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フリースキー

『Circus Bösch』:ファビアン・ボッシュのフリースキーサーカス!

バランスボールや空中ブランコ、逆さまのレールなどユニークなフィーチャーが所狭しと配置されたフリースキーサーカスの全貌を動画とテキストでチェック!
Written by Benjamin Saldias
読み終わるまで:6分Published on
ファビアン・ボッシュワールドタイトルX Gamesゴールドメダルを手にしてきた他、スキージャンプ台でのダブルフロントフリップでバイラルヒットも生み出してきたが、最新プロジェクト『Circus Bösch』で、このスイス人フリースキーヤーはフリースキーの常識を一新することに成功した。
サーカスをテーマにした『Circus Bösch』でのボッシュは、スイスのベルン・アルプスにそびえるシルトホルンをフリースキーサーカスへと変え、空中ブランコ巨大なバウンスボールレールなどを駆使して前代未聞のトリックを次々とメイクし、フリースタイルスキーをネクストレベルへ引き上げた。
まずはページ最上部で『Circus Bösch』をチェック!
『Circus Bösch』でフリースキーをネクストレベルへ導いたファビアン・ボッシュ

『Circus Bösch』でフリースキーをネクストレベルへ導いたファビアン・ボッシュ

© Lorenz Richard/Red Bull Content Pool

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アイディア誕生

『Circus Bösch』でのファビアン・ボッシュは、意外な場所、“ジム” からインスピレーションを得た様々なフィーチャーに挑戦している。ボッシュは何年も続けてきたバウンスボールを使ったトレーニングからヒントを得ると、このフィットネス用具をスキージャンプの一部にしてしまうというアイディアを思いついた。
そして、このアイディアから “サーカス” というより大きなアイディアが生まれ、雪山にバウンスボールを埋め込んだフィーチャーやカスタムメイドの空中ブランコ、レールなどが次々と用意された。
下の画像をクリックして『Circus Bösch』のために用意されたユニークなフィーチャー群をチェック!
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アイディアの実現

『Circus Bösch』のアイディアはボッシュの頭の中で生まれたが、周囲からの助けを得なければ壮大でユニークなトリックの数々は実現できなかった。幸運なことに、ボッシュにはアイディアを現実化してくれる優秀なチームがいた。革新的なスノーパークのデザインと造設を手がけるスイス企業Helveparkが、“山頂サーカス” という一筋縄ではいかないチャレンジに挑んでくれたのだ。
Helveparkはボッシュと密に連絡を取り合いながら、彼がトリックをメイクできるカスタムメイドの空中ブランコやレールを建造した。同社のプロジェクトマネージャーのスヴェン・トラーは「あのようなフィーチャーの建造は前例がありませんでした。アイディア自体が弊社には存在しませんでしたし、私たちだけでは実現できませんでした」と振り返っている。
Helveparkはスキーリゾート内のスノーパークのデザイン・建設・メンテナンスを担う企業で、事業内容が非常に特殊で専門性が高いことから一部のツールを自社製作している。
今回のプロジェクトでアリーナ中央に設置された、幅の狭いランプとビッグエア用ジャンプは彼らが得意としているものだったため、放物線や滞空時間、衝撃などが細かく計算されて建造されたが、ユニークなフィーチャー群をひとつにまとめるのは至難の業だった。ボッシュは次のように説明している。
「Helveparkのシェイパーから色々な種類のフィーチャーをどのように設置したら良いのかと質問されましたが、私には彼らのアイディア以外にアイディアがありませんでした。ですので、様々なオプションを試し、お互いの知見と直感を交換しながら、全体を作り上げていきました」
ボッシュとチームの協働で実現した逆さまのレール

ボッシュとチームの協働で実現した逆さまのレール

© Jan Cadosch/Red Bull Content Pool

お互いの知見と直感を交換しながら、全体を作り上げていきました
Helveparkはボッシュのアイディアを元に3Dデータを作成したあと、金属加工の専門業者と土木業者に要請してプロジェクトに必要な空中ブランコとワイヤーを製作。最終的に5人のチーム2週間をかけてサーカスを完成させた。
「成功するかどうかは分かっていなかったのですが、私とシェイパーたちは成功すると直感していました」とトラーは振り返る。「今回のプロジェクトからは、低温下でのバランスボールのバウンスの違い、逆さまのレールを機能させる方法、空中ブランコに必要な高さなど多くを学ぶことができました。ファビアンがランごとに精度を高めてすべてを攻略していく様子は素晴らしかったですね」
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トレーニングから本番へ

ボッシュの『Circus Bösch』に向けたトレーニングはジムから始まった。普段のトレーニングからバランスボールを取り入れているボッシュは、どのようにボールが動くのかを理解していたため、スキーを履いた状態でのボールの反応もある程度予測できていた。

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『Circus Bösch』:逆さまレール

フリースタイルスキーヤーのファビアン・ボッシュが逆さまでのレールライドに挑戦!

しかし、今回のプロジェクトは完全に新しい複数の要素が絡んでいたため、ボッシュは常に再計算して、可能性を再確認する必要があった。そして、雪山で事前に用意していたトリックを数回試したあと、ボッシュは上手くいくと確信したのだった。

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『Circus Bösch』:空中ブランコ

フリースタイルスキーヤーのファビアン・ボッシュがカスタムメイドの空中ブランコに挑戦!

それでも、ボッシュが用意していた12種類のトリックを雪山で試せる日数は10日しかなく、さらには悪天候の影響で10日が3日に減ってしまった。12種類のトリックを3日でマスターするというのはかなりの強硬スケジュールで、ボッシュはプロジェクトの難度の高さを感じ取っていた。ボッシュは次のように振り返っている。
「『Circus Bösch』はビッグイベントへの出場と同じくらいチャレンジングでした。厄介だったのはちょっとしたミスでした。30回トライして30回ミスする、その繰り返しが難しかったです。イベントは私ひとりですので、ミスしても困るのは私だけです。ですが、『Circus Bösch』には20人が関わっていたので、誰も困らせたくありませんでした

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『Circus Bösch』:スラックライン

フリースタイルスキーヤーのファビアン・ボッシュがスキーでのスラックラインに挑戦!

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ファビアン・ボッシュとは?

ファビアン・ボッシュは1997年7月6日にスイス・エンゲルベルクで生まれた。現在はワールドクラスのフリースタイルスキーヤーのひとりに数えられており、これまでにスロープスタイルとビッグエアでの世界選手権優勝X Games優勝を記録している。近年はビデオパートの制作に力を入れており、『Circus Bösch』はその集大成と言える作品だ。
尚、2026年にイタリアのミラノとコルティナダンペッツォで開催される冬季オリンピックを目指して、今後2年はイベント出場にフォーカスしていくことを明らかにしている。
クリエイティブなマインドでフリースタイルスキーシーンを牽引するボッシュ

クリエイティブなマインドでフリースタイルスキーシーンを牽引するボッシュ

© Lorenz Richard/Red Bull Content Pool

今回のプロジェクトを実行できたことに感謝していますし、またいつかこのようなプロジェクトを手がけて、トリックやムーブメントを追求したいです
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