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2017年5月、フランス・パリにて開催される『ストリートファイターV』(以下、『ストV』)の招待制大会Red Bull Kumite 2017。本稿では、その大会に出場する日本人選手5名に、自分以外の選手の印象や人柄について語ってもらう。
ウメハラは日本初のプロ格闘ゲーマー。数々の名勝負を生み出し、全世界で絶大な人気を誇る。『ストV』での使用キャラは、おもにガイルとリュウ。
不変の信念を抱き続ける ~ボンちゃん~
――ボンちゃんとは、ウメハラさんが雀荘の店員として働いていたときからの知り合いとお聞きしています。最初に出会ったときのことは覚えていますか。
ウメハラ 僕の働いていた雀荘の同僚は、比較的若い人が多い職場だったのですが、そのなかでも、ひときわ若くして入ってきたのがボンです。
――雀荘でも、ウメハラさんは先輩の立ち位置ですね。
ウメハラ 年は僕が上ですが、勤務歴で言えば1ヵ月長い程度なので、ほぼ同期です。その後は、ふたりともその雀荘が店をたたむまで、いっしょに働いていました。
――第1印象は如何でしたか?
ウメハラ ボンは麻雀に対してやる気があって、僕と似たようなヤツが入ってきたという印象でした。僕も当時は、麻雀が上手くなりたい一心だったので。
――ゲームで最初に関わったのはいつ頃でしょうか。
ウメハラ 最初は『ストリートファイターIV』(以下、『ストIV』)が出る前、『ギルティギア』で対戦していました。昔、僕が対戦格闘ゲームを相当やり込んでいたらしいと、ボンがほかの人から聞いたみたいで、「対戦しませんか?」と誘われて。
――ボンちゃんのほうからゲームで対戦したいと声をかけてきた?
ウメハラ そうです。当時の僕は麻雀一筋で、ほぼゲームをやっていない時期だったので、「面倒くさいなぁ……」と胸の中でボヤきつつ(笑)、対戦したのが最初でした。
――そのときの対戦結果は覚えてらっしゃいますか?
ウメハラ 勝ったり負けたりです。ボンは想像よりも上手くて、けっこうやっているんだなと感じましたね。
――その後は『ストIV』に移行したと思うのですが、『ストIV』でいちばん対戦した相手はボンちゃんですか?
ウメハラ 『ストIV』に関して言えば、確実に5本の指に入るくらいの回数は対戦した相手ですね。
――プレイヤーとしてのボンちゃんは、どんなイメージでしょうか。
ウメハラ ボンは基本的に守りが主体の守備型。今回話す4人の中で比較しても、彼はその傾向が強い。
――麻雀と、ゲームで対戦するときと、印象は違いますか?
ウメハラ 同じ印象を受けます。ボンは基本的に自分からガンガン攻めるのではなく、チャンスを待つタイプ。その精度やレベルが高いので、中途半端な攻めをするようなプレイヤーだとまったく歯が立たないんです。
――プレイヤーとしてではなく、人としてのボンちゃんはどんな印象でしょう?
ウメハラ 初めて会ったときからずっと変わらず、ボンは揺るがぬ信念を持っています。自分が信じる姿勢、考えかた、生きかたがあって、その信念を軸にして行動する。もっと良い考えかたや、やりかたがあるのかもしれないけど、いったん自分が決めたことは曲げない。
――穿った見かたをすれば、合理的ではないということでしょうか?
ウメハラ 基本は合理的だけど、自分の信じている義を貫くところがある。ボンが守備型のプレイヤーというのもずっと変わっていなくて、ボンのプレイスタイルを聞けば、誰でも守備型と答えるはずです。逆に、僕は考えかたがコロコロ変わって、そのとき良いと判断したほうを選ぶ性格。だから、出会った時期や、プレイしていたゲームによって、僕のことを攻撃型と思っている人もいるだろうし、守備型と思っている人もいます。
――つまり、ウメハラさんとボンちゃんは正反対?
ウメハラ そうかもしれないです。
――そういったボンちゃんの正反対な部分に関しては、どう思っていますか?
ウメハラ 疲れるだろうな、とは思います。ボンは責任感が強くて、自分がこうだと言ったら、その言葉に対する責任を強く感じてしまう。だから、本当は別の道のほうが良いと気付いても変えられない。それは結局、責任感ですけども、見栄と言うこともできる。一度言葉にしたことは曲げたくない、という見栄。
――確かに、誰しもそういう側面はあると思います。
ウメハラ もちろん僕にもそういう考えは、あります。ですが、見栄と、より正しい判断のどちらを優先するか考えたときに、僕は後者を選ぶ。過去の発言や、これまでの行動に反したとしても、それに固執するのは嫌いなんですね。多分、プレイヤーのなかでも、僕は見栄を全然張らないほうです。
――ウメハラさんは見栄を張るよりも、より良い方向に向かっていきたいと。
ウメハラ 自分の発言を変えるのは、一時の恥じゃないですか。それを怖がって、自分の成長の機会を逃すのはもったいない。恥をかいてもいいから、自分が正しいと判断した道を進んでいく。そのくり返しで、いまの自分が形作られていると思うんです。そういった意味では、僕も自分なりの信念を持っていますね。
自分の中の正義に忠実 ~ときど~
――ときどさんに最初に出会ったときのことをお聞かせください。
ウメハラ 最初に彼を見たのは、僕が19か20歳のときの『CAPCOM VS. SNK』の大会。当時中学生だった彼と対戦して、確か僕が負けたんですよ。その後、ときどという最近出てきた上手い子らしい、と、人づてに聞きました。
――そのとき、会話はされましたか?
ウメハラ いえ、全然。まともに会話をし始めたのは、僕がプロになってからです。ときどがまだ大学生で進路に悩んでいた際、共通の知り合いから、「ウメハラはプロゲーマーをやっているから、相談したらおもしろい話が聞けるんじゃないの?」ということで紹介されました。
――改まって紹介されて、話す機会を設けられた、という感じでしょうか。
ウメハラ そうです。でも、僕はテーブルで向かい合って話すのは得意じゃなくて、新宿あたりを散歩しながら、話をしたと記憶しています。
――どんなことを話されたか覚えていますか?
ウメハラ 正確には覚えていないです。「プロゲーマーになりたいんだけど、どう思いますか?」みたいな話でした。
――ウメハラさんが、どう答えられたのか気になります。
ウメハラ 僕自身は学歴や資格がないことで苦労したので、「その東大卒の肩書き、お前が考えている以上に価値があるから」と伝えました。もちろん、必ずしもそれを使う必要はないけど、お前はその価値を正しく理解していない、と。でも、それは世間一般の話であって、ときど本人の気持ちと直接の関係はない。本当にプロゲーマーとして歩みたいと思うなら、人生は1回だから後悔のないように、と話した気がします。
――そうやって、初めて向かい合って話した印象はどうでしたか?
ウメハラ 努力して東大まで行ったことで予想できていましたが、真面目な印象。いまでもそれは変わっていない。その時は何故こんな真面目な東大生が、自分の歩んできたレールをわざわざ外れようとしているのか、わからなかった。当時は、一時的な感情に身を任せているだけじゃないか、と疑ったりもしました。結果的には違いましたけど(笑)。
――ときどさんの情熱は本物でした。少し進んで、マルチゲーマー時代のときどさんは、どのような印象ですか。
ウメハラ マルチゲーマーは、受験勉強に例えると、複数教科の総合得点で高い点数を取るための練習をする感覚ですよね。
――ときどさん自身も「複数のゲームで80点を取るプレイをしていた」とおっしゃってました。
ウメハラ 僕も最初の闘劇(※1)、EVO(※2)で4タイトルにエントリーしていて、マルチゲーマーだった時期がありました。そのときの僕は、当時のときどほど割り切れていなくて、このゲームだけは誰にも負けたくないと思うタイトルが、ひとつはあった。だけど、4つもやっていると、その本命タイトルで勝ち切れないことを実感しました。
※1闘劇……日本で2003年から2012年まで開催されていた大規模な格闘ゲーム大会。
※2 EVO……アメリカ・ラスベガスで毎年7月に開催されている世界最大級の格闘ゲーム大会。正式名称は“Evolution Championship Series”。
――それはいつ頃の大会ですか?
ウメハラ 2003年の闘劇とEVOです。そこで自分は、本当に勝ちたいところで勝てないとダメな性格だとわかり、1タイトルをやり込む方向にシフトしました。結果として、それは世間やコミュニティからも評価されました。
――マルチプレイヤー時代のときどさんを見ていて、過去の自分と重なる部分があった?
ウメハラ そういう時期は僕にもあったな、と。賞金獲得やベスト8の壇上に上がれる可能性は、マルチにやっていたほうが高くなりますから。マルチゲーマーであることが、個性にもなる。だから、マルチでやることをナシだとは思わない。でもそれで、ナンバー1の評価は絶対に得られないと思いながら、見ていました。
――ときどさんに直接、そのことを伝えたわけではなかった?
ウメハラ 盲目的に信じられるのが嫌だから、当の本人が自然とそう思い至るまでは「1タイトルに絞ったほうが良いよ」なんて言わなかったです。本人が気付いたなら、「ああ、気付いたか」みたいな感じで言いますけど(笑)。
――背中で語るウメハラさんを見て、ときどさんの考えかたが変わったのかもしれないですね。
ウメハラ あと、ときどがマルチゲーマーを辞めた理由がもうひとつ。大会の賞金額が上がってプロが出てくるようになって、大会全体のレベルが上がったんですよ。
――単純に、競争の厳しい世界になったと。
ウメハラ そう。それまで、ときどがいろんなタイトルで活躍できたのは、真剣にやっている人たちが少なかったから。全体のレベルが上がったら、掛け持ちでやっている人が勝てるわけがない。そうすると、すべてのゲームで80点を取っていたはずが、相対的に見て60点くらいに下がってしまう。これでは本末転倒で、何も得られるものがないと、ときども考えたんじゃないですか。
――ときどさんがタイトルを1本絞る過程で、ウメハラさんに相談はありましたか?
ウメハラ 相談があったかは覚えていないですが、間接的なヒントは与えたかもしれない。「プレイヤー数がいちばん多いゲームで勝つのが、プロとして、最高の実績になる」みたいなことを言った記憶があります。
――現在とマルチゲーマーだったときを比べて、ときどさんの人間的な印象は変化しましたか?
ウメハラ マルチから1本に絞って、プレイヤーとしてやることは変わっても、真面目な性格は変わっていないです。ボンとちょっと似ていると思う部分があって、ふたりとも自分の信じるものを持っているんです。
――どちらも自分の信念に従って行動している?
ウメハラ ときどの場合、信じるものが自分以外の人だったり、考えかただったりする。多分、ときどは信者体質なんですよ。常に、絶対に正しいと思える何かが欲しいタイプ。
――ウメハラさんへの憧れも、そのひとつかもしれませんね。
ウメハラ 信じるものは人じゃなくても良い。おそらく、迷うのが嫌いなんでしょう。自分はとにかく前に進みたいのに、どっちが正しい方向か考えながら進むのは効率が悪いですから。正しいと思えるものがあれば、迷わずに済みます。だから、信じるものを設定しておいて、それに向かって突っ走る。それが、彼の取り組みかただと思います。
――何か信じるものを持っていて、それを貫くという点で、ボンちゃんと、ときどさんは共通している、と。
ウメハラ そうです。ときどは、その信じるものが変わることがある。ボンは多分、若いころからずっと変わっていない何かがある。ふたりとも人として正しい行い、生きかた、考えかたがあると信じている。正義感が強いのかな、一般的な言いかたをすると。
ドライな姿勢でゲームに打ち込む ~ネモ~
――ネモさんのプレイヤーとしての印象をお聞かせください。
ウメハラ プレイヤーとしてのネモは、どのゲームをやっていても、とにかく攻めています。自分自身のプレイに疑問や迷いがなくて、ノッているときは誰が相手かも関係なく、結果につながるプレイができる。だから、ネモは海外の大会でも勝率がすごく高いです。それが強みでしょうね。
――プレイヤーとしての攻めの強さは、ふだんのネモさんからも感じますか。
ウメハラ いえ、それは感じないですね。本性は、ゲームで見せる攻めっ気の強い性格でしょうけど、ふだんはその攻めっ気を出さないように生活している印象。
――オン、オフの切り替えがはっきりしているイメージでしょうか。
ウメハラ プロのなかで数少ない、社会人プロゲーマーなので、常識人です。必要とあれば、本来の自分ではないものを演じて暮らしていける人なのでしょう。だから、ふだん話していて、攻撃性が強いと感じることはないですね。
――ネモさんに対して、自分と違うなと感じる部分はありますか。
ウメハラ ときどや僕は、プロゲーマーという職業に対して、夢やロマンを持っている。この先どうなっていくのか見えない不安はあるけれど、それが楽しさにもなる。僕たちにとって、この仕事は単に生きていく手段だけではなくて、一生懸命に打ち込む対象なんです。勝手な印象ですが、ガチくんもそのタイプではないかと思います。
――ネモさん本人は、未来が予想できない専属プロゲーマーは不安だとおっしゃってました。ですから逆に、将来が見えないなか、専属プロゲーマーとしての道を突き進んでいくのは、すごいことだと。
ウメハラ プロゲーマー1本でやっていくのは、彼の性格的にできないのかもしれないですね。
――ネモさんの場合は、夢やロマンを求めているわけではない?
ウメハラ ネモはもっとドライ。もちろん、ゲームへの情熱はあります。でも、仕事に対する取り組みかたがきっちりと固まっていて、仮にゲームも仕事としてやるならこうだろう、とドライな考えを持っている。
――練習への取り組みかたで、ネモさんと自分が違うと感じる部分はありますか?
ウメハラ 彼を見て思うのは、期間の捉えかたが違う。僕は、『ストV』を辞めるときのことは考えていなくて、ただ前に進みたいという感覚で積み重ねている。でも、ネモはきっちり期間を設定して、その期間内で最善のプレイを仕上げてくる。将来、通用しなくなるようなプレイでも、その期間内で有効なら取り入れます。
――職人的に積み重ね続けるタイプと、期間を設定して仕上げるタイプで違う、と。
ウメハラ どちらもプロとしての在りかただと思います。ゲームの世界を追求し続けることも、決められた期間で自分を仕上げることも。
真面目な表情の内側に野心を秘める ~ガチくん~
――ガチくんについて、プレイヤーとしての印象はいかがでしょうか。
ウメハラ ガチくんは、真面目なプレイヤーという印象です。僕は、こういった真面目なプレイヤーは努力が実を結ぶのが遅いと考えています。たとえば格闘ゲームでは、多くの相手に通用する強い行動をくり返せば、勝つことはできる。それが本当に強い相手には通用しなくて、厳密にはダメな行動であっても、実戦的にはそれで良い。でもなかには、将来的にこれでは通用しなくなる、と、真面目に考えるプレイヤーもいて、ガチくんはそういう側面をを持っています。
――真面目であるが故に、自分自身に対しても厳しく接すると?
ウメハラ ガチくんはいまでも強いですが、もっとズルくなれば、早くからみんなに注目されていたはず。でも、それをやらない。もし、現状のまま真面目に続けていけば、将来的に時間をかけてきた彼のプレイが花開くのではないか、と期待しています。
――地道な積み重ねの結果、大きな成長を遂げる。ウメハラさんも同じような経験がありますか?
ウメハラ ここ数ヶ月くらい、僕の中で大きな変化が起きたと感じているところです。ふだん対戦している人は多分気付いているのですが、大きく伸びたと実感した直後なんです。
――その大きな変化は、どうすれば起こすことができるのでしょうか?
ウメハラ たとえば、「これが有効だ、これが強い」という情報が出たとき、ほとんどのプレイヤーがそれに飛びつきますよね。でも、僕は性格的にそれに便乗できなくて、誰も手を伸ばしていない場所に未知の発見があるのではと、探しに行ってしまう。
――自分しか知らないものを探しにいく感覚ですね。
ウメハラ ほかの人もトッププレイヤーばかりだから、ほとんどの場合、みんなが最初に飛びついた情報は正しい。でも、みんなが同じ場所を探索しているあいだに、もし僕が別の場所で大きな発見をしたら億万長者になれる。そういうトレジャーハンター的な感覚が、僕にはあるんです。
――そういったロマンを求めた結果が、いまのウメハラさんの大きな成長につながった?
ウメハラ そうです。『ストV』に関しては、1年以上そういった宝探しを続けた感覚があります。そして、あらかた探索し尽くして、いよいよ探索場所がなくなったとき「みんなが最初に飛びついた情報、やっぱり正しいな」と思い直す(笑)。でも、おもしろいもので、最初からその情報に飛びつくと、個性が出せなくて埋もれてしまうんです。
――なるほど、遠回りしたように見えて、その経験はムダになっていないと。
ウメハラ 要するに、みんなが即座に役立つ情報中心地に滞在しているあいだ、僕は僻地で“ガラクタ集め”をしているんです(笑)。中心地は情報が溢れているので、たとえ1年遠回りしたとしても、中心地に行けば一瞬で情報を吸収できますから、焦ることはない。自分しか知らないガラクタを集めておけば、そのガラクタが1年後に差になる、というワケです。
――ガラクタ集め=宝探しのロマン、というワケですね(笑)。長期間を意識した、ウメハラさんならではの取り組みかただと思います。
ウメハラ どこを目標にしているかで、取り組みかたは変わります。常にトッププレイヤー層に入っていられれば良いだけなら、最初から情報中心地に行ったほうが良い。でも僕は欲張りだから、どうすれば、みんなとひと味違うことができるかを考える。その結果、ガラクタ集めから始めるという取り組みかたになる。それで焦ることもありますが、最近の格闘ゲームはスパンが長いので、投資の時期は必要だな、と改めて実感しています。
――ガチくんが真面目なプレイヤーで、花開くのに時間がかかるというお話と通じる部分でしょうか?
ウメハラ ガチくんも僕寄りな気がします。ガラクタ集めをしているという意識はないでしょうけど、彼もどこかでロマンを求めているように見受けます。
――やはり、ロマンですか(笑)。
ウメハラ そうです。彼も、もし、すごい発見をしたらどうしよう、とワクワクを感じながらゲームをプレイしている。だから、トップ層にいるだけで満足するタイプには見えません。彼は根がすごく良い子で表には出ないですが、どうせやるならイチバンを目指す、といった意識を持っている。
――心の奥底に、良い意味での野心を持っていると?
ウメハラ そうだと思います。いつか、みんなを驚かせたいと考えている。ただなんとなく成績を残せれば良いとか、そういうところに収まらない、理想のようなものがありそうです。
――ちなみに、ほかの3選手は、ガラクタ集めをしていると感じますか?
ウメハラ ネモは最短ルートを行くことにこだわりがある感じがします。仕事に対してシビアで、限られた期間内で結果を出すことに対して真剣。だから最初から情報中心地に向けて突進していきます。それに多分、彼はみんなと競争して埋もれない自信もある。
――個性で差を付けるのは、ネモさんの得意分野かもしれません。ときどさんはどうでしょうか?
ウメハラ ときどは、もともとネモ的なやりかたでした。そうじゃないとマルチゲーマーとして活躍することなんて、できない。現在はそれだけではダメだと考えて、基本的には効率の良い情報中心地に長く滞在しつつ、片手間でガラクタ集めもしていますよ。意識的に。
――ボンちゃんはどうでしょうか?
ウメハラ ボンは、ときどよりももっと僕に近くて、ガラクタ集めをしている比率が高い。自分自身のプレイを見つめる時間が、ほかの選手よりも長い印象があります。
レッドブル・アスリートとして結果を残したい
――Red Bull Kumiteについての印象をお聞かせください。
ウメハラ 現在有名な大会といえばEVO、Capcom Cup(※1)、ELEAGUE(※2)など注目度の高いイベントがありますよね。Red Bull Kumiteは、それとはまた違った別枠として存在感が出始めて、ひとつの地位を確立しつつあると思うんです。
※1 Capcom Cup……毎年12月にアメリカのカリフォルニア州で開催される公式大会。その年の大会成績上位者だけに参加権が与えられ、『ストV』の年間チャンピオンを決める。
※2 ELEAGUE……アメリカのe-sports番組。『ストV』の招待制大会も開催されており、アメリカのテレビ局とTwitchで放送されている。
――わずか3回目にして存在感を持つに至った理由は、どこにあると思いますか?
ウメハラ まずは演出。あと、フランスという土地がおもしろい。イベントといえばアメリカ、という暗黙のルールがあるなかで、あえてフランスを選ぶことで、独自の道を突き進んでいるな、と。ほかと違うことをやろうという、遊び心は個人的に好きです。
――Red Bull Kumite2017に出場する海外選手で、注目の方はいますか。
ウメハラ 特定の選手ではないですけども、海外選手は去年出ていない初参加の選手が多く、おもしろい人選です。素直にレベルが高いとも思います。
――最後にRed Bull Kumite2017に対する意気込みをお願いします。
ウメハラ Red Bull Kumiteに出場するのは今年で3回目ですが、これまでの成績は芳しくありません。僕もレッドブル・アスリートとして、そろそろ良い結果を残します。自分のなかで大きな成長を感じた直後ということもあり、タイミングも味方している。強いプレイヤーが多いので、結果はわからないですが、去年より自信がありますよ。
日本の格闘ゲームコミュニティにおいて、常に中心で在り続けるウメハラ。各選手が内に秘めた想いまでも見抜いているかのような、核心を突いた話がつぎつぎと飛び出した。
最近さらなる成長を遂げたと語ってくれたウメハラ。世界の強豪プレイヤーが集結する大舞台で、3度目の正直を有言実行することができるか、注目が高まる。
Written by 高城暁、辻良太郎
■Red Bull Kumite 2017
日時:2017年5月27日(予選:18時〜)・28日(決勝:21時15分〜)
- 予選Bracket:http://redbullkumite.challonge.com
予選スケジュール
配信予定日時(JST)
プールA〜H
18時〜20時30分
プールI〜P
20時30分〜23時
TOP32〜TOP16
23時15分〜01時
TOP16〜予選終了
01時〜06時
決勝スケジュール
配信予定日時(JST)
オープニングセレモニー
21時15分〜21時35分
TOP16〜TOP12
21時35分〜00時30分
TOP12〜TOP4
00時50分〜03時
TOP4〜グランドファイナル
03時〜05時
アフターショウ
05時〜