人類はあらゆる分野の極限を絶えず追求してきた。なかでも、スピードは人類が最も極限を追い求めてきた領域のひとつだ。進化を続けるエンジニアリング技術と恐れを知らずのパイロットたちのおかげで近代では比較的短期間でいくつかの驚くべき最高速度記録が生まれている。
今回は、人類がこれまで打ち立ててきた最高速度記録の数々(有人・無人)を紹介しよう。
01
Top 1 Oil Ack Attack
最高速度: 605.69km/h
時速400マイル(643.73km/h)の壁を2輪バイクで超えるべく様々なチャレンジに挑んできた英国のバイクメーカーTriumphは、TOP 1 Oil ACK ATTACKで現時点での2輪バイク最高速度記録となる605.69km/hを叩き出した。しかし、この大記録達成にも飽き足らず、Triumphの開発陣は2017年8月3日から8日にかけてアンデス山脈付近に位置するウユニ塩湖の壮大な背景をバックに700km/hを突破するチャレンジも行なった。
02
SSC (Supersonic Car)
最高速度: 1,232.93km/h
Supersonic Car(SSC)はMcDonnell Douglas F-4 Phantom戦闘機に使用されているエンジンと同一のRolls Royce Spey 202ターボジェットエンジンを搭載した自動車とジェット機のハイブリッドマシンだ。“Supersonic(音速)” の名は酔狂で付けられたものではない。
SSCに搭乗したアンディ・グリーンは1997年に米国ネバダ州ブラックロックで音速の壁を破る1,232.93km/hを樹立。この自動車最高速度記録はまだ破られていない。
03
Lockheed SR-71 (Blackbird)
最高速度: 3,540km/h
Lockheedが開発したSR-71(通称Blackbird)は30年間米空軍に配備されたあと1998年に退役したが、現在でも実用ジェット機最高速度記録を保持している。超高速飛行に特化したおそるべき性能を持つこの機体は3,540km/hで飛行する。この速度なら地対空ミサイルを追い抜いてかわすことさえ可能だ。
SR-71は東西冷戦時代最速・最高性能を誇る偵察機として知られ、北米大陸(ロサンゼルス~ワシントン間)をわずか67分で横断飛行できる能力を持っていた。
04
North American X-15
最高速度: 7,264km/h
この超音速ロケット飛行機もまた、冷戦期の米国の優れた航空宇宙技術を代表する機体だ。X-15は通常の戦闘機のような空母からの離陸を想定した設計ではなく、ミサイルのように発射台から打ち出されるように設計されていた。
よって、他のジェットエンジン機を直接の比較対象にするのはやや不公平だが、X-15の性能はにわかに信じがたい数字を誇っている。X-15は音速の6.72倍に相当する最高速度7,264km/hを記録し、わずか数分間だが大気圏を越えた擬周回軌道への到達も実現した。
05
Apollo 10
最高速度: 39,897km/h
映画化によって広く知られているApollo 13ミッションから遡ること3代前、Apollo 10は月から地球へ帰還中の1969年5月26日に有人飛行体の史上最高速度となる39,897km/hを記録した。
06
Voyager 1
最高速度: 62,140km/h
Voyager 1は1977年9月5日に打ち上げられた宇宙探索機で、太陽系や星間空間の境界を探査するミッションを遂行しながら今も航行を続けている。
2012年8月25日、Voyager 1はヘリオポーズ(太陽圏界面)を通過し、星間空間に到達した世界初の宇宙探索機になった。Voyager 1は地球から最も離れた場所を航行する人工物体で、その最高速度は62,140km/hに達する。
07
Helios 2
最高速度: 252,792km/h
人工物体としての史上最高速度記録はHelios 2によって記録された。1976年に太陽系の活動を観測するミッション遂行のために打ち上げられたHelios 2は、252,792km/hもの最高速度を達成した。
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