アーチャー・プッシュアップは吊り輪でも床でも行えるプッシュアップのバリエーションだ。このエクササイズでは、腕のレバー長を変化させることで体幹と上半身の安定性とストレングスに働きかける。吊り輪バージョンには、胸や肩の安定性とコントロールを大幅に高める効果がある。
  • プッシュアップを無理なく10回できる高さに吊り輪をセットする。
  • プッシュアップの姿勢を取り、身体を床に向かってゆっくり下げていく。片方の肘は脇を締めて身体の真横に近づけ、もう片方の肘は真っ直ぐに伸ばして身体から遠ざけていく。
  • ボトムポジションは、片方の肘が通常のプッシュアップと同じように身体の真横につきつつ、逆側の腕がフライポジションのように横へ伸びた状態。この “アーチャー(射手)” ポジションを2秒キープする。
  • 上半身を起こして元のポジションに戻す時は、伸ばした腕は曲げずに戻し、曲げた腕は通常のプッシュアップのように戻す。これで両腕が伸びた状態まで戻る。
  • 左右を入れ替えて繰り返す。足を吊り輪に近づけて直立姿勢に近づけばそれだけ負荷が軽くできるので、吊り輪の方が取り組みやすい。
  • 床の時は、両手の幅を肩幅の外側まで広げて逆V字にしてプッシュアップの姿勢を取る。片腕を伸ばしたまま、もう片方の腕を床に向けて下げる。ハードに押し上げてスタートポジションに戻したら、左右を入れ替える。
◆Information
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