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eスポーツ
『VALORANT』の歴史:高評価と人気の理由
“ヴァロ” が世界的人気を誇るeスポーツタイトルになるまでの道のりを簡単に紐解いていこう!
01
『VALORANT』誕生
2014年、『プロジェクトA』というコードネームが米国・ロサンゼルスに置かれているRiot Games本社の廊下で囁かれたときにすべてが始まった。
ゲームディレクターのジョー・ジーグラー(Joe Ziegler)は、デイビッド・ノッティンガム(David Nottingham)、トレバー・ロムレスキー(Trevor Romleski)、モビー・フランケ(Moby Francke)、そして元『CS:GO』プロプレイヤー / マップデザイナーのサルバトーレ・ガロッツォ(Salvatore Garozzo)とプロトタイプの開発を進めた。チームはこのバージョンがパーフェクトに仕上がるまで数年間かけて極秘裏に開発作業を進めていった。
その後、2019年10月を迎える頃にはクローズドベータがスタートし、2020年4月には限定アクセスがスタート。注目と期待は着実に高まっていった。
そして2020年6月2日、『プロジェクトA』は『VALORANT』として世界同時リリースされた。問題はリリース直後の対応プラットフォームがWindowsのみだったことで、これはつまり、Xbox Series X|SおよびPlayStation 5のプレイヤーたちは4年後の2024年6月まで待たなければならなかったことを意味していた。
02
ゲームプレイの進化
『VALORANT』は「新規プレイヤーたちにとってアクセシビリティが高いタクティカルシューター / eスポーツタイトル」を目指しつつ、より大きな競技シーンを形成することを目的に開発され、ジーグラーもリリース前に「タクティカルシューター初心者とプロプレイヤーの両方に向けて開発しました。アクセシビリティをかなり重視しています」と発言していた。
そのため、『VALORANT』のゲームエンジンには、コアシステムの心配をすることなくゲームプレイと最適化にフォーカスできるようにUnreal Engine 4が採用された。また、ハードウェアの推奨環境を低めに設定することで、より多くのプレイヤーがプレイできるようにしている。
さらには、マップとエージェント、ゲームプレイを調整するパッチノートが約2週間ごとにリリースされている。スキンや武器も定期的にアップデートされており、2024年6月にリリースされたパッチノートでは、ゲームプレイの魅力を損なうことなく全レベルのプレイヤーがやり応えを感じられるようにエージェントと武器のバランス調整が行われた。
03
eスポーツとしての人気爆発
2020年、Riot Gamesが主催する公式トーナメントシリーズが初開催を迎えた。このシリーズは、世界中のプレイヤー、チーム、コンテンツクリエイター、トーナメントオーガナイザーと協力しながら、eスポーツタイトルとしての『VALORANT』のエコシステムを作り上げるべく立ち上げられた。各シリーズファイナルの賞金総額は5,000ドルから5万ドルが設定されていた。
同年11月、Riot Gamesは新たにVALORANT Champions Tour(VCT)を発表し、トーナメントシーンをChallengers / Masters / Championsの3層に分けた。
最下層のChallengersは北米・ブラジル・南米・EMEA・東南アジア・韓国・日本で開催された。Challengersの各優勝チームがMasters出場権を獲得し、Mastersの上位16チームが最上層Championsへ進出するというフォーマットが用意された。そして、2021年のVCTには1万超のチームが参加し、同年5月に開催されたReykjavik Mastersは最多視聴者数108万5,850人を記録した。
『VALORANT』はeスポーツシーンを急速に席巻しつつあったが、課題はまだ残されており、2023年にフォーマットがてこ入れされた。Challengersの代わりに全世界がAmericas / EMEA / Pacificという3つの地域リーグが設定され、ここからMastersとChampionsを目指すことになった。
その後、2024年に4つ目の地域としてChinaが用意されると、『VALORANT』の人気はさらに高まっていった。現在、『VALORANT』のeスポーツシーンには各地域11パートナーチーム・計44チームが参加している。また、非パートナーチームのために地域ごとにトーナメントAscensionが用意されており、各優勝チームがそれぞれの地域リーグに昇格する。
そして、オフシーズンには【Red Bull Home Ground】が開催されており、世界のトップチームが集結し、世界最強の称号を賭けて全力でプレイしている。また、このトーナメントは新シーズンに向けた復習・テストの場としても機能している。
04
人気エージェント
当然の話だが、『VALORANT』はタクティカルシューターのため、最高の作戦を用意したチームが勝利に最も近づける。「最高の作戦」には様々な要素が複雑に絡んでいるが、エージェントの選択は最も重要な要素のひとつだ。
最強デュエリストについての議論はいつも激しく盛り上がるが、敵の視界を悪化できるアビリティ【リーア】を備えている[レイナ]は非常に強く、火力に優れている[レイズ]も優秀だ。この2エージェントは常に「最強デュエリスト候補」に入っているが、【ハイギア】でスピードアップして奇襲を仕掛けられる[ネオン]も人気が高い。
作戦はマップ、チーム、プレイヤーによって異なってくるが、どんな作戦であれ、『VALORANT』では「敵の隙を突く」が重要になってくる。
05
ハイライトと記録
『VALORANT』のeスポーツシーンは、この4年で大きくレベルアップした。プレイヤーとチームがフレッシュかつエキサイティングな方法でこのゲームの限界を高め続けている。プレイヤーとファンそれぞれに記憶に残る一瞬があるはずだが、以下にいくつかハイライトを紹介しておこう。
まず、【Red Bull Home Ground 2023】では大番狂わせが見られ、3日間の開催を通じて、英国のFnaticがイベントを完全支配した。Fnaticは、【Red Bull Home Ground 2022】を制した100 Thievesに13-3で勝利していたFUT Esportsとの接戦を制して優勝した。
『VALORANT』史上最長マッチとして記憶と記録に残っているのが、2022年のChampions Tour North America Stage 3でのGen.G対TSMで、実に58ラウンドも続いた。まさに死闘だったが、最後はTSMがGen.Gを31-27で下した。
最多キル記録は、Individual-Ad6941が所有している61キル(デス17・アシスト9)とされている。また、Emreinnowgameというゲーマータグのプレイヤーが136キルをマークしたという噂もある。このような非公式記録や噂も、『VALORANT』が世界中のあらゆるレベルのプレイヤーたちから支持されている証左と言えるだろう。
最多視聴者数にも言及しておくと、現在の最多記録は2022年のVALORANT Champions LOUD vs. Optic戦の150万人となっている。また、2023年3月のVCT LOCK//INはこの記録にあと6万人に迫る視聴者数を記録した。
06
『VALORANT』の未来
『VALORANT』は進化を続けており、2024年7月には最新パッチノート9.02がリリースされた。
地域リーグに中国が追加され、さらにはAscension経由でチームとプレイヤーをさらに増やそうとしているこのゲームの未来を見ていくと、まず、Riot GamesはVALORANT Champions 2024の上位進出チームを予想できる機能「Pick’Em」のベータ版を公開している。この機能で予想に的中したプレイヤーはポイントを獲得できるため、プレイに自信がないプレイヤーたちがプレイ以外でプロシーンに関われるようになった。
多様性・革新性・実験性を維持しながら着実に進化し続けている『VALORANT』は、まさに “プレイヤーと一緒に成長しているビデオゲーム” と言えるだろう。
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