オフィスで仕事に取りかかっている最中、必死でモチベーションを高めたいと思っているのに、どうしても眠くなってしまう… このような経験をした覚えはないだろうか?
自分のポテンシャルを引き出す方法として最も効果的なもののひとつが、朝や午後のエクササイズだと言われると意外に思うかもしれない。
しかし、エクササイズは引き締まった身体を手に入れるためだけではなく、オフィスワークにも無数のメリットをもたらすのだ。
そこで、我々はコレクティブ・エクササイズの専門家エイドリアン・ストークスに話を聞き、エクササイズの習慣化が仕事の生産性を高める理由を解説してもらった。
1. 脳と身体のストレス耐性を高める
プレッシャーの大きな仕事で気落ちしているなら、朝のエクササイズが特効薬だとエイドリアンは提案する。
「エクササイズは身体に負荷をかけ、ストレスホルモンのコルチゾールを発散させるので、いつ・どのようなエクササイズを行うかが重要です」
「体内のコルチゾール量が高くなる時間帯は朝なので、人体の自然なサイクルに沿うには、早い時間帯によりハードなエクササイズを行う方がベターでしょう」
「夜には隠ヨガやフローヨガなどの穏やかなエクササイズに集中すれば、身体が落ち着き、ぐっすりと眠れるでしょう」
2. 睡眠の質が向上する
エクササイズは肉体を疲れさせると同時に精神を和らげ、よりぐっすりと眠る手助けとなる。しかし、過度にハードなエクササイズはむしろ逆効果だとエイドリアンは指摘する。
「過酷なウエイトトレーニングセッションやハードな有酸素セッションをこなすと、コルチゾール分泌パターンが乱されて神経過敏になり、眠れなくなるケースがあります」
「低負荷のワークアウトでも身体への効果は十分で、筋力や敏捷性を高めながら、身体が眠りに向かう準備を手助けしてくれます」
3. 集中力が高まる
エクササイズを行うと、血と脳脊髄液(CSF;cerebral spinal fluidとも呼ばれ、神経系における血液供給のような働きをする)の流れが促進され、その結果、集中力が高まり、次に大きなプロジェクトに取り組む際に能力を最大限発揮できるようになる。
エイドリアンは次のように説明する。
「日常的にエクササイズを行い、脳に送る酸素を含んだ血液の量を増やせば、短期的なメリットはもちろん、歳を重ねたあとの記憶力と身体協調性を高める手助けにもなります。長期的な仕事効率化にも貢献するのです」
4. 気力低下・不安感を解消する
気分の良い時は、往々にして仕事も快調に進むものだ。しかし、常にそういかないのも事実だ。エイドリアンは次のように語る。
「エクササイズを行うと、体内でセロトニンが分泌されます。セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質で、腸の中でも生成されます。気分を向上させると同時に、気分の落ち込みや不安感を解消する効果があります」
「また、セロトニンは “また同じ感覚を得たい” という気持ちにさせる快楽物質なので、モチベーション維持にも効果的です」
5. 背中や腰の痛みを軽減する
1日の大半がデスクワークの人も、フィットネスを維持・向上させれば、仕事の邪魔になる特定の疾患のリスクを減らせるというメリットが得られる。
エイドリアンは「実は、エクササイズはデスクワーカーにこそ不可欠なものなのです」と語る。
デスクワーカーが共通して訴える悩みは背中や腰の痛みで、これは悪い姿勢を長時間続けることで生じる。正しいエクササイズを行えば筋力とその持久性が向上する上に、柔軟性と姿勢も改善されるので、背中・腰の痛みの軽減と予防に役立つ。
6. 病欠が減る
「日常的なエクササイズは免疫力を向上させるので、風邪やインフルエンザにかかるリスクや、病欠する回数が減ります。ですが、オーバートレーニングしないように注意してください。体への負荷が大きすぎると、免疫力が低下してしまいます」とエイドリアンは語る。
身体の声に耳を傾けて、必要な時は休むようにしよう。
7. 仕事のモチベーションを高める近道
仕事の生産性を高めるためには、適度なエクササイズを短時間でこなすのが効果的だ。疲れ切ることなく気分を向上させ、ストレスを軽減し、認識力を高められる。
「他の多くのビジネスパーソンと同じように、ジムに行く時間を作りにくかったり、ランニングやサイクリングに出かける時間が見つけにくかったりするなら、たった30分でも構わないのでエクササイズに取り組んでみてください。大きな違いが得られます」とエイドリアンは語る。
自宅でもできる最も手短でシンプルなワークアウトは、自重エクササイズや短距離のジョギング、早足でのウォーキングだ。これらは消化を活発にし、ランチ後の膨満感を軽減するのにも役立つ。
8. 健康問題の発生リスクを減らす
エイドリアンはデスクワーカーにとってのエクササイズの重要性をあらためて強調し、次のように語る。
「私たちの身体は日常的に動かさなければならないようにできています。1日中座りっぱなしでいると、様々な健康障害の原因となるだけでなく、日々無気力になっていきます」
ジムなどでの集中したワークアウトとは別に、1日を通して意識的にもっと身体を動かすようにしよう。エレベーターの代わりに階段を使ったり、電話やメールの代わりに同僚の元へ向かって直接話したりしてみよう。
このような小さな変化は、気分をフレッシュに保つ手助けとなるばかりか、生産性を高めると同時に業務中に運動不足も解消できる。