F1は4輪モータースポーツの最高峰と考えられている。その強烈なスピード、究極のエンジニアリング、ドラマティックなバトル、さらにはこのスポーツを取り巻く大きな興奮によって、F1世界選手権は1950年の創設以来独自の地位を保ち続けている。
そして同時に、F1の歴史にはいくつかの目覚ましい大記録が刻まれてきた。今回は、興奮と衝撃、そして驚きに彩られた様々なF1スピード記録をリストアップした。
48分
Unfiltered -最高幹部の戦略-
監督のクリスチャン・ホーナーと、チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイはいかにしてレッドブル・レーシングをF1の頂点に導いたのか。彼らの素顔や今までの敗北の歴史から、勝利そして世界最高のタイトル獲得までの軌跡を語る。
01
最速ピットストップ
レッドブル・レーシング
記録:1.82秒
2019シーズン ブラジルGPでマックス・フェルスタッペンが乗るRB15のタイヤ4本を交換するのにレッドブル・レーシングが要した時間は、わずか1.82秒だった。レッドブル・レーシングはその前のシーズンですでに3度に渡り世界最速ピットストップ記録を更新していたが、彼らは基準を引き上げ続けた。
この世のものとは思えないほどの驚速ピットストップは、レッドブル・レーシングのお家芸であり続けている。また、最速記録だけでは飽き足らないレッドブル・レーシングのピットクルーたちは、上空10,000mでのピットストップも達成している。前代未聞の “無重力ピットストップ” は下の動画で確認できる:
2分
無重力ピットストップ
2019シーズンに3回も最速ピットストップ記録を更新したアストンマーティン・レッドブル・レーシングが新たなチャレンジに挑む。 ロシア国営宇宙公社ロスコスモスの協力を得た彼らは、F1マシンRB1(2015年)をモスクワ近郊にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターへ持ち込み、自分たちに限界が存在しないことを証明することにしたのだ!
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02
最多出走回数
フェルナンド・アロンソ
記録:379戦(2024シーズン サウジアラビアGP終了時点)
F1の歴史において、フェルナンド・アロンソより多くのレースに出走したドライバーはいない。2005シーズンと2006シーズンにワールドチャンピオンを獲得したこのスペイン人ドライバーは、それまでキミ・ライコネンが保持していた349戦の出走回数記録を2022シーズンに更新した。
2024シーズンも現役を続行しているアロンソは、出走回数記録を379戦まで伸ばしている(第2戦サウジアラビアGP終了時)。
03
決勝レース中の瞬間トップスピード
バルテリ・ボッタス
記録:372.5km/h
F1はその息を呑むようなスピードで知られているが、2016シーズン メキシコGPの決勝レース中にバルテリ・ボッタスが372.5km/hの公式トップスピードを記録し、新たなベンチマークを樹立した。FIA非公式記録では373.3km/hとされているが、いずれにせよボッタスはF1史上初めて決勝レース中に時速370km/hの壁を破ったドライバーとなった。
04
最短罰金ペナルティ
セバスチャン・ベッテル(2006シーズン トルコGP)
記録:6秒
セバスチャン・ベッテルは最年少ワールドチャンピオンから最多連勝記録まで、F1史におけるあらゆる記録を塗り替えた経験を持つ。しかし、今回紹介する珍記録を知る人は決して多くないはずだ。
2006シーズンのトルコGP金曜フリー走行で、ベッテルはBMWザウバーのテストドライバーとしてF1公式セッションデビューを飾った。
しかし、セッション開始を知らせるシグナルが点灯し、意気揚々とアクセルを踏み込んでガレージから飛び出したものの、勢い余ってピットレーンの速度制限を超過してしまい罰金ペナルティを言い渡されてしまった。彼のF1キャリアが幕を開けてわずか6秒後の出来事だった。
05
最年少優勝
マックス・フェルスタッペン
記録:18歳227日
マックス・フェルスタッペンによる記録破りのキャリアは、本格的なデビューの前準備としてジャン=エリック・ベルニュに代わってスクーデリア・トロ・ロッソ(現ビザ・キャッシュアップRB)のシートに収まった2014シーズンから始まった。フェルスタッペンは2014シーズン 日本GPフリープラクティスに17歳3日で出走し、史上最年少でのF1レースウィークエンド参加を記録した。
その後、2015シーズンに史上最年少ポイントを達成したフェルスタッペンは、2016シーズンにレッドブル・レーシングへ移籍。そして、移籍初戦のスペインGPでいきなり優勝をさらったフェルスタッペンは、18歳227日でF1史上最年少ウィナーとなって歴史に名を刻み、それまでセバスチャン・ベッテルが保持していた最年少優勝記録を更新した。
06
最年少ドライバー / 最年長ドライバー
マックス・フェルスタッペン / ルイ・シロン
記録:17日166日 / 55歳292日
史上最年少ウィナーが史上最年少決勝スタート記録も保持しているのはまったく驚きではない。スクーデリア・トロ・ロッソからシートを託されたフェルスタッペンは、17歳166日で2015シーズン開幕戦オーストラリアGPのグリッドに並び、それまでハイメ・アルグエルスアリが保持していた最年少参戦記録を約2歳更新した。
反対に最年長参戦記録へ目を向けてみると、F1史上最年長のグランプリ参戦を記録したのはモナコ人ドライバーのルイ・シロンだ。シロンは1958シーズン モナコGPのプラクティスに55歳292日で参加した(予選不通過のため決勝レースには出走できず)。
07
予選での最小ラップタイム差記録
1997シーズン ヨーロッパGP
記録:1位〜3位が同じラップタイム(0.000秒差)
フェラーリのミハエル・シューマッハとウィリアムズのジャック・ヴィルヌーブがわずか1ポイント差で迎えた1997シーズン最終戦ヨーロッパGP(へレス)での直接対決は今も語り草だが、その予選での熱戦がレースにさらなる興奮を与えたことも忘れてはならない。
まずヴィルヌーブが1分21秒072で暫定ポールを奪うと、その数分後にシューマッハが同一のラップタイムを記録。さらにヴィルヌーブのチームメイトのハインツ=ハラルド・フレンツェンもタイトル候補2人と同一のラップタイムを記録した。マシン3台、ドライバー3人が1000分の1秒まで同一タイムで並ぶ熾烈極まる予選だった。
08
最短レース(赤旗中断を除く)
ミハエル・シューマッハ
記録:1時間14分19秒838
史上最短のF1レースは “スピードの殿堂” として知られるモンツァで記録された。ミハエル・シューマッハは2003シーズン イタリアGPを平均時速247.585km/hで駆け抜けて優勝。レースタイムはわずか1時間14分19秒838だった。
この結果、2003シーズン イタリアGPは赤旗による中断を除く史上最短のF1レースとして記録された。
09
最小タイム差での優勝
1971シーズン イタリアGP
記録:1位~3位までのタイム差がわずか0.09秒
F1史に残るフィニッシュ・シーンは数多くあるが、マシン5台が互いのスリップストリームを利用し合いながらフィニッシュラインになだれ込んだ1971シーズン イタリアGPのフィニッシュ・シーンほど強烈なものはない。
優勝したピーター・ゲシン(BRM)と2位ロニー・ピーターソン(マーチ)のタイム差はわずか0.01秒。優勝したゲシンから0.09秒遅れで3位となったのはフランソワ・セヴェール(ティレル)で、4位マイク・ヘイルウッド(サーティース)が1位から0.18秒遅れ、5位ハウデン・ガンレイ(BRM)は1位から0.61秒遅れで続いた。
F1史でこれほどの僅差でトップ5がフィニッシュしたレースは他にない。
10
最短キャリア
マルコ・アピチェッラ(1993シーズン イタリアGP)
記録:走行距離800m
歴史を振り返ってみると、出走1戦だけでF1から去っていったドライバーは決して少なくない。しかし、1993シーズン イタリアGPで初出走を記録したマルコ・アピチェッラほど短いF1キャリアを持つドライバーはいないだろう。
全日本F3000選手権で活躍を見せていたイタリア人ドライバーのアピチェッラはエディー・ジョーダンの目に留まり、ジョーダンから1戦限りの契約で母国イタリアGPでF1デビューを飾ることになった。
しかし、アピチェッラはレーススタート1周目最初のシケインで起こった多重クラッシュに巻き込まれ、F1キャリアはあっけなく終わってしまった。スタートからわずか数秒のことであった。
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