Running ace Konstanze Klosterhalfen laces up her running shoes before running training.
© Daniel Hug/Red Bull Content Pool
ランニング

【ランナー必読】:ランニングに役立つ静的ストレッチ おすすめ7選

5月5日に開催されるチャリティーランイベント【Wings for Life World Run 2024】に向けて、ヨーロッパを代表する中長距離ランナーが効果的なストレッチ方法を教えてくれた。
Written by Henner Thies
読み終わるまで:7分Published on
【Wings for Life World Run 2024】はもちろん、トライアスロンでも近所の公園の5kmランでも、ストレッチに優る調整方法は存在しない。
5,000mを中心に各種中長距離種目で活躍しているドイツ代表ランナーのコンスタンツェ・クロスターハルフェンも、陸上競技における自分の活躍は正しいウォームアップとクールダウンのおかげだとしている。
プロアマを問わず、誰にとっても基本を抑えておくことは重要なのだ!
というわけで、今回はクロスターハルフェンにランニングをネクストレベルに高めてくれる静的ストレッチのルーティンを教えてもらうことにした。トップランナーの成功の秘密を探っていこう!
01

ふくらはぎのストレッチ

ふくらはぎはランナーにとって重要な筋肉なのでしっかりストレッチしたい

ふくらはぎはランナーにとって重要な筋肉なのでしっかりストレッチしたい

© ON

両脚を前後に大きく開き、前脚に重心を置く。そのあとは臀部と前脚の膝を前方に押し出して、後脚のかかとを地面に押しつける。この姿勢を60秒キープしたあと両脚を入れ替える。
02

大腿四頭筋のストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

© Red Bull Content Pool

両足を腰幅に広げて立ち、上半身をしっかり起こす。片脚の足首を同じ側の手で持ち、膝を曲げてかかとを臀部へ向けて持ち上げていく。
足首をできる限り臀部へ近づけていくが、このときに頭・臀部・膝が地面に対して垂直に並ぶようにする(膝が開いたり、頭が横へずれたりしないように注意する)。この姿勢を60秒キープしたあと両脚を入れ替える。
03

ハムストリングのストレッチ

フェルナンダ・マシェールのストレッチ

フェルナンダ・マシェールのストレッチ

© Gustavo Cherro/Red Bull Content Pool

立った姿勢でも座った姿勢でも問題ないが、座った姿勢で行う場合は、上の画像のように片脚をまっすぐ伸ばし、逆脚を股間に向けて曲げて、伸ばしている脚の太腿内側に足裏をつける。
次に上半身を伸ばしている脚の方向へできる限り倒していく。ハムストリング(太腿の裏側)が伸びていくのを感じるが、痛みを感じないようにする。痛みを感じない姿勢を60秒キープしたあと両脚を入れ替える。
04

股関節屈筋のストレッチ

アイスホッケー選手のドミニク・カフンのストレッチ

アイスホッケー選手のドミニク・カフンのストレッチ

© Henner Thies

上の画像のように深いランジの姿勢を取る。後脚の膝を90度で曲げて床につける。前脚の膝も90度で曲げて足首と膝が一直線になるようにする。背骨を真っ直ぐ伸ばして上半身を起こしておく。
次に、後脚の膝が床から離れないようにしながら、臀部を前に押し出していく。臀部を前に押し出した姿勢を60秒キープしたあと両脚を入れ替える。
05

ザ・ワールド・グレイテスト・ストレッチ

The World’s Greatest Stretch

The World’s Greatest Stretch

© Emely Hansen

ザ・ワールド・グレイテスト・ストレッチ(The World’s Greatest Stretch)は、まず腰幅に両足を広げて立つ。そこから左脚を伸ばしながら後方に下げ、同時に左腕を伸ばして床につける。左手は右膝の真横に置くようにする。
次に右腕を折り曲げて、右肘を右足の親指の横へ振り出す。このとき右臀部が伸びているのを感じていればOK(右画像)。そのあとは右腕を伸ばしながら肩から後ろへできる限り伸ばしていく(左画像)。
右腕が完全に伸びていて指先が天井を指すようにして、頭も右腕と同じ方向に回転させて指先が見えるようにする。右画像の姿勢まで戻したら左右を入れ替える。片側10回ずつ行う。
06

スコーピオン

スコーピオン

スコーピオン

© Lupato

うつ伏せになり、顎を床につける。両腕は上半身に沿って置くが、上半身からは軽く離しておく。両脚は揃えて伸ばし、つま先を床につけておく。
次に右脚を左へ振って左脚の上を通過させて、右足を左手に近づけていく。このときに顎と胸、両肩が床から離れないようにする。振り切ったらゆっくりと元の姿勢に戻り、左右を入れ替えて同じ動作を繰り返す。片側10回ずつ行う。
07

上腕と肩のストレッチ

上腕三頭筋と肩のストレッチ

上腕三頭筋と肩のストレッチ

© Jacob Postuma/Unsplash

ランニングでは腕の定期的なストレッチも必要になる。ランニング中に振られる腕にはかなりの負荷がかかるため、定期的なストレッチで柔軟性を高めておきたい。上腕三頭筋と肩のストレッチが特に効果的だ。
上腕三頭筋:両足を腰幅に広げて立つ。右手を頭の後ろから右の肩甲骨へ向けて下げていく。左手で右肘を持ち、そのまま下げて右腕の上腕三頭筋をさらに伸ばしていく。伸ばした姿勢を60秒キープして左右を入れ替える。
肩:両足を腰幅に広げて立つ。右腕を前方に伸ばしたあと、左肩方向へ肩から水平に曲げる。左手で右肩を抱えて右腕を支える。このときに左肘で右肘を抱えるようにする。次に左腕を左へ動かして右腕と右肩を伸ばしていく。このときに上半身が一緒に回転しないようにする。伸ばした姿勢を60秒キープして左右を入れ替える。
08

ストレッチの必要性

オーストリア・タールガウに位置する【レッドブル・アスリート・パフォーマンス・センター】のエキスパートたちは「すべてのアスリートにとってストレッチはマスト」という意見で一致している。
ストレッチは「筋肉の健康状態を維持する方法」として捉えられるべきで、正しく行えばリカバリータイムの短縮化パフォーマンスの向上怪我の予防が期待できる。
簡潔にまとめれば、ストレッチとは単数または複数の筋肉と関節の可動域を最大限まで拡大するためのものだ。クロスターハルフェンは次のように語っている。
ランニング後のストレッチに取り組むクロスターハルフェン

ランニング後のストレッチに取り組むクロスターハルフェン

© Red Bull Content Pool

「ストレッチに対する考えはひとりひとり異なりますが、私としては、ストレッチは正しく行うことには意味があると思っています。定期的なストレッチで筋肉をほぐしておけば、全身の柔軟性が高まります」
ランナーにとって全身の柔軟性は高いに越したことがない。クロスターハルフェンはストレッチによってランニングで主に使う脚の筋肉の柔軟性だけではなく上半身の柔軟性も得られるとしている。
「ランナーの多くはストレッチから得られる脚の効果だけに注目していますが、上半身も大きな効果が得られます。たとえば、上半身の筋肉の柔軟性が高まれば呼吸が楽になります」
09

ストレッチの主な効果

  • 筋肉の再生時間を短縮できる
  • パフォーマンスを向上できる
  • 筋肉と関節の可動域を最大限まで広げられる
  • 怪我の予防策になる
10

ストレッチのタイミングと種類

ここで基本的な疑問だが、ストレッチの目的は「筋肉をほぐすため」、「刺激を入れるため」、「可動性を高めるため」のどれなのだろうか? まず、ランナーはストレッチには「動的」「静的」の2種類が存在することを知っておかなければならない。
「静的」は、同じ姿勢を約60秒キープしてゆっくりと筋肉を伸ばすことで “筋肉をほぐし”て筋肉の断裂や緊張を防ぐことが目的で、スタティック・ストレッチとも呼ばれる。
一方、筋肉に “刺激を入れる” あるいは筋肉の “可動性を高める” ストレッチが「動的」だ。ダイナミック・ストレッチとも呼ばれるこのストレッチは、筋肉を伸ばす時間は数秒のみで、名前が示す通り “動かしながら” 行う。たとえば、脚を振りながら行うようなストレッチがこのタイプに組み込まれる。
ライプツィヒでトレーニングに励むクロスターハルフェン

ライプツィヒでトレーニングに励むクロスターハルフェン

© Daniel Hug/Red Bull Content Pool

定期的なストレッチで筋肉の可動性を高めておけば、ランニング中の対応力が高まります
ランニング前はストレッチをやり過ぎないように注意してください。ランニング前は短時間の “動的” ストレッチに留めてください」とクロスターハルフェンはアドバイスを送っている。ランニング前は筋肉を伸ばすのではなく、筋肉に刺激を入れながら、関節の可動域を高めることが重要だ。
「逆に、ランニング後は時間をかけて静的ストレッチを行います」とクロスターハルフェンは続ける。また、彼女はフォームローラーでトレーニング後の脚部の筋肉をほぐしている他、ゴルフボールで足裏もほぐしている。
11

ウォームアップとクールダウンを忘れない

すべてのランニングセッションはウォームアップから始まり、クールダウンで終わるべきだ。筋肉に刺激を入れるウォームアップは以下を基本として行われるべきだ。
  • 関節の回転:つま先・足首・膝・臀部・背中・肩などを小さく動かすことが始めて、徐々に連続で回転させて刺激を入れていく。
  • 心臓血管系への刺激(低負荷から徐々に高めていく)
  • 足首と臀部のターミナル・ストレッチ(限界点でのストレッチ)
  • 加速走(30〜50m x 2本)・インターバルは50mのウォーキング
これらを行ったあとでトレーニングやランニングに取り組み、終了後にクールダウンを行う。クールダウンでは “減速” がすべてだ。つまり、トレーニングやランニングの強度やスピードを徐々に落としていき、静的ストレッチで終えることが重要になる。
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