Gaming
クリス・カイルの動画『Kaleidoscope』を視聴したことはあるだろうか?
スコットランドが生んだ天才BMXライダーのクリスはこの動画の中でビデオゲームの中でしか見ることができないような超絶トリックを次々とメイクしている。任天堂が本気でBMXタイトルを開発したらこんな内容になるのではないかと思わせるようなクオリティだ。
クリス・カイル『Kaleidoscope』をチェック!
5分
Kriss Kyle's Kaleidoscope
Kriss Kyle's Kaleidoscope
『Kaleidoscope』を視聴したあとで「BMXでトリックメイクしたい!」と思う人は多いだろう。しかし、同時に「でも怪我はしたくない」と思う人も多いだろう。そんな人のために世の中にはBMXをテーマにしたビデオゲームがいくつか存在する。
『BMX Simulator』のような海外レトロゲームから『Trials Fusion - トライアルズ フュージョン』のような世界的人気を誇る最新タイトルまで、ビデオゲーム史に残る名作BMXタイトル6本を紹介しよう。
『BMX Simulator』(日本未発売)
(1986年:MSX / Commodore 64 / ZX Spectrum / Amiga / Atari ST)
通常、名作スポーツゲームをリストアップする時にこの時代の作品まで遡ることはない。しかし、1986年にCodemastersがリリースした『BMX Simulator』は紹介する価値がある歴史的名作だ。
世界初のBMXタイトルだった『BMX Simulator』は世界初のエクストリームスポーツタイトルでもあり、さらにはゲームプレイ自体も楽しかった。
プレイヤーは他のプレイヤーまたはCPUと7種類のBMXレーストラックを走ることになるが、ライバルライダーだけではなくタイムリミットとも戦わなければならない。
また、シンプル極まりないゲームに思えるかもしれないが、スローモーションリプレイ機能をはじめとする当時としてはかなり斬新な機能もいくつか実装されていた。
『California Games』(日本未発売)
(1987年:Commodore 64 / NES / ZX Spectrum / SEGA Master Systemなど)
『California Games』は『レトロサーフィンゲーム 5選』ですでに取り上げている作品だが、BMXゲームとしても優秀なので今回も取り上げることにした。レッドブルのためにあるゲームと言っても良いのかもしれない。
『California Games』のBMXはトリッキーなレーストラックをできる限り早いタイムで走ることが目的だ。つまり、好タイムを記録すればポイントがもらえるのだが、トリックをメイクしてもポイントがもらえるようになっている。
トリックはシンプルなグラブ系からフロント&バックフリップまで複数用意されており、基本的にはクラッシュしてもレースに復帰できるようになっているが、頭からクラッシュしてしまうとゲームオーバーになるので注意が必要だ。
『Mat Hoffman’s Pro BMX』
(2002年:PlayStation / Game Boy Color)
『Tony Hawk’s Pro Skater』の成功でスケートボードゲームの人気上昇に寄与したActivisionが柳の下の2匹目・3匹目のどじょう(エクストリームスポーツタイトルのヒット)を狙おうとしたのは理解できる。
しかし、その流れで彼らがサーフィンをテーマに開発した『Kelly Slater’s Pro Surfer 2003』はそこまで成功しなかった。スケートボードとサーフィンが大きく異なるスポーツという事実がその理由のひとつだった。一方、彼らがBMXをテーマに開発した『Mat Hoffman’s Pro BMX』は大成功を収めた。
サーフボードの代わりにBMXを持ち込んだこの作品は、『Tony Hawk’s Pro Skater』と共通するトリックベースのフリースタイルライドが楽しめるゲームプレイが用意されており、リック・ソーンやマイク・エスカミラなど現実世界に存在するプロBMXライダーがフィーチャーされていた。
『Dave Mirra Freestyle BMX / デイブ・ミラ フリースタイル BMX』
(2001年:PlayStation / Dreamcast / Game Boy Color / PC)
Activisionのひとり勝ちを防ぐためにライバルのAcclaimがリリースしたBMXタイトルには、当時のBMXシーンでマイク・ホフマンと人気を二分していたデイブ・ミラーがフィーチャーされた。
ライバルデベロッパーへの対抗策という開発背景から予想できる通り、この作品にも制限時間内にできる限り多くのトリックやスピン、フリップをメイクしながらコンボを狙ってポイントを稼ぐという『Mat Hoffman’s Pro BMX』に似たゲームプレイが用意されている。
結局、『Dave Mirra Freestyle BMX / デイブ・ミラ フリースタイル BMX』は、『Mat Hoffman’s Pro BMX』ほどの人気は獲得できなかったが(Activisionには『Tony Hawk’s Pro Skater』の成功による信頼というアドバンテージがあった)、同じく優秀な続編『Dave Mirra Freestyle BMX 2 / デイブ・ミラ フリースタイル BMX 2』と数本のさらなる続編(『1』と『2』のクオリティには及ばない)が開発されるだけの成功は収めた。
『BMXトライアル アレックスキッド』
(1987年:SEGA マークIII)
この作品は純粋なBMXタイトルとは言えないが、いかに駄作であろうとも “アレックスキッド” がフィーチャーされているタイトルはなるべく紹介しておきたいというのが我々の気持ちだ。
アレックスキッドはソニック登場前のSEGAのマスコットキャラクターで、彼の名前を冠したタイトルは計6本(家庭用ゲーム機用)開発された。その1本が『BMXトライアル アレックスキッド』で、主人公アレックスキッドがBMXで複数の障害物コースをクリアしていくというレーシングゲームとなっている。
しかし、これはただ走るだけのゲームではない。ライバルたちが攻撃をしてくるので実際のゲームプレイはかなり難しく、数回落車すればゲームオーバーになってしまう。
『Trials Fusion - トライアルズ フュージョン』
(2014年:Xbox 360 / Xbox One / PS4 / PC)
『トライアルズ』シリーズの家庭用ゲーム機版の最初の2作、『Trials HD』と『Trials Evolution』も素晴らしいが、今回のリストに入れることはできなかった。なぜなら、どちらもモーターバイクがフィーチャーされており、トリックメイクが重視されていないからだ。
しかし、3作目(Javaのオリジナルから数えれば5作目)の『Trials Fusion - トライアルズ フュージョン』は斬新なトリックシステムが用意されており、プレイヤーは奇妙で面白いスタントを楽しむことができた。そして、プレイを続けていけばイエローに輝くBMX “Rabbit” をアンロックすることもできた。
『Trials Fusion - トライアルズ フュージョン』は知らない間にBMX・トリックメイク・素晴らしいゲームプレイを備えた純粋な “BMXゲーム” に変わるゲームだった。