「この地球上には新発見の余地など残されていない」と悟ったつもりになっている人は、黙ってGoogle Earthをチェックしてみよう。
現代の衛星写真テクノロジーにより、ラップトップとマウスさえあれば誰でも自由に宝探しができるようになったが、実際に世界の新たなる不思議を発見するのは簡単ではない。
Google Earth誕生後、誰も知らなかった美しいナチュラルスポットを発見できている人はごくひと握りしかいない。今回は、その中でも屈指の7スポットを紹介しよう。
Google Earthに座標情報をコピー&ペーストして、気が遠くなるような地球の大きさをあらためて味わってもらいたい。
01
1. 北極圏の氷冠に浮かぶ “2つの銀河”
- 場所:グリーンランド
- 発見年:2017年
- 発見者:サラ・マクネア=ランドリー / エリック・ブーマー / ベン・ストークスベリー
- 座標:71.3183N 050.7094W / 71.3639N 051.0817W
この北極圏の氷冠を流れる1組の融氷流水は、グリーンランド極北の低解像度衛星写真を見ていた3人のパドラーによって発見されたあと、カヤッカーが訪れた世界最北の川として記録に残ることになった。
パドラー3人はこの発見をテーマに定めたRed Bull TVのドキュメンタリー作品『Into Twin Galaxies』を制作した。
この映像には、彼らが氷冠上空を約1,000kmもカイトスキーで飛んで川へ向かう姿や、未開拓の川をパドリングする姿が含まれている。マクネア=ランドリーは次のように語っている。
「Google Mapsがきっかけでこの川を見つけましたが、北極圏周辺は解像度が低く、私たちが発見した画像は2012年8月時点のものでした。ですので、現地の状況を完全に把握しないまま現地に向かいました」
02
2. 廻る浮島
- 場所:オホ・デ・ラ・ティエラ / パラナ三角州(アルゼンチン)
- 発見年:2016年
- 発見者:セルジオ・ニュースピラー(映画監督 / プロデューサー)
- 座標:34°15'07.8" S 58°49'47.4" W
“大地の目(Ojo de la Tierra)” という別名を持つこのミステリアスな浮島は、アルゼンチン東北部にある人里離れた湿地帯の湖で絶えず回転している。
この島は、ロケハンをしていたホラー映画監督セルジオ・ニュースピラーよって発見され、その後の現地調査によって水中から沸き出すメタンガスがこの島を浮かせているのだろうという結果が出された。
しかし、この島がどのように形成されたのかについては定かではない。
03
3. 世界最大の天然橋
- 場所:仙人橋 / 広西チワン族自治区(中国)
- 発見年:2010年
- 発見者:ジェイ・ウィルバー(Natural Arch and Bridge Society所属)
- 座標:24°41'15.80" N 106°47'59.94" E
この全長120mの天然橋は世界最大だ。米国人の天然橋マニア / クライマーのジェイ・ウィルバーの慧眼と献身的な探索作業がなければ、中国の奥地に潜むこの場所は世界の大半が知らないままだっただろう。
ウィルバーは布柳河をまたぐ天然橋とおぼしき場所をオンラインで発見したあと、地元の写真家のPanoramio(編注:Googleがかつて提供していた写真共有サービス)への投稿をチェックして存在を確信した。
その後、ウィルバーはすぐに7人編成のチームを用意して、3時間のラフティングトリップを経てこの天然橋の長さを測定。測定の結果、それまで世界最長とされてきたユタ州の天然橋よりも33.6m長いことが判明した。
04
4. 未発見の新種生物が棲む熱帯雨林
- 場所:マブ山(モザンビーク)
- 発見年:2005年
- 発見者:Kew Royal Botanic Gardens(英国)
- 座標:16°17'52"S 36°23'39"E
標高1,700mのマブ山の山頂に広がるこの43㎢の熱帯雨林には、新種のカメレオン・ヘビ・チョウなど、かつての生物学の世界で確認されていなかった生物が多数生息している。
ここを発見したのは自然保護区の候補地を探していた研究者グループで、数回のスコーピングを経て2008年に総勢28人の研究者グループが現地探索を行った。
その結果、ここはアフリカの中標高熱帯雨林の中では最大であることが判明した。また、モザンビーク政府がこの地域の森林伐採を禁じる保護政策を制定したため、彼らの発見はこの森とここに棲む生物を救うことにもなった。
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5. ヒト科の祖先の化石
- 場所:「人類のゆりかご」/ マロペン(南アフリカ)
- 発見年:2008年
- 発見者:リー・バーガー教授(ウィットウォータース大学)
- 座標:25°53'42.0"S 27°48'05.0"E
この「人類のゆりかご(Cradle of Humankind)」は、我々人類の祖先に当たる200万年前の化石人骨が眠る場所で、2008年には現代人と同じ骨盤とサルに近い短い脚を持つ新種の化石人骨(編注:アウストラロピテクス・セディバ)が発掘された。
ウィットウォータース大学のリー・バーガー教授は、30年に渡る現地調査と衛星写真データを活用し、洞窟と思われる場所を500カ所以上発見。その中のひとつを調査したバーガー教授と息子マシューは、状態の良い少年の化石人骨をその周囲にあった3体と共に発掘した。
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6. カーミルの隕石クレーター
- 場所:カーミル・クレーター(エジプト)
- 発見年:2008年
- 発見者:ビンセンツォ・デ・ミシェル(ミラノ市立自然史博物館 元学芸員)
- 座標:22°1'5.89"N 26°5'15.69"E
衝突後に散らばった隕石のかけらが現在も線状に周囲を囲む、直径45m・高さ3mのカーミル・クレーターは、保存状態が最も良好な小隕石衝突痕で、世界にわずか175個しか存在しない衝突クレーターのひとつだ。
このクレーターは2008年にGoogle Earthで発見されたあと、1972年撮影の鮮明な衛星写真で存在が確定された。また、その後の現地調査で、このクレーターの積層パターンは極めて珍しく、火星などで多く見られるパターンであることが判明した。
研究者たちは現地で5,000個以上もの鉄隕石を発見したあと、隕石の大きさは幅1.3m・重さ5t〜10tで、秒速3.5km/sものスピードで地表に衝突したという推測を発表している。
この種の隕石衝突は10年〜100年おきに起こるものだが、このカーミル・クレーターができたのは約2,000年前のため、隕石衝突のリスクについてより多くの情報を研究者たちに提供している。
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7. ハート形の島
- 場所:ガレシュニャク島 / ザダル諸島(クロアチア)
- 発見年:2009年
- 発見者:不明
- 座標:443°58'41.24"N 15°23'1.14"E
クロアチア沿岸部にある無人島、“恋人たちの島” は、衛星写真がハート形の形状を明らかにした2009年まで、ほぼ知られていない存在だった。しかし、今はロマンティックな旅行先として大人気となっている。
実は、この不毛の島の形状は、1806年にナポレオンに指令を受けた地図製作者によって明らかにされていたのだが、彼はGoogleのように世界数十億の人々へ向けて情報発信する術を持っていなかった。
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