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サーフィン
日本人プロサーファーの五十嵐カノアとは?
世界NO.1を狙う、今最もホットな日本人プロサーファー《五十嵐カノア》のすべて。
五十嵐カノア
【PROFILE】
誕生日:1997年10月1日生まれの21歳
出身地:アメリカ・カリフォルニア州ハンティントン
身長:180cm
体重:78kg
家族構成:日本人の両親 + 弟(五十嵐キアヌ)
ホームポイント:ハンティントンビーチ
サーフボード:シャープアイ サーフボード
スタンス:レギュラースタンス
ウェットスーツ:クイックシルバー
※2019年5月31日現在
日本からアメリカ合衆国・カリフォルニア州に移住したサーファーの日本人夫妻の元に1997年に誕生。2018シーズンのWSL CT参戦前に登録籍を日本に変更し、日本人として初のWSL CT選手となった。
日本での在住経験はないが、毎年のように墓参りなどに訪日するなど、日本との絆は深い。ネイティブな言語は英語、しかし日常会話以上の日本語スキルをもつ。インタビュー映像などで記者からの質問に適切な単語を探しながら真摯に対応する姿が印象的で、五十嵐カノアの人柄を表している。
ちなみに、唯一の兄弟である弟のキアヌもサーファーであり、NSSA全米チャンピオンを獲得するエリートサーファー。カノアのCTツアーに同行するなど、兄弟仲がとても良いことでも有名だ。
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◆幼少期・ジュニア時代の五十嵐カノア◆
ハンティントンビーチでサーフィンを楽しむ父の影響から3歳の時にサーフィンをスタート。3年後の6歳の時には、初めて出場したローカルコンテストで優勝を果たし、サーファーとしての非凡な才能を見せつけた。その才能は、当時のアマチュアUSAコーチ(ジョン・ブラン氏)の目に留まり、最年少の9歳で強化選手としてUSAチーム入りを果たす。
2009シーズンにはサーフィン界のレジェンド、トム・カレン(USA)の持つNSSA(全米アマチュアサーフィン連盟)の最多優勝記録である30勝を樹立し、全米タイトルを獲得。この記録は未だに破られていない。
2010シーズン、12歳でNSSA全米タイトルを獲得。2011シーズンにはNSSAのアマチュアサーキットから身を引き、戦いの場をプロサーキットであるASP(現WSL(ワールドサーフィンリーグ))へと移していく。2012シーズン、13歳の時には21歳以下のプロジュニアにおいて初優勝を果たし、14歳の時にはUSAチャンピオンシップ18歳以下のクラスにおいて当時の最年少記録で優勝を果たした。
五十嵐カノアは、サーフィン大国であるアメリカにおいて、幼少期から類まれなる才能を発揮し、輝かしい結果を残してきた。
02
◆プロジュニアからASP WQS(現WSL QS)、そしてWSL CT参戦へ◆
2013シーズンからはASP WCT(現WSL CT)の予選リーグにあたる、ASP WQS(現WSL QS)にもプロジュニアと並行して参戦。2014シーズンにホームポイントであるハンティントンビーチで開催されたWQSコンテスト「シュー・シティ・プロ」で優勝。
翌2015シーズンには、ブラジルで開催されたWSL QSコンテストで優勝するなど、好成績を積み上げ、2015シーズンのQSラインキングで7位を獲得。2016シーズンのWSL CTへのクオリファイというプレミアムチケットを手にした。
- ※2015年シーズンよりASP(Association of Surfing Professionals)が、WSL(World Surf League)へと名称変更された。それに伴いASP WCTは「WSL CT」に、ASP WQSは「WSL QS」に名称変更された。
ちなみに、この世界各地で開催されるWSL QSのコンテストに参戦して上位成績でポイントを獲得し、さらに年間獲得ポイント数で上位10名に入らなければ、選ばれし34名(シーズンによって異なる)だけが戦うことを許される世界最高峰のエリートリーグWSL CTに参戦することはできない。
現在まで日本人プロサーファーの多くが、世界最高峰の舞台であるWSL CTへの参戦を夢見て、その登竜門であるQSに挑んでいるが、これまでの歴史上、突破できた日本人はただの1人もいなかった、五十嵐カノアを除いては。
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- ※2019シーズン終了時点で、レッドブル・アスリートのカリッサ・ムーアが充電期間としてWSL CT 2020年シーズンの欠場を発表。それにより、QS順位が繰り上げとなり、日本人初のウィメンズCT選手が誕生した。
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◆WSL CTでの着実な歩み◆
2016シーズン、若干18歳の若さで世界最高峰のエリートリーグWSL CTに参戦。最終戦の「ビラボン・パイプ・マスターズ」では初のファイナルに進出し、惜しくもタヒチアンのミシェル・ボウレズに敗れはしたが、CT参戦後の最高成績2位を獲得した。以下の動画はミシェル・ボウレズvs五十嵐カノアのファイナルヒート模様。
ちなみに、この大会では、準決勝でカノアの憧れの存在であるケリー・スレーターと対戦し、破っている。
2016年に行ったRedBull.comのインタビューにおいて、CTでもっとも対戦が楽しみなサーファーは誰か? と聞かれたカノアは、「もちろん、ケリー・スレーターですね。彼と一緒にツアーを回れるだけで最高の気分ですから、対戦できれば本当に嬉しいですし、彼に勝てれば文句なしです」と答えている。1つの大きな夢を叶えた。
以下の記事では、WSL CT参戦が決定した直後のインタビューを収録。
WSL CT初参戦となった2016シーズンの最終総合ランキングを20位でフィニッシュ。翌年のCT参戦チケットを手にした。2017シーズンはWSL QS最高峰のコンテスト「2017 ヴァンズ・US・オープン・オブ・サーフィン」で優勝するなど活躍を続け、CT総合ランキングを17位でフィニッシュ。
2018シーズンからはWSLの登録籍をアメリカから日本に移して参戦。「2018 ヴァンズ・US・オープン・オブ・サーフィン」を連覇するなど着実に結果を残し、WSL CT総合ランキングを10位でフィニッシュ。CT参戦以降着実にステップアップし、ランキングを上げ続けている。
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◆2019シーズン、WSL CT第3戦で見事優勝◆
2019シーズンもWSL CTを舞台に活躍するカノアだが、バリ島のクラマスで行われた第3戦「コロナ・バリ・プロテクテッド」では、自身初となる優勝を成し遂げた。
これは、日本人として史上初の快挙達成の瞬間であり、国内の報道番組で取り上げられるなど、日本ではマイナーなサーフィンという競技が、日本中から注目を集め、サーファーに限らず多くの日本国民が歓喜した偉業だった。ここでも準決勝でレジェンドサーファー、ケリー・スレーターと対戦し、見事撃破している。
▲「コロナ・バリ・プロテクテッド」のケリー・スレーターvs五十嵐カノアのヒート模様。
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決勝は10年以上のCT歴を誇るベテランのジェレミー・フローレスを倒しての優勝となった。
▲「コロナ・バリ・プロテクテッド」のファイナルヒート模様。
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自身のSNS(Instagram)でも、WSL CT初優勝の喜びが投稿されている。
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第3戦の「コロナ・バリ・プロテクテッド」以降、優勝こそないものの安定した結果を残し、最終戦「ビラボン・パイプ・マスターズ」終了後に発表された2019シーズンの年間総合ランキングを6位で終えた。
初参戦となった2016シーズンは20位、翌2017シーズンは17位、2018シーズンは10位と着実に年間総合ランキングを上昇させ、2019シーズンはトップ10入りを果たした。
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◆WSL CT参戦以降の成績◆
シーズン
年間総合ランキング
2016年
20位
2017年
17位
2018年
10位
2019年
6位
2020シーズン、史上初となる日本人ワールドタイトル獲得も夢ではない。
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