G2 Gozen celebrate onstage at the VALORANT Game Changers Championship Finals Stage on November 20, 2022 in Berlin, Germany.
© Wojciech Wandzel/Riot Games
eスポーツ

G2 Gozen:『VALORANT』女子世界最強チームへの道のり

Game Changers優勝2回とWorld Championship優勝を記録して世界の頂点に立った女子チームの2022シーズンを振り返る。
Written by Miri Teixeira
読み終わるまで:8分Published on
G2 Gozenほど紆余曲折を経験したeスポーツチームはほとんどいない。彼女たちは最高の成績を収め、長年のライバルに勝利し、『VALORANT』で世界トップレベルの対戦を演出してきた。
G2 Gozenが特別な理由はどこにあるのか?
『VALORANT』のeスポーツシーンを席巻している彼女たちは、2022シーズンだけで3個のメジャートロフィーを手にしていることに加え、メンバーそれぞれがチームにユニークなダイナミクスを持ち込んでいる。チームの誰もが『VALORANT』への大きな愛情を持ちながら若い頃からの献身を結果に繋げており、さらには素晴らしいチームプレイヤーになれる才能を備えている。
2023年が始まり新シーズンを迎えるこのタイミングで、昨シーズンのG2 Gozenの活躍を振り返っていこう。
01

2022シーズンの始まり

2022年末、Michaela “mimi” Lintrupは2022シーズンの自分たちのプランが実にシンプルだったことを明らかにした。
「私たちの第一目標はチャンピオンシップ出場権獲得でした。そのためにはすべてのトーナメントで優勝する必要がありました。それが不可能なら、最低でもEMEAのファイナルに辿り着く必要がありました。私たちは2022シーズン最強の女子チームになりたかったのです」
2022シーズンを迎えたG2 Gozenは前シーズンから少し様変わりしていた。2021年10月のチーム創設から共に歩んできたAnja “aNNja” Vasalicがシーズン開幕前にGuild Xへ移籍したのだ。
その代わりに入ったのが、チーム全員が「正しいバイブスを備えている」と評価したAnastasia “Glance” Anisimovaだった。mimiは「正しいバイブスを備えていることは非常に重要です。プレイ中もプレイしていないときもチームメンバー全員と繋がれるかどうかが大切なのです」と語っている。
そして、G2 GozenはEMEA Game Changers Series 1のファイナルまで進出し、ここで2022シーズン最強のライバルとなるGuild Xと対戦した。
このファイナルでは両チームの激しいバトルが繰り広げられたが、最終的にはG2 Gozenの実力が上回り、終わってみれば彼女たちが落としたのは1マップだけだった。《アセント》を13-7、《バインド》を13-4で制した彼女たちは、2022シーズン最初のGame Changers優勝を手にした。G2 Gozenには自信とスタイルが備わっていた。
冷静に集中を保ち、トーナメントの雰囲気に飲み込まれていなかった彼女たちは続くSeries 2を戦う準備ができていた。ファンたちは彼女たちのSeries 1での活躍に十分満足していたが、Series 2では舌を巻くことになった。
2022シーズンにブレイクしたGlance

2022シーズンにブレイクしたGlance

© Michal Konkol/Riot Games

02

圧倒的なパフォーマンス

Series 2が始まると、G2 Gozenが絶好調なことは誰の目にも明らかだった。彼らのゲームプレイはさらにタイトで、滑らかでスタイリッシュだった。チームメンバーひとりひとりの個性が光り輝き、それらがひとつにまとまることでチームはさらに強度を高めていた。
初日からトーナメントを圧倒した彼女たちは、Round 3でGuild Xと対戦するが、この対戦は過去最高レベルの激しい展開となり、両チームのライバル関係をさらに深めることになった。バトルはオーバータイムにもつれ込んだが、G2がメンタルで上回って勝利を手にし、Guild Xは手痛い1敗を喫した。
両チームはSeries 1と同じくファイナルで再び顔を合わせ、こちらも激しい対戦となった。またもオーバータイムとなったあと、防衛に力を入れたGuild Xが流れを引き寄せ始めたが、結局ここでもG2 Gozenが勝利を手にした。
Julia “juliano” Kiranと引退を発表していたZainab “zAAz” TurkieのコンビがGuild Xの全チームメンバーをキルし、エースという最高の形で締めくくったこのファイナルは、間違いなく『VALORANT』史に残るだろう。
03

チャンピオンシップへの道

最後のSeries 3が始まる前のタイミングでG2 GozenはzAAzを失った。2022年5月、彼女は17年のプロキャリアを終えて引退したのだ。その後釜に収まったのがMaryam “Mary” Maherだった。
Maryはまだ16歳だったがすぐにチームに馴染み、ファンたちの間で人気を獲得した。mimiは「Maryは非常に明るくてオープンな性格です。シャイではありません。あっという間にチームに順応してくれたので、私たち全員が快適に感じています」と評価している。
Series 3はG2 Gozenにとってパーフェクトな展開にはならなかったが、ファンの期待通りの情熱溢れるプレイを披露。序盤のG2 Gozenはトーナメントを圧倒し、アッパーブラケットのセミファイナル対Guild X戦まで無敗を続けた。
このGuild X戦を落としたことがファイナルでの再戦まで響くことになり、今回はGuild Xが優勝した。この対戦で両チームのライバル関係はさらに深まったが、2位で終えたG2 GozenはGame Changers Championship 2022出場権を手にした。また、G2 Gozenは敗戦から学ぶことも忘れなかった。mimiは次のように語っている。
ファンの間ですぐに人気を獲得したMary

ファンの間ですぐに人気を獲得したMary

© Michal Konkol/Riot Games

「Series 3のパフォーマンスから、自分たちのロールがハマっていなかったことが分かりました。Maryはハードフラガーとして非常に優秀で、だからこそ彼女をチームに誘いました。ですので、サポートが必要な彼女をイニシエーターに据えて逆にチームメイトをサポートさせるのはナンセンスでした。ですので、Series 3のあとロールを入れ替えることにしました」
世界を代表する8チームがドイツ・ベルリンで開催されるGame Changers Championship 2022に向けて準備を進めていたが、G2 Gozenがどのような力を秘めているのかは誰も知らなかった。
北米EMEA東アジアブラジル南米、そしてAPACを代表するチームが初めてオフラインで集結したこのイベントでは、どのチームも自分たちのキャリアを決める戦いに向けて準備が整っているように見えた。
Maryは次のように振り返っている。「開幕戦のゲーム1で頭が真っ白になったことを覚えています。“どうなっているの?” と思いました。初日は心底緊張しました。ですが、チームメイトが助けてくれたので、そのあとはかなり楽になりました」
Game Changers Championship 2022が始まり、APAC代表のX10 Sapphireとの対戦を迎えた瞬間からG2 Gozenは絶好調だった。トーナメントを圧倒し、Cloud9 White戦で重要な勝利を手にすると、彼女たちはアッパーブラケットファイナルまで一瞬で駆け上がった。
ここで、南米のGame ChangersでG2 Gozenと同じように圧倒的な強さを見せていたTeam Liquid Brazilとの対戦を迎えると、G2 Gozenのトーナメントはヒートアップしていった。この対戦はオーバータイムにもつれ込み、高いスキルを持つ両チームは互角の戦いを見せたが、最後はG2 Gozenが勝利を手にした。
2023シーズンに向けて準備を進めるmimi

2023シーズンに向けて準備を進めるmimi

© Fabio Piva / Red Bull Content Pool

04

グランドファイナル

Game Changers Championship 2022のグランドファイナルまで駒を進め、歴史的なシーズンを手にしようとしていた彼女たちの前に立ちはだかった最後の壁が、あらゆる下馬評を覆してローワーブラケットからグランドファイナルまで進出していた北米代表Shopify Rebellion GCだった。このチームに攻撃力が備わっているのは明らかで、G2 Gozenとほぼ互角に思えた。
序盤は、勢いに乗っていたShopify Rebellion GCに押し込まれてしまい、G2 Gozenにとって苦しい展開となった。しかし、素晴らしいことにここからG2 Gozenは盛り返して逆転スウィープを決めると、一気にトロフィーを獲得した。
こうしてG2 Gozenは世界最強のGame Changersチームとなった。しかし、彼女たちにとって2023年はどのような1年になるのだろうか? mimiは、チームは次のシーズンへ向けて気持ちを切り替えているとし、次のように続けている。
「間違いなくどのチームからも狙われるはずですが、プレッシャーを感じる必要はありません。同じことを繰り返すだけです。私たちが誰かを恐れることはありませんし、自信過剰になることもありません。1ゲームずつ楽しむだけです」
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