B-Boyネームやアーティストネームはヒップホップ黎明期から存在しており、紋章や記章のようにプライドと共に使われてきた。
ダンサーやアーティストの名前はメンターや師匠によって与えられるものと考えている人は意外に多い。そういう名前も確かに存在するが、大半は本人が考案したものだ。この "自由度の高さ" は、ヒップホップカルチャーに深く根ざしている。ヒップホップの世界では、誰かに何かを指示されることはない。
B-Boyネームが果たす最も大きな役割のひとつは、ヒップホップカルチャーとの繋がりの強さの提示だ。ステージネームは、自分はこのカルチャーの一員だということを示すためのもので、ヒップホップを仕事にしている人、情熱を注ぐ対象にしている人を問わず、このカルチャーに関わる人の「クリエイティビティとリスペクトに溢れたこのライフスタイルを思う存分楽しむぞ!」という意思表示として機能する。
というわけで、今回はユニークなB-Boyネームを付けるためのヒントをいくつか紹介しよう。
自分だけのスキルや才能を強調する
RoxRite(Rocking it Right)やCrazy Legsのような名前は、彼らのダンススタイルをイメージさせる。名前とスキルが合致すれば、本人のアイデンティティが大きく高まるのだ。
インスピレーションの源を組み込む
ダンスの世界から一瞬離れてみよう。このパターンで最も有名な例は、ラッパーの50 Centだ。このアーティストネームは、"50セントでも奪う。どんなことをしてでも生き残る" という考えに基づいて悪行を繰り返したブルックリンの強盗に由来している。また、B-Boy Poe Oneは、有名な作家・詩人のエドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)に共感してこのB-Boyネームを名乗っている。
クルーとの関連性を示す
所属するメンバーの全員のB-Boyネームに同じワードを組み込んでブランディングをしているクルーがいくつか存在する。好例のひとつがパリのクルーWantedで、このクルーのメンバーのB-Boyネームは最後に "son" が加えられている。Yugson、Dedson、Mamson、Babysonなどの名前を見かけた時は、その会場にWantedがいるということなのだ。
もうひとつの例はヴォーギングシーンで、このシーンのハウス(クルーに相当する)のメンバーは同じセカンドネームを名乗っている。伝説のハウスとして知られるHouse of Ninjaのメンバーは、Willi Ninja、Benni Ninja、Javier Ninjaなどと名乗っている。
本名をもじる
ラップの世界に話を戻すと、ラップシーンのスーパースターのひとり、Eminemは、本名のMarshall Mathersのイニシャル "M&M" を早口で名乗った時のサウンドを文字に起こしたものだと言われている。
自分のスタイルを示す
ロッキングとポッピングでは特に多いが、自分が好むダンススタイルを組み込んでいるB-Boyネームがいくつか存在する。Suga Pop、Popin' Pete、P-Lockなどは、全て本人が好むムーブをもじって付けられたものだ。
このように、印象的で意味もあるB-Boyネームの付け方には複数の方法がある。しかし、その方法通りに名前を付けなくてはならないというルールは存在しない。B-Boyネームは個人のものであり、その本人の趣味趣向や考えと共鳴する必要がある。正しいと思えるB-Boyネームなら、直感に従ってその名前を使ってみよう。
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Information
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