iiTzTimmy poses for a portrait in Santa Monica
© Marv Watson / Red Bull Content Pool
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【iiTzTimmyとは?】:世界最強を目指し続ける天才ゲーム実況者

『エーペックスレジェンズ』などのFPSにおける天賦の才をあらためて証明すべくプロシーン復帰を宣言した世界的人気を誇る米国人ストリーマーの魅力に迫る。
Written by Luke Winkie
読み終わるまで:7分Published on
有名なストリーマーになるには様々な方法がある。カメラの前での料理、掃除、おしゃべりといったシンプルな行動に自分のユニークなキャラクターを組み合わせて持続性のあるコミュニティに受け入れてもらう人がいれば、ストリーミングに直球勝負を挑み、インターネットの “今” を常に追い続けていく人もいる。
しかし、iiTzTimmy(ティミー)については、カリスマ性と世間から好かれる要素が十分に備わっているにもかかわらず、初期ファンたちがチャンネルに集まった理由はより実体的だった。iiTzTimmyはビデオゲームがとんでもなく上手いのだ。
iiTzTimmy

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© Marv Watson / Red Bull Content Pool

「僕はただビデオゲームに打ち込んでいただけです。自分のプレイでゼロからオーディエンスが得られるかどうかを見極めようとしていました。その中で “ワオ、とても上手いね!” と言ってくれる人が増えていきました。僕はそういう連鎖反応を通じてシーンの中で成長していったのです」
その努力は報われている。現在、iiTzTimmyは世界で最も人気の高いストリーマーのひとりに数えられており、Twitter43万人超Twitch266万人超のフォロワーを抱え(編注:YouTubeには日本語チャンネルもある)、バトルロイヤル系の優れたスキルが評価されてThe Streamer Awardsも受賞している。
また、100 Thievesと契約している彼はレッドブル・プレイヤーでもあり、今年4月末には彼が企画するイベント【iiTzTimmy’s Hot Drop】が開催され、カリフォルニア州とアリゾナ州を代表する『VALORANT』プレイヤーたちと対戦した。同月に23歳になったばかりの彼の未来はまぶしく輝いている。
世界中のオーディエンスがiiTzTimmyのプレイに夢中になっている理由を理解するのは簡単だ。彼のFPSにおける直感がカミソリのように鋭いからだ。
通常、iiTzTimmyのバイラルクリップは「万事休す」から始まる。数的優位を作られており、ロビーへ戻されるのが決定事項のように見えるのだ。しかし、そこから一瞬でiiTzTimmyはライバルたちの視線を見事に外していく。彼が操作するキャラクターはマップ上を激しく動き回るが、クロスヘアはライバルたちの頭と胸に見事に合わさったままだ。そそして、数発の弾丸とマトリックスを否定する異次元レベルの回避を経て、そのエリアは完全に沈黙する。
その姿はまるで動く詩篇だ。iiTzTimmyがすべてをいとも簡単に見せてしまう姿を私たちは愛すと同時に憎んでしまう。
iiTzTimmy

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© Leslie Colon / Red Bull Content Pool

iiTzTimmyは以前から自分が上手いことを認識していたが、少なくともキャリア初期は、たとえばShroudのようなトッププレイヤーと自分を比較することを躊躇していた。「僕はどのタイトルでも上のランクに入れましたし、チームや友人たちとのプレイでは常にフラガーでした」と彼は語る。
おそらく、iiTzTimmyの最大の魅力のひとつは慎ましさだ。彼は人生を通じてトレーニングとそこから得られる成長に魅力を感じてきた。2021年のマラソン配信ほどこのことを表現している例はないだろう。
この配信で彼は『エーペックスレジェンズ』のアカウントを新しく作り直したあと、約50時間でブロンズからプレデターまで到達したのだ。『エーペックスレジェンズ』には何年もプレイしているのにこのランクを射程内に捉えられないベテランプレイヤーが数多くいる。しかし、iiTzTimmyはたった2日でこのランクに到達してしまった。
「僕のキャリアの大半は “プレイヤーとしての成長を目指す” ことがすべてでした。ただひたすらエイムと判断を向上させようとしてきたのです。自分にとって最大のチャレンジのひとつは僕の存在を知ってもらうことでしたので、それがクリアできたあとに “次はどうしよう?” と思ったのです。そこで具体的な目標を定めて成長しようとしたのです」と振り返るiiTzTimmyは次のように続ける。
「僕は『エーペックスレジェンズ』をかなりプレイしてきたので、現実的な話、もうやれることはほとんど残っていません」
iiTzTimmy

iiTzTimmy

© Marv Watson / Red Bull Content Pool

iiTzTimmyは次の目標をすでに定めている。2023年3月、この天才ストリーマーは世界が待ち望んでいた『エーペックスレジェンズ』プロシーン復帰を発表した。ついに、世界最強プレイヤーのひとりがeスポーツというリングに再び足を踏み入れるのだ。
本原稿執筆時点で彼はChallenger Circuit Splitに出場するためのチームを探している。彼の才能は間違いなく多くのチームから欲しがられるはずだ。
同レベルのプレイヤーの中で傑出していることを多くの人の前で証明したいです
iiTzTimmy
「他のプレイヤーよりも上手くなりたいんです。同レベルのプレイヤーの中で傑出したいですし、それを多くの人の前で証明したいですね。僕は自分が上手いことを自覚していますが、世界一かと言われると、そうは思いません。だからこそコンペティティブなプレイに戻りたいのです。最終的にトップ10またはトップ5には入れると思います」
「カジュアルな対戦では、自分のスキルをレベルアップできる瞬間を探すだけですが、プロフェッショナルな対戦では自分の頭の中がすべてです。メンタルの勝負になります。他のチームに呑まれないことが重要です」
iiTzTimmy

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© Leslie Colon / Red Bull Content Pool

iiTzTimmyがプロシーン復帰を発表したとき、彼はかつて存在していたGolden Guardians時代に経験したいくつかの深刻なメンタルヘルスの問題について触れていた。
では、そのような彼が私たちの誰もが直面する可能性がある不安うつの難しさを扱えるスターストリーマーになれたのは何か秘訣があるのではないだろうか? ひょっとすると、プロシーンで “最高レベルでのプレイ” を再び目指すことが彼の不安を煽るのではないだろうか? このような疑問について彼は次のように回答している。
メンタルヘルスの問題を抱えてしまう大半の原因はチャットです。ですが、個人的な話をすると、僕は誰かに変人呼ばわりされたりドン引きされたりしても気にしたことがありません。全然気にならないんです」とiiTzTimmyは回答し、次のように続ける。
「僕にとっては、“数字が伸びないのはなぜだろう?” “視聴者数が少ないのはなぜだろう?” などと自分のキャリアを他人のキャリアと比べてしまうことの方が問題です。誰でもそうですが、仲間のことを嬉しく思いたい一方で、自分に満足したい気持ちもあります。ですので、自分がどの方向にも前進できていないように感じてしまうととても辛くなってしまうのです」
言うまでもなく、iiTzTimmyの将来は前途洋々だ。23歳になったばかりの彼は、世界的に称賛されているストリーミング/ プロゲーミングキャリアをスタートさせたばかりだ。iiTzTimmyは、Twitchでの50時間マラソン配信であろうと、彼が頭の中で思い描いたことは何だって実現できるのだろうという印象を私たちに与える。そこで、インタビューの最後に彼が望む未来について訊ねてみた。
月へ行ってみたいですね
iiTzTimmyはこのように回答したが、彼の才能を踏まえれば、おそらく彼はこの未来を実現させるだろう。
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