アドベンチャーレースは究極の持久力テストだ。3日間から10日間まで様々な日程で開催されているこのノンストップ・ステージレースには、個人レースとチームレースの2タイプが存在し、いずれもトレッキング、MTBライド、カヤッキング、ラフティング、アブセーリング、キャニオニング、オリエンテーリングなど複数のスポーツを通じてフィジカルとメンタルを限界まで追い込んでくる。どのアドベンチャーレースでも、完走しただけで立派な功績と言えるのだ。
今回紹介するワールドクラスのアドベンチャーレーサーとして活躍するブラッデン・カリーからのアドバイスは、ルーキーはもちろん、ベテランレーサーにとっても、ベストリザルトを導き出すのにきっと役立つだろう。
1. ショートレースで慣れておく
アドベンチャーレースはハードコアなスポーツとして知られているけれど、最近は様々な形式で開催されていて、アウトドアに興味がある人なら誰でも楽しめるようになってきている。多くのレースにはショートレースが用意されているので、まずはこれに参加してみよう。ショートレースに参加して、スキルを学びつつ、自分の長所と短所を知ったあと、徐々に高難度のレースに参加することを推奨したい。僕たちは経験からしか学べないからね。
2. 厳密なトレーニングプランを立てる
トレーニングプランをしっかりと立てて、トレーニング量をコントロールしよう。体が疲弊してしまえば、怪我や病気に繋がってしまう。このような状況は楽しいものとは言えないけれど、この状況をわざわざ呼び込んでしまっている人はとても多い。また、レースで直面する可能性が高い地形や問題を事前に調べて、シミュレーションをしておくようにしたい。そして、トレーニングはルーティン化しておこう。定期的にトレーニングを重ねれば持久力がついてくる。持久力はアドベンチャーレースではとても重要だ。
3. 優秀なコーチをつける
コーチはトレーニングの管理を助けてくれる上に、バリエーションに富んだメニューも組んでくれる。自分を理解している人、自分がどれだけプッシュできるかを知っている人と組むことはとても重要だ。このようなコーチがついていれば、トレーニングに "重み" が出るし、トレーニングの感想をコーチに伝えれば、コーチがより厳しいメニューに変えたり、怪我とオーバートレーニングを避けるために休息日を設けたりと、スケジュールを調整してくれる。また、コーチと二人三脚で取り組めば、必要なトレーニングを全てこなしていると思えるので、レース当日の自信にも繋がる。
4. ピラミッドトレーニングを取り入れる
レースの激しさについていけないと、後方のグループに沈んでしまうので、週半分は、トレーニングセッションの全メニューで心拍数を限界まで高める努力をして忍耐力を鍛えよう。忍耐力はピラミッドトレーニングで鍛えることができる。1分トレーニングしたら1分休み、2分トレーニングしたら1分休む。これをトレーニングが5分になるまで続けて、そこから今度は逆に1分になるまで減らしていく。これで1セットだ。登り坂を使ったロングランやロングライドにこのトレーニングメソッドを取り入れてみよう。トレーニングの初期段階では1セットでOKだ。慣れてきたら3~4セットまで増やそう。
5. バイクライドを中心に据える
バイクライドを中心にトレーニングメニューを組むべきだ。バイクライドは汎用性が高く、体に大きな衝撃を与えずにランニングやトレッキングにも役立つ筋力と持久力を手に入れることができる。バイクライドで体がフィットしてきたと感じたら、バックパックを重くしたり、ヒルクライムに挑んだりして、筋力と持久力をさらに高めよう。また、バイクはアドベンチャーレース本番でも非常に役立つツールだ。レースでソリッドなバイクライドができれば、かなりのタイムを稼げる。
6. 脚力を鍛える
下り坂のランニングや、ランニングが体に与える継続的な衝撃は大きな影響を及ぼす。きちんと調整しておかないと、このようなランニングで溜まった疲れや痛みがレース中に一気に噴き出す可能性がある。そこで、レースに向けて脚力を鍛えておこう。登り坂と下り坂の両方でより大きな衝撃に耐えられるようになったら、バックパックにブロックを入れて重くし、耐久力をさらに高めてみよう。ジムでのストレングス&コンディショニングトレーニングも大きな助けになる。
7. カヤックの抵抗を大きくする
僕はパドリングのパワーを増やすために、レース用カヤックにテニスボールが先に付いたバンジーコードを装着している。これを装着するとカヤックの抵抗が増して、カヤックの挙動が変わる。急に進んだり、急に止まったりするようになるんだ。このようなカヤックでトレーニングをすれば、パドリングに必要な筋力を身に付けることができる。
8. スキルを増やす
アドベンチャーレースの中には、ロッククライミング、ユマーリング、キャニオニングなどのスキルが必要になるレースもあるから、色々体験しておくことが重要だ。最近は各スポーツの体験コースが充実しているから、試してみる価値は十分にある。何事も練習と慣れ、スキルの学習がものを言う。
9. レース直前はペースダウンする
レース直前の1週間はペースダウンしよう。何しろ、アドベンチャーレースはスタミナ勝負だ。僕はこの1週間を使って体を休めたり、ギアを揃えたり、睡眠を十分に取ったりして、万全の状態でレースに臨めるようにしている。
10. スタート直後のペースアップを狙う
誰もがレース当日はスロースタートでペースを作った方が良いと言うけれど、個人的にはまだフレッシュなスタート直後は、もう少しペースを上げても良いと思っている。そのためには、高負荷トレーニングが役に立つ。とはいえ、僕はデビューレースのGodzoneで、プッシュし過ぎて途中で脱落してしまったけれどね。僕が言えるのは、スタートからハードにプッシュしたいなら、メンタルとフィジカルの両方をしっかりと鍛えておく必要があるということだ。
1日8時間の高負荷トレーニングをこなしたあとでも体が悲鳴を上げないなら、レース当日もペースアップできるはずだ。フィジカルの限界を知っておくことは重要だけれど、同時にメンタルの限界を知っておくことも重要だ。メンタルが限界を迎えた時にさらにプッシュできるかどうか。これが自己ベスト更新か並の結果に終わるかを決めることになる。
11. 共通のゴールを用意する
メンタルの強さはレースの中で大きな位置を占めている。これは個人レースでもチームレースでも同じだ。チームレースでは、共通のゴールを設定してそれに向かって集中することが重要だ。また、厳しい状況下で冷静を保つ必要もあるので、レース当日に遭遇する可能性が高い問題を想定して、対処法を学んでおこう。
12. ヘルシーな食事を心がける
最近は数多くのサプリメントや栄養剤が出回っているけれど、自分の体を健康に保つために一番重要なのは日々の食事だ。食事で自分の体に負担をかけてしまえば、免疫力が下がってしまう。疲労を避けるためには正しい食事が必要なんだ。僕は加工食品や穀物類を避けている。パレオダイエットを実践していて、天然脂肪を大量に摂取している。あとは、無機塩、昆布、活性化させたナッツ類を混ぜたサラダ、ヘルシーなオイル(オリーブオイル、アマニオイル、ココナッツオイル)、そして栄養豊富なフルーツや野菜などを足している。
13. 足をケアする
水ぶくれは非常に痛いので、予防策としてワセリンを足に塗っている。また、足が濡れるトレッキングステージの前にはシリカゲルを用意している。良質なソックスを用意してレース中に履き替えよう。シューズは数回しか履いていないフレッシュなペアを選びたい。また、レース後半は足がむくむので、そのために通常よりも少し大きいサイズのシューズも用意しておこう。
14. 前夜に準備する
レース前夜にギアを整理しておいて、翌朝起きたらすぐに出掛けられるようにしておこう。ギアと食料を整理できているかどうかが、レースの結果を左右することは多い。