Max Verstappen of the Netherlands driving the Oracle Red Bull Racing RB19 on track during day one of F1 Testing at Bahrain International Circuit on February 23, 2023.
© Mark Thompson/Getty Images/Red Bull Content Pool
F1

F1ドライバーがドライビングスキルを磨く方法とは?

F1ドライバーたちはどこでどのように運転技術を向上させてコンマ数秒のタイムを削り取っているのだろうか? 3つの選択肢を解説する。
Written by Michael Burgess II
読み終わるまで:5分Published on
17歳166日2015シーズン開幕戦オーストラリアGPに出走したマックス・フェルスタッペンF1史上最年少ドライバーとなった。
父ヨス・フェルスタッペンが元F1ドライバーで、母ソフィーもトップカートレーサーだったため、このような活躍は約束されていたと考える人もいるかもしれないが、マックス本人に成功の秘訣を訊ねてみれば、サーキット内外で費やした努力の結果と即答するだろう。
常に向上を目指そうとするマックスが何を必要としているのかについて本人に訊ねると、次の回答が返ってくる。
「夜もドライビングができるように自分のモーターホームにシミュレーターを設置してほしいとヘルムート・マルコ博士(レッドブル モータースポーツ アドバイザー)にリクエストしたことがあります。シミュレーターはホビーのひとつですが、同時に自分をシャープに保ってくれます
シミュレーター作業に取り組むマックス・フェルスタッペン

シミュレーター作業に取り組むマックス・フェルスタッペン

© Rob Smalley/Red Bull Content Pool

オラクル・レッドブル・レーシングのファクトリーに備えられているようなシミュレーターは、元々は1990年代後半にシンプルなビデオゲームとして始まったが、現在はすべてのF1チームがファクトリー内に備えており、車両モデルはもちろん、ドライバーが実際のレースで直面する可能性のある路面コンディションも正確に再現している。
今回は、F1ドライバーたちがレース当日に向けてスキルをシャープに保つための様々な方法を詳しく解説していこう。
01

シミュレーター

F1では2009年にプライベートテストが禁止されたため、各チームはレースウィークエンド以外での走行機会を得るために別の方法を探らなければならなくなった。そこで登場したのがシミュレーターだ。
シミュレーターはその名の通り、任意のサーキットでドライバーが経験することになるレースコンディションを “シミュレート” するものだ。ドライバーが活用しているシミュレーターにはファクトリーシミュレーターとホームシミュレーターの2種類が存在する。

7分

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ファクトリーシミュレーター:

  • チームが所有し、ファクトリー内で使用される。
  • 実際のサーキットに近い、最もリアリスティックな体験を提供できる多数の機器類やテクノロジーが備えられている。
  • 天候やタイヤトレッド、視界を含むドライバー周囲環境の様々なパラメーターを変更することで実際のレースで想定される様々なシナリオを再現できる。
  • F1マシンのコックピットを模した構造になっており、ドライバーはレース用のスーツとヘルメットを着用してシミュレーター作業を行う。

ホームシミュレーター

  • ドライバーがファクトリーから離れているときも追加で練習できる。
  • ほとんどの場合、数枚のディスプレイにF1仕様のステアリングホイールとペダルシステムで構成される。
  • ファクトリーシミュレーターのような特別なテクノロジーは備えられていないため、重要あるいは技術的なインフォメーションは欠落している。
  • ホームシミュレーターはレーシングラインの把握、特定のコーナーの進入アングル、コースレイアウトを理解する機会をドライバーに提供する。
02

プレシーズンテスト

各チームが実際のコース上でマシンをテストできる唯一の機会がプレシーズンテストだ。
バーレーンでのプレシーズンテストでマイレージを重ねるセルジオ・ペレス

バーレーンでのプレシーズンテストでマイレージを重ねるセルジオ・ペレス

© Getty Images/Red Bull Content Pool

近年、プレシーズンテストはシーズン開幕前の2月または3月に行われている。各チームはプレシーズンテスト中に様々なパーツやコンポーネントをマシンに装着してパフォーマンスのアドバンテージを探り、異なる走行条件やサーキットでこれらのアイテムがどこまで上手く対応できるか確認する。
一部のチームがレースシミュレーションを行う一方、別のチームはマシンを限界までプッシュして妥当なパフォーマンス領域を理解するためのパフォーマンスランを行う。
ドライバーたちは午前9時から午後6時までの間に好きなだけテストできるが、当然ながら各チームが使用できる燃料の量に制限があり、さらにはテストで使用できるタイヤセット数も限られているため、通常1回のテストで走行できるのは数時間のみとなる。
03

フリープラクティス

1回のレースウィークエンドにつき、ドライバーたちには少なくとも2回のフリープラクティスが与えられている。
フリープラクティスは、ドライバーとチームが順位やタイムを気にすることなくコースを走行できる機会となる。ここでのタイムは予選とレースに影響しないため、チームはしばしばこの機会を利用して新パーツのテストや、コース上でのタイヤパフォーマンスの確認を行う。
フリープラクティスに備えるマックス・フェルスタッペン

フリープラクティスに備えるマックス・フェルスタッペン

© Getty Images/Red Bull Content Pool

また、ドライバーたちはフリープラクティスを利用してリズムを掴み、走行ラインを煮詰めながら予選とレースでベストタイムを記録できるようにマシンとコースに馴染んでいく
フリープラクティスはレースウィークエンドの一部のため、トレーニングとは異なる。
大半のレースウィークエンドでは、各1時間のフリープラクティスセッションが3回設けられている。ただし、スプリント予選が開催されるレースウィークエンドでは1時間のフリープラクティスセッションが2回行われるのみとなる。
04

練習は熟達への道

ドライバーにとってF1シーズンは極めて過酷なものになりかねない。常にベストな状態を維持すべく、彼らはベストタイムをマークするための長時間の練習に取り組む。
トレーニングへの献身と継続的な積み重ねがあってこそ、F1ドライバーたちは時速300kmで強烈なGフォースに耐えながらシャープな状態を維持できるのだ。
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