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サッカー
UEFAチャンピオンズリーグとは?:欧州クラブサッカー最大トーナメントの歴史と仕組み
ヨーロッパクラブサッカーの頂点に立つトーナメントの歴史と仕組み、ルールを解説する。
UEFAチャンピオンズリーグ(以下、CL)はヨーロッパクラブサッカーシーン最大のトーナメントだ。ヨーロッパ各国のトップリーグ計700以上のサッカークラブの中から選ばれし約80のサッカークラブがヨーロッパ最強の称号を目指して実力を競い合う。
CLは非常に激しくてエキサイティングなトーナメントで、監督たちが選手のローテーションや起用法に頭を悩ませる中、ダヴィド・ラウムのようなニューヒーローが毎試合登場している。CL優勝は同じ都市のライバルクラブや同じ国のライバルクラブに対してだけではなく、世界に自慢できるビッグタイトルだ。
2022年現在、このトーナメントの史上最強クラブはスペインのレアル・マドリードで、優勝14回・決勝進出17回を誇っている。
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チャンピオンズリーグの歴史
CLは1955-56シーズンに “ヨーロピアン・チャンピオン・クラブズ・カップ” として初開催され、当初はヨーロッパの異なる国の16クラブが参加した。その後数シーズンをかけて “ヨーロピアン・チャンピオン・クラブズ・カップ” は参加国と参加クラブを増やしていき、1960年までには32クラブが参加するようになっていた。
その後、“ヨーロピアン・チャンピオン・クラブズ・カップ” は1992-93シーズンから現在の名称に変更された。一時は32クラブが8グループ(1グループ4クラブ)に分けられてグループステージを戦ったあと、16クラブが4グループ(1グループ4クラブ)の2次グループステージへ進出するフォーマットが採用されたが、2003-04シーズンに新フォーマットが採用されてからは現在までほぼ変更されていない。以下に、この新フォーマットについて解説していく。
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チャンピオンズリーグの仕組み
グループステージ
2022-23シーズンのCLには78クラブが参加した。グループステージ出場枠は32だが、RBライプツィヒやレッドブル・ザルツブルクのような自国リーグの前シーズン(2021-22シーズン)で上位成績を収めた26クラブがグループステージ出場権を自動的に獲得する。そして、78クラブからこの26クラブを引いた52クラブが、6つのグループステージ出場枠を目指して夏の予選を戦うことになる。
予選が終了して32クラブが出揃うと、次は8クラブずつの4ポットに振り分けられる。前回CL王者、ヨーロッパリーグ王者、UEFAカントリーランキング(国内リーグのランク付け。変動制)6位までがポット1に入る(前回CL王者とヨーロッパリーグ王者がUEFAカントリーランキング6位までの国に属するクラブの場合は、UEFAカントリーランキング7位以下の国のクラブが繰り上がる)。
ポット2〜4まではUEFAランキング(UEFA係数)によって振り分けられる。UEFAクラブランキングとは公式戦の結果に基づいてUEFA圏内の各クラブを評価したランキングで、このランキングの上位8チームがポット2、次の8チームがポット3、最後の8チームがポット4に入り、ポット1を含む各ポットから1クラブずつが選ばれて1グループを構成する。
グループステージに進出したクラブはそれぞれ計6試合を戦う(同グループに振り分けられた他の3チームとのホーム&アウェイ形式)。このグループステージでは、勝てば3、負ければ0、引き分けなら1の勝ち点を獲得できる。各グループの上位2チームが決勝トーナメントへ進出し、3位チームはヨーロッパリーグへ回る。最下位は敗退となり、ヨーロッパレベルでの戦いを終えることになる(国内リーグおよびカップ戦だけになる)。
決勝トーナメント
各グループの上位2チームが決勝トーナメントへ進出する。ベスト16の前に抽選が行われて首位チームが他のグループの2位チームと対戦する8カードが決まるが、同じグループや同じ国同士の対戦にならないように配慮される。
ホーム&アウェイ形式の2試合で勝ち点の多いクラブが勝者になる。勝ち点で並び、通算得点でも並んでいる場合は、前後半15分の延長戦が行われ、それでも決まらない場合はPK戦が行われる。このフォーマットはベスト16、ベスト8(準々決勝)、準決勝で採用される。
ベスト16が終わると、ベスト8と準決勝の抽選が再び行われる。ここから先は同じグループや同じ国同士の対戦も可能になる。ベスト8と準決勝もベスト16と同じようにホーム&アウェイ形式で行われ、勝ち点が多いクラブが次へ進出する。
ちなみに、2015-16シーズンのレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードのように、同じ都市をホームとするクラブがベスト8または準決勝まで残り、それぞれが異なるクラブと対戦する場合は、24時間以内に両クラブがホーム試合を戦うことはできない。つまり、片方がホーム試合を戦うのなら、もう片方はアウェイ試合を戦わなければならない。
決勝
CL決勝の開催地は数年前に決まることが多く、2022年現在は2025年の決勝開催地まで決定しているが、かなり前に決められるがゆえに、偶然にも決勝へ進出したクラブのホームスタジアムになってしまうときがある。直近の例は2011-12シーズンで、決勝のバイエルン・ミュンヘン対チェルシーがバイエルン・ミュンヘンのホームスタジアム、アリアンツ・アレーナ(ネーミングライツの事情からUEFA主催試合ではフースバル・アレーナ・ミュンヘンと呼ばれる)で開催された。
決勝トーナメントの他の試合とは異なり決勝は一発勝負となる。前後半45分で決着がつかなかった場合は、前後半15分の延長戦が開催され、それでも決着がつかなかった場合はPK戦に突入する。
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グループリーグの順位・勝者の決め方
CLはかなりの数のクラブが夏の予選から5月の決勝までの長期に渡って試合を続けるため、当然ながら互角の勝負がいくつか生まれることになる。決勝トーナメントでの勝者の決め方についてはすでに説明したが、以下にグループステージで並んだ場合の順位・勝者の決め方を解説していく。
- 当該クラブ同士の直接対決の勝ち点:グループステージでクラブAとクラブBが並んだ場合、クラブA対クラブBの2試合の結果が考慮され、クラブAが2勝していたらクラブAが上位として扱われる。
- 当該クラブ同士の直接対決の得失点差:直接対決が1勝1敗で並んでいる場合は、具体的なスコアが考慮される。クラブAが3-0、クラブBが2-0で相手に勝利していた場合は、得失点差の多いクラブAが上位として扱われる。
- 当該クラブ同士の直接対決の総ゴール数:最も多くゴールを決めたクラブが上位として扱われる(3クラブ以上が並んだときのみ適用される)。
- グループリーグ全試合の得失点差:グループリーグ6試合を戦ったクラブAの得失点差が+2でクラブBが+4だった場合、クラブBが上位として扱われる。
- グループステージ全試合の総ゴール数:グループリーグ6試合でクラブAが10ゴールを決め、クラブBが7ゴールを決めた場合、クラブAが上位として扱われる。
- グループステージの総アウェイゴール数:グループリーグ6試合のアウェイ3試合でクラブAが4ゴールを決め、クラブBが7ゴールを決めた場合、クラブBが上位として扱われる。
- グループステージでの総勝利数:グループリーグ6試合でクラブAが2勝4敗、クラブBが0勝6分だった場合、クラブAが上位として扱われる。
- グループステージの総アウェイ勝利数:グループリーグ6試合のアウェイ3試合でクラブAが1勝、クラブBが2勝した場合、クラブBが上位として扱われる。
- 懲罰ポイント:イエローカード1枚で1ポイント、イエローカード2枚またはレッドカードによる退場で3ポイントが与えられる。総懲罰ポイントが少ないクラブが上位として扱われる。
- UEFAランキング:UEFAランキング上位のクラブが上位として扱われる。
チャンピオンズリーグはヨーロッパ最高のクラブサッカートーナメントで、世界最強クラスのサッカークラブが出場する。アンドレ・シウヴァやモハメド・シマカンのような才能溢れる選手がいるだけではこのトーナメントで優勝することはできない。クラブ全体の心血を注いだ努力と少しばかりの運も必要になる。
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