サーフィン
世界中のサーファーたちにとってハワイ旅行は通過儀礼だ。ハワイの様々なサーフポイントの中からベスト10をピックアップ!
タヒチからトンガまで、サーフィンはポリネシア文化の大きな一部であり続けているが、モダンなアートフォームとしての真のメッカはハワイだ。
1700年代の王族たちが波乗りを楽しんでいたことから、サーフィンが「王たちのスポーツ」として親しまれてきたハワイでは、今もその伝統が続いている。
1900年代初頭に活躍した水泳選手 / サーファーのデューク・カハナモクのようなレジェンドから、ジョン・ジョン・フローレンス、アンディ・アイアンズ、カリッサ・ムーアのような近年のワールドチャンピオン、そしてカイ・レニーやイアン・ウォルシュのようなビッグウェーブアイコンまでを輩出してきたハワイ諸島は、実際の面積は小さいが、サーフィンとその歴史においては永久に大きな面積を占めるだろう。
ハワイは大きな波とバレルだけが自慢ではない。このクラシックなトロピカルアイランドが世界中の人たちから休暇先に選ばれてきたのには他にも理由がある。
ハワイには、プロサーファーを目指している人、週末に楽しんでいる人を問わず、あらゆるレベルのサーファーが楽しめる波があるのだ。その一部はトップレベルのサーファーだけが挑めるものだが、それでも遠くから見て楽しむことができる。
というわけで、今回はハワイが世界に誇る数多のサーフポイントの中からベスト10を選んでみた。読み終える頃にはホノルル国際空港行きの航空券を押さえているはずだ!
01
オアフ島 / Oahu
オアフ島ホノルルは旅行者で溢れかえっており、ワイキキビーチは人気観光スポットのひとつだが、世界のサーファーたちは冬のノースショア(North Shore)を狙ってこの島を訪れている。
ハレイワ(Haleiwa)からベルツィランド(Verzyland)まで、地球最高・最恐のサーフスポットを擁するこの島の “セブンマイル・ミラクル” は、長年に渡ってワールドチャンピオンとビッグウェーブチャンピオンを輩出しており、サーフシーンにおける究極の修練場として名高い。以下にオアフ島のベストサーフポイントを紹介しよう。
①パイプライン / Pipeline
バンザイ・パイプライン(Banzai Pipeline)は世界で最も有名なサーフポイントだ。このポイントはPipeline MastersやPipe Proをはじめとする様々なイベントの会場に選ばれているが、イベントが開催されていない日もトップレベルの激しいバトルが繰り広げられている。
浅いリーフレッジで崩れるヒプノティックなバレルのパイプラインはレフトハンドだが、隣のバックドア(Backdoor)はライトハンドとなっており、さらにオフ・ジ・ウォール(Off The Wall)、ロック・パイルズ(Rock Piles)、ログ・キャビンズ(Log Cabins)へと続いていく。
パイプラインの東側にはエフカイ・ビーチパーク(Ehukai Beach Park)があり、波が静かなときはローカルの家族連れで賑わう。また、その向かい側には、サーフィンタレントを輩出する学校として名高いサンセット・ビーチ・エレメンタリー(Sunset Beach Elementary)がある。
難易度:パイプラインはベテランサーファーに適した高難度のポイントで、彼らのライディングを見るだけでも価値がある。
②ワイメア / Waimea
波が静かなときでもワイメア・ベイ(Waimea Bay)は美しく、教会の下に黄金色の砂浜が広がり、空に向かって岬が切り立っている。そして冬が訪れれば、30フィート(約9m)の波が連続で訪れて、ビーチを一掃する。
ビッグウェーブサーフィン発祥の地として知られるこのポイントは、1950年代から世界中のサーファーたちの憧れであり続けている。近年の勇猛果敢なサーファーたちはより大きな波を求めて他のポイントを訪れるようになっているかもしれないが、ワイメアのロマンと魅力は失われていない。
ワイメアはエディ・アイカウ・インビテーショナル(Eddie Aikau Invitational)の会場としても知られているが、このイベントはコンディションが重要なため、1985年から今までにわずか10回しか開催されていない。また、ワイメアは女性ビッグウェーブサーファーのためのイベント【Red Bull Magnitude】のポイントのひとつにも選ばれている。
難易度:ワイメアは美しいがかなり高難度なため、見るだけにしておくのが良いだろう。
③サンセット・ビーチ / Sunset Beach
サンセット・ビーチ(Sunset Beach)はノースショアのクラシックだ。パワフルで深いここの波のムードとピークを理解するのは科学の領域だ。しかし、それらの謎を解明するいことで得られる報酬はとても大きい。かの有名なインサイド・ボウル(Inside Bowl)ではビッグチューブが暴れ回る。
ここを会場とするSunset ProはWSLのカレンダーに長年組み込まれてきた。ジョーディ・スミス、ジャック・ロビンソン、モリー・ピクラムをはじめとする一部のサーファーたちはここの波を解明して、幾度となく成功を手にしているが、ケリー・スレーター(!)を含む他のサーファーたちにとって、ここは絶対に解明できない謎であり続けている。
難易度:ノースショアの他の多くのポイントと同じで、パドリングに自信があり、ある程度の経験を積んでいない限り、挑まない方が正解だろう。
④ワイキキ / Waikiki
オアフ島の南岸に位置するホノルルは、かの有名なダイヤモンドヘッドが地平線を独占しており、その麓に広がるワイキキでは、あらゆるレベルのサーファーが波を楽しめる。
上のカリッサ・ムーアを見れば分かる通り、ワイキキの波にはパワーもあるが、旅行者や初心者でも、ビーチ沿いのショップからあらゆる波乗りグッズを借りて楽しむことができる。ソフトトップ、SUP、ロングボード、アウトリガーカヌーで波を楽しみたい人、さらにはカクテル片手にボートに乗ってサンセットを楽しみたい人にとっても、ワイキキは訪れるべきポイントなのだ。
しかし、ふざけすぎるのは厳禁だ。伝説のデューク・カハナモクの銅像がこのビーチを見張っている。
難易度:ワイキキはビギナーとトップレベルの両方が楽しめるレアなポイントのひとつだ。
⑤サンディ・ビーチ / Sandy Beach
オアフ島東南端に位置するサンディ・ビーチ(Sandy Beach)は伝統的なサーフポイントではなく、ボディサーファー、ボディボーダー、そして最近はソフトトップライダーたちに好まれている。また、一般的なビーチとしても非常に優秀で、砂浜に寝転んで日光を浴びるだけでも訪れる価値がある。
サーフフォトグラファーのザック・ノイル(Zak Noyle)は自分のローカルビーチであるサンディ・ビーチの魅力的なラインナップをフレームに捉えた実績があり、彼はこのポイントの浅瀬にぶつかるパワフルな波の形状に魅力を感じている。
難易度:サンディ・ビーチは危険なポイントになるときがあるので、常に注意しつつ、ライフガードの指示に従うようにしよう。
02
マウイ島 / Maui
ハワイのサーフィンと言えばオアフ島だが、ここから2島挟んで東に位置するマウイ島もワールドクラスの波を提供している。
⑥ホノルア・ベイ / Honolua Bay
ホノルア・ベイ(Honolua Bay)の長く巻いていくライトハンドは世界中のサーファーたちを長年に渡り引き寄せてきた。
作家ウィリアム・フィネガンが、ピュリッツァー賞受賞作品『バーバリアンデイズ』の中で1970年代のホノルア・ベイでのサーフィンについて触れている他、このマウイ島が誇るロングバレルは、つい最近までWSL CLの女子イベントの会場に選ばれており、カリッサ・ムーアやステファニー・ギルモアのようなサーファーたちにワールドタイトルをもたらしていたことでも知られている。
世界最高のクラシックポイントブレイクのひとつに数えられているホノルア・ベイは、マウイ島で最も混み合うサーフポイントでもある。ラインナップがローカルサーファーと旅行者たちでひしめき合う日は少なくないので、このポイントで注意すべきは波だけではない。ここで人生最高の波を楽しみたいなら相当の覚悟が必要になる。
難易度:ホノルア・ベイは、強い潮流と他の多くのサーファーに対峙できる上級サーファーに適している。
⑦ジョーズ / Jaws
ピアヒ(Pe’ahi)またはジョーズ(Jaws)は、地理的には、マウイ島のノースショアから数百メートル沖に位置しているが、比喩的には、この世界で最も素晴らしい外洋サーフポイントは世界のビッグウェーブサーファーたちの脳裏の奥深くに位置している。
元々、ジョーズはローカルウィンドサーファーたちのポイントだったが、1990年代に彼らの一部(レアード・ハミルトン、デイブ・カラマ、ピート・カブリーニャ、ダリック・ドーナー、ラッシュ・ランドル)が、ここの波に挑む他の方法を模索し始めた。
そして、Zodiacの協力といくつかの手作業によってストラップ革命が起き、トーイングで波に向かい始めたことでビッグサーフィンのパフォーマンスの歴史に大きなブレイクスルーがもたらされた。
ストラップはパドリング革命に道を譲ったが、まだその地位を保っており、カイ・レニーやイアン・ウォルシュのようなローカルレジェンドたちは、このポイントでのパフォーマンスをきっかけにグローバルな名声を手にしている。
難易度:ジョーズは観客として訪れるのが最適だ。崖の上にある眺望ポイント “Pe’ahi Overlook” から眺めるのがオススメだ。
⑧マアラエア / Ma'alaea
世界のどのサーフシティにも、確認された回数よりも語られた回数の方が多い神話的ステータスを獲得している波が存在する。
どこでサーフライフを送っていても、実際に見なければ信じられないパーフェクトなポイントや、現れてからたった数時間で消えてしまい、その後数十年間姿を現さない神出鬼没のビーチブレイクの噂を聞いたことがあるかもしれない。
マウイ島のそのような波は “フライト・トレインズ(Freight Trains)” と呼ばれている。この宝石はあまりにもレアなため、世界最恐クラスの波をいくつも攻略してきたこの島出身のカイ・レニーが数百人の観客と一緒に初めて目にしたのも、つい最近の2022年のことだった。
レニーは「少なくとも僕の人生の中では、マウイ島最高の波のひとつですよ。最高の波が1日続きました。信じられなかったですね」と振り返っている。
難易度:フライト・トレインズをキャッチするのはほぼ不可能で、しかも観客で混み合っている。ベストを尽くすことはできるが、エリート中のエリートサーファーでない限り楽しむことは難しいだろう。
⑨ラハイナ / Lahaina
ローカルサーファーのエリ・ハンネマンの情報では、夏のラハイナ(Lahaina)のブレイクは南側のスウェルが入ってくるため楽しく、クレイジーではないが感覚を保つには十分なクオリティだが、冬は冬で激しさが増し、ブレイクウォールの反対側からライトも楽しめるようになる。
ラハイナはエリがスキルを磨いたサーフポイントだ。そのおかげで彼は2024シーズンのWSL CL出場権を獲得したが、このキャリア最大の成功の裏には、地元が焼き尽くされた2023年8月の山火事があった。
危機を迎えたことでエリを含むローカルサーファーたちの結束が強まり、2024年には島の復興に向けた彼らの努力が認められて、モハメド・アリ・スポーツ・ヒューマニタリアンESPY賞が贈られた。
というわけで、マウイ島を訪れるときは、サーフィン用の他に、ローカルビジネスを再び軌道に乗せるための予算もいくらか用意しよう。サーフィンと外食の両方を楽しむのは簡単なはずだ。
難易度:ラハイナはスウェルが小さなときは初心者でも楽しめるが、スウェルが大きくなればベテランサーファー向きになる。自分のレベルを知っておけば、適切なタイミングで楽しめるだろう。
03
カウアイ島 / Kauai
カウアイ島のサーフポイントはシーズンによって変わる。島の北側は冬に最適で、南側は夏に最適だ。つまり、この島では通年で素晴らしいサーフィンが楽しめるのだが、情報が少ないので、訪れるときは情報を常にアップデートするようにしよう。また、ローカルサーファーたちからリスペクトを得るためには、彼らをリスペクトする必要がある。
ティトゥス・キニマカ、アンディとブルースのアイアンズ兄弟、キアラ・ケネリーは全員この “ガーデン・アイランド” 出身だ。この事実がこの島の波のクオリティに関するすべてを教えてくれている。
⑩ハナレイ・ベイ / Hanalei Bay
ハナレイ・ベイ(Hanalei Bay)はカウアイ島のノースショアに位置しており、1年を通じて波を提供してくれる。この湾はパーフェクトな半円で、岬にはスウェルマグネットもあるため、波のバラエティも豊富だ。
有名なパインツリーズ(Pine Trees)は、アイアンズ兄弟がサーフィンを学んだポイントで、若手からベテランまでのあらゆるサーファーに素晴らしい波を提供してくれる。
難易度:ハナレイ・ベイはすべてのレベルのサーファーが楽しめるので、是非とも訪れてみよう!
04
最後に
ハワイの波を上回る波を見つけるのは難しい。ローカルをリスペクトし、笑顔を絶やさず、他人の家では必ず靴を脱ぎ、自分のサーフィンレベルを現実的に判断すれば、人生最高のサーフトリップを楽しみながら、自分のサーフィンをレベルアップできるだろう! エンジョイ!
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