A screenshot from the video game Sekiro: Shadows Die Twice.
© FromSoftware
ゲーム

グラップリングフックが快感なビデオゲーム 4本

孤独な忍びの活躍で再び脚光を浴びたグラップリングフック。今回は自由に3次元移動が可能な最高に気持ち良いビデオゲームをいくつかピックアップした。
Written by Rich Wordsworth
読み終わるまで:5分Published on
「人はなぜ登るのか?」 - 雪を抱いた山頂に設置した使い古したテントのジッパーを開け、意味ありげな表情で夕暮れを眺めながら、詩人であり哲学者であり登山家である誰かがつぶやく。
ビデオゲームにおける「人はなぜ登るのか?」の答えはひとつだけ - 「グラップリングフックがまだ使えないから」だ。
「デフォルトの能力」、「アンロック可能なガジェット」、「経験値で手に入れるスキル」のどれで登場するかは問わず、“ガチャ・シュッ・カチャ” の3拍子で知られるグラップリングフックはゲーム内世界のストレートな問題(物理法則とダメージ)に対するストレートな解決策として機能する。
今回はグラップリングフックが魅力の4タイトルを紹介しよう。

『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』

鉤縄での移動は攻守両方に役立つ

鉤縄での移動は攻守両方に役立つ

© FromSoftware

ビデオゲームシーンにおける最新のグラップリングフックは戦国時代の日本で見つけることができる。
プレイヤーが操作する主人公 − 左腕を失った忍び “隻狼” − は、ゲーム序盤に義手忍具としてグラップリングフック aka 鉤縄を手に入れる。
尚、荒れ寺に住む仏師が仕込んでくれる金属と木材を組み合わせた義手忍具は鉤縄だけではなく、など様々な武器を装着できるようになっている。さしずめ忍者用十徳ナイフというところだ。
しかし、義手忍具の最重要ツールはやはり鉤縄だ。ごく一般的な雑魚敵でさえもプレイヤーをあっという間に死へ追いやってしまう鬼の難度を誇るこのフロム・ソフトウェア製ゲームはスピードがすべてで、鉤縄もスピードが売りだ。
鉤縄は咬みつこうとする毒蛇よりも素早く縄を飛ばして主人公を上下左右自由に瞬間移動させる。そしてその動きは左腕が抜け落ちてしまうのではないかと思うほど激しい。
このような特徴を持つ鉤縄は戦闘時の戦術オプションを増やしてくれるが、それよりも重要なのは、敵に囲まれた時の緊急脱出ボタンとしての機能だ。

『バットマン:アーカム』シリーズ

A screenshot from the video game Batman: Arkham Origins.

It was an evil orphanage

© Warner Bros. Interactive Entertainment

犯罪者たちと戦うなら彼らの頭上から先制攻撃を仕掛けるのがベストだということは誰もが知っているが、できるだけ素早く頭上に行くために欠かせないのがグラップル・ガンだ。
では、悪がはびこるゴッサムシティのストリートでグラップル・ガンを手に入れるにはどうしたら良いのだろうか? 答えは、こちらの世界でグラップル・ガンを手に入れるための必要条件と同じだ。そう、“時間が余っている億万長者になる” だ。
隻狼の鉤縄と同じで、バットマンのグラップル・ガンも色々な使い方ができるが、最も役に立つのが屋上に上がったり、ガーゴイルの上から捜査モードで敵をスキャンしたりする時だろう。また、ゴッサムシティにはびこる悪党たちを頭上から縛り付けて、街灯のように梁から吊すのにも役立つ。
億万長者になれたら最高だ。

『Marvel’s Spider-Man』

蜘蛛の糸ではなくてグラップリングフックです

蜘蛛の糸ではなくてグラップリングフックです

© Insomniac

InsomniacがMarvelの突飛なアイディアを使って表現したもの - ピーター・パーカーの手首から射出されるアレ - は “蜘蛛の糸” なのかもしれないが、我々はそう思っていない。
なぜなら、ピーター・パーカーが手首からグラップリングフックではなく “本物の蜘蛛の糸” を出して悪党に罠を仕掛けたり、スウィングして建物から建物へ飛び移ったりしているのだとしたら、あんなにスムーズには射出されないはずで、すぐに詰まってしまうはずだからだ。
確かに、ピーター・パーカーの手首の装置は現実世界の蜘蛛が糸を射出する様子を機械で再現したものだ。また、現実世界の蜘蛛の糸は獲物を捕まえられるし、詰まらないというのも正しい。
しかし、誰もが理解できるはずだが、スパイダーマンの "獲物" を固定できるだけの質量と強度を持つ蜘蛛の糸を実現するためには、彼がスウィングをしたり、蜘蛛の巣を張ったりするのに最適な弾力性と軽量性を犠牲にしなければならない。
これは科学的に正しい。本物の蜘蛛の糸では悪党を縛り付けるのとスウィングの両立は不可能なのだ。
よって、スパイダーマンのアレはグラップリングフックということになる。彼は今回リストアップされるに相応しい存在なのだ。

『ジャストコーズ2』

ミスター・荒唐無稽

ミスター・荒唐無稽

© Avalanche Studios

“グラップル” という単語には複数の意味 − 「人と取っ組みあう」、「何かに引っかける」、「2つの物を繋ぐ」 − があるが、リコ・ロドリゲスのグラップリングフックはそれらすべてが可能な上に、“物理法則”、“常識”、“正気” の単語の意味も拡大してしまう。
リコ・ロドリゲスのグラップリングフックを普通に使うことはこのガジェットへの侮辱に相当する。
もちろん、屋上に上がったり、悪党を縛り付けたりすることもできるが、このゲームのグラップリングフックなら、飛行機に飛び乗り、別の飛行機と結びつけてクラッシュさせ、巨大な火の玉に変わった2機を悪党たちの頭上に落とせる。しかも、こちらは物理法則に逆らいながら安全な場所に逃げられるのだ。
ジャストコーズ』シリーズの限界は自分の想像力なのだ。