Jürgen Klopp smiling: The German will start at Red Bull in 2025
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サッカー

ユルゲン・クロップがレッドブルのグローバルサッカー部門責任者に就任

“ゲーゲンプレス” をリヴァプールに持ち込んだドイツ出身の名将が、レッドブル傘下のサッカークラブすべてを統括する役割を担うことになった。
Written by Kevin Fylan
読み終わるまで:7分Published on
ユルゲン・クロップが2025年1月1日からレッドブルのグローバルサッカー部門責任者に就任する。大きな成功を収めたプレミアリーグの名門リヴァプール監督から退いて以来初の仕事となる。
このカリスマドイツ人は新たなポジションで、レッドブル傘下サッカークラブの国際ネットワークを統括することになる。クロップが各クラブの日常業務に関与することはないが、戦略的なビジョンを提供することでレッドブルの哲学を推進する各クラブのスポーティングディレクターを支援する。
さらに、現在57歳のクロップは、レッドブルのグローバルサッカー部門における世界規模のスカウティング業務の補佐と、指導者の養成や育成に貢献する。
2001年にマインツ05で指導者としてのキャリアを歩み始めたクロップは、複数のクラブが関わるビッグプロジェクトの戦略面を担うことについて、自身の興奮を語っている。
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グローバルレベルでレッドブルに関与

「約25年間監督業に携わってきた私が、このようなプロジェクトに関わることになり、この上ない興奮を覚えています」とクロップは語っている。
「役割は変わりますが、私のサッカーに対する情熱、そしてサッカーを成立させている人々への情熱は変わっていません」
「グローバルレベルでレッドブルに加わることで、レッドブルが擁する素晴らしいサッカーの才能の育成と向上、サポートをしていきたいと考えています。それを可能にする方法は、レッドブルが持つ一流の知見や経験の活用から、他のスポーツおよび他業界からの学習まで実に様々です」
「私たちが一丸となれば、可能性を見出せます。私の役割はレッドブル傘下クラブの指導者・経営陣のメンターと捉えていますが、突き詰めて言えば、私はこのユニークかつ革新的で、先見性のある組織の一部なのです。先ほども申し上げた通り、これ以上に興奮することはありません」
役割が変わっても、私のサッカーに対する情熱は変わりません
ユルゲン・クロップ
レッドブルの企業プロジェクト・投資CEOを務めるオリバー・ミンツラフは、レッドブルがサッカーに関わってきた歴史の中で、今回のニュースは最も重要な人事であると表現した。
「このたびの素晴らしい契約を誇りに思います。レッドブルのサッカーヒストリーにおいて間違いなく最も大きな契約でしょう」とミンツラフは語る。
「ユルゲン・クロップは世界のサッカーにおいて最も偉大かつ影響力のある人物のひとりで、非凡なスキルとカリスマ性を備えています」
「ヘッド・オブ・サッカーを担う彼は、インターナショナルサッカーにおけるレッドブルの立ち位置と継続的発展のゲームチェンジャーになるでしょう。各クラブを全体的・個別的の両面でますます発展させる重要領域において、有益かつ明確な刺激を期待しています」
プレミアリーグ2023-24シーズン終了とともにリヴァプールでの忘れがたい9年間の監督生活を終えて以来、クロップは世界のサッカー界において最も引く手数多となっていた人物のひとりだ。
アンフィールドで過ごした9年間で、2018-19シーズン チャンピオンズリーグ優勝2019-20シーズン プレミアリーグ優勝2021-22シーズン FAカップ優勝に加え、EFLカップ優勝2回FIFAクラブワールドカップ優勝UEFAスーパーカップ優勝など、リヴァプールはサッカー界最高の栄誉の数々を総なめにした。さらに、クロップ率いるリヴァプールはチャンピオンズリーグ準優勝2回ヨーロッパリーグ準優勝1回の実績も残している。
クロップはリヴァプール時代の前にも、ボルシア・ドルトムントに2度のブンデスリーガタイトルをもたらした他、2012シーズンにはDFBポカールでも優勝して、2012シーズンのドイツ国内タイトル2冠を達成した。また、クロップはドルトムントをチャンピオンズリーグ決勝に導いている。
ドルトムントとリヴァプールの両クラブにおいて、クロップのチームは攻撃を重視したエネルギッシュなスタイルでプレーしながら数々のタイトルを勝ち取り、日本を含む世界中でファンを獲得した。
かつて、クロップは自分のチームに “ヘビーメタル” サッカー(激しいリズムでのスピーディな攻撃展開)を求めていると発言し、サポーターたちにスリリングな試合展開を何度も提供したが、このフレーズだけでは、彼がアンフィールドで行なった緻密なクラブ再建業務を公正に評価することはできない。長い年月をかけ、クロップはリヴァプールを鉄壁の守備で驚異的な攻撃を補完する、無敵のオールラウンドチームへ変貌させた。
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クロップの次なる仕事とは?

リヴァプール退団後、ビッグクラブの監督就任説がいくつも囁かれたクロップだったが、彼はレッドブルと次なるアドベンチャーへ出発することを決断した。彼は2025年1月1日からヘッド・オブ・グローバルサッカーとしての職務を開始することになる。
クロップは各クラブの日常業務には関与しないが、これらを統括し、監督時代の彼の特徴として知られるある種の激しさを備えさせるだろう。
クロップのプランは、2025年1月中旬のプレスカンファレンスで公式発表される予定だ。
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過去の実績

リヴァプールをチャンピオンズリーグ優勝に導いたクロップ

リヴァプールをチャンピオンズリーグ優勝に導いたクロップ

© Matthias Hangst/Getty Images Sport

  • チャンピオンズリーグ優勝:リヴァプール、2018-19シーズン
  • プレミアリーグ優勝:リヴァプール、2019-20シーズン
  • FAカップ優勝:リヴァプール、2021-22シーズン
  • EFLカップ優勝:リヴァプール、2021-22シーズン&2023-24シーズン
  • FIFAクラブワールドカップ優勝:リヴァプール、2019年
  • UEFAスーパーカップ優勝:リヴァプール、2019年
  • FAコミュニティ・シールド優勝:リヴァプール、2022年
  • ブンデスリーガ優勝:ボルシア・ドルトムント、2010-11シーズン&2011-12シーズン
  • DFBポカール優勝:ボルシア・ドルトムント、2010-11シーズン
  • DFLスーパーカップ優勝:ボルシア・ドルトムント、2013年&2014年
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過去の監督歴

サッカー指導者としてのキャリアを通じて、クロップは積極的に若手選手にチャンスを与え、エナジー、スピード、そして精確性を基盤としたプレースタイルを発展させてきた。ゲーゲンプレスと称される彼のシステムでは、選手たちがポゼッションを失っている間は相手を執拗にプレスし、ボール奪取と同時に攻撃へ切り替える。
クロップは自身の選手キャリアの大半を費やしたマインツ05の監督に就任した2001年にこのコーチング哲学を世界に紹介した。2004年、クロップはマインツ05を同クラブ史上初のブンデスリーガ1部昇格へ導いた。
2008年にボルシア・ドルトムントの監督に就任したクロップは、すぐにヴェストファーレンシュタディオンで驚異的な成功を収めるようになり、2011年と2012年にボルシア・ドルトムントをブンデスリーガ連覇へ導くとともに、2013年にはチャンピオンズリーグ決勝進出を果たした。
2015年、クロップはヨーロッパサッカー界のもうひとつの巨人であるリヴァプールを目覚めさせる使命を引き受けた。
リヴァプールファンに感謝を伝えるクロップ

リヴァプールファンに感謝を伝えるクロップ

© ALEXANDER HASSENSTEIN/Getty Images

リヴァプールは1990年以来国内リーグタイトルから見放され続けてきたが、クロップの情熱、ビジョン、そしてエナジーがこの名門クラブの命運を一転させた。リヴァプールは優勝争いの常連となり、ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティとはイングランドを越えて世界中のファンたちをも夢中にする熾烈なライバル関係を築いた。
チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、FAカップなど、リヴァプールはクロップによる指揮の下であらゆる栄冠を勝ち取った。
クロップの次の仕事は、直接サイドライン上に立つものではないかもしれないが、彼のこれまでのキャリアは、“クロップ” と “サッカー” が結びついたとき、スペシャルな記憶が形作られることを物語っている。
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