リーサル・シューター(Lethal Shooter)として知られるクリス・マシューズは、現在最も需要のあるバスケットボールコーチのひとりとして知られている。ワシントンD.C.出身のマシューズは、NBAとWNBAの名シューターを次々と生み出してきたが、新たな1on1 -『鉄拳7』- を学ぶべく、先日コーチから生徒へ戻った。
2020年7月23日から、EVOトップ8を2回経験しているHoa “Anakin” Luuが6週間で『鉄拳7』を教える動画レクチャーシリーズ《Class In Session: Anakin’s TEKKEN Academy》がスタートした。基本ムーブから対戦相手の読み方までが学べるこのシリーズは、新規プレイヤーやベテランプレイヤー、そしてマシューズのようなプレイを再開したプレイヤーを含む全プレイヤーが対象になっている。
「昔はかなり上手かったんだよね」とマシューズは語る。「スーパーファミコンを持っていたんだ。『モータルコンバット』や『ストリートファイター』シリーズのような格闘ゲームも持っていた。冗談抜きに上手かったんだけど、バスケットボールを始めてからビデオゲームをプレイしなくなってしまった。単純に時間がなかったんだよ」
そして今、時間の余裕が生まれているマシューズは、1シーズン最多スリーポイント記録101本を記録したセント・ボナベンチャー大学時代と同じような高い志を持って新たなチャレンジに挑もうとしている。トップコーチを目指して長年努力を重ねてきた(そして空き時間に『NBA 2K』をプレイしていた)マシューズにとっては、格闘ゲームの感覚を思い出すことが最初のハードルになる。
「『モータルコンバット』や『ストリートファイター』シリーズのすべてを覚えているけど、スーパーファミコン版だったから、『鉄拳7』では一切役に立たないだろうね。ライデンやスコーピオンは今でも鮮明に思い出せるけれど、『鉄拳7』とは違うゲームだし、今回の挑戦とは無関係だ」
「でも、僕は飲み込みが早いから、いくつかの技をスムーズに出せるようになれば、感覚を掴んで活躍できるようになると思う」
格闘ゲームからしばらく離れていたマシューズが、このジャンルに再び惹かれているのは、その中にバスケットコート上でクライアントと一緒に磨いてきたスキル - 対戦相手に勝つ - を見出しているからだ。
瞬時に判断し、対戦相手の動きに素早く反応していかなければならないのは “ラウンド3” も “第4クォーター” も同じだ。しかし、Anakinから学びたいというマシューズのモチベーションは、仕事よりもプライベートな部分から来ている。
「ビデオゲームをまたプレイしたいと思ったのは、周りの多くの人たちからプレイして欲しいと頼まれていたからなんだ」
「毎週約100万人のファンが僕のインスタグラムアカウントをチェックしていて、多くのファンが “Twitchでストリーミングしてください” とか “あのゲームを一緒にプレイしたいです” とメッセージを送ってくれるんだけど、ファンの前でプレイするなら負けるわけにはいかない(笑)」
「だから、一番上手い人から学ぼうと思ったんだ。しっかりトレーニングを積んだあと、ファンに “退屈だから勝負しよう” と持ちかければ、 “うわ! 滅茶苦茶上手い!” と驚かすことができる。僕は自分の立場を守らなければならない。多くのファンが観戦するオンライン対戦で僕が負けたら、メンツが潰れてしまう」
恥ずかしい思いをしたくないというのは大きなモチベーションになるが、その先の成長は見込めない。しかし、本人は、コーチとしての経験が生徒としての自分に活きると考えている。
「僕はコーチだから、誰かに何かを教わるということをとても良く理解している。Anakinが僕に教えてくれることは、僕がプロバスケットボール選手に教えることと本質的には同じだ。だから、僕に合った方法で教わることができれば、すぐに体得できると思う」
完全な初心者という意味で、マシューズはAnakinにとって理想的な生徒だ。6週間の動画シリーズは『鉄拳7』の基本がベースになっているが、動画配信後にTwitchでのフォローアップ・ストリーミングが用意されているため、マシューズのような生徒はAnakinに質問して、自分のミスを確認したり、アドバイスを受けたりすることができる。
また、この動画シリーズとストリーミングは初心者限定ではなく、ベテランプレイヤーのスキルチェックとしても機能するようになっており、悪癖を修正してさらなる成長を目指すことができる。もちろん、マシューズは悪癖について熟知している。
「プレイ経験がなければ悪癖は付きようがないよね。いずれにせよ、僕の中では、ビデオゲームプレイヤーを目指すというのは最強を目指すことだ。別にビデオゲームシーンのマイケル・ジョーダンになろうって話じゃない。ただ、他のプレイヤーとの対戦で何の問題なく勝てるようになりたいだけだ。とにかく上達したいんだ」
マシューズのようなトップコーチは、職業上、生徒やクライアントをさらに上のレベルへ引き上げるまでのプロセスを熟知している。そのため、対戦のトップレベルに到達するまでの難しさについてはCPU対戦を繰り返しているだけのプレイヤーよりよっぽど理解していると言える。
「『鉄拳7』の対戦を少しチェックしたけれど、勝つのは簡単じゃないね。コントローラーを手にしたらあとは簡単に進むなんて思っていないよ。頭を使う必要があることは十分に理解しているし、素早く判断しなければならない。最初の勝利を掴むまでにいくつかの敗戦を味わうことになるだろうね」
「『鉄拳7』のグラフィックはかなり鮮烈だし、ビデオゲームからしばらく離れていた僕にとってはかなりの情報量になると思う。だから早く慣れて格闘ゲームをプレイしていた頃の感覚を取り戻していかないといけない」
このように不安を語るマシューズだが、トップコーチである彼は、ファンとのビデオゲーム対戦で勝利を得られる確率が最も高いのがこのゲームだということを理解している。
「何しろ、世界最強から学べるんだからね。僕をシュートコーチとして雇う人がいるのも、一番上手い人から学びたいと思っているからなんだけど、最強から学べるというのは大きい」
「ビデオゲームやスポーツのイベントで強気に出られるようになる。 “口で文句を言う前に対戦で勝負しよう。覚悟しておけよ” なんて言えるようになるんだよ。僕には『鉄拳7』 のマイケル・ジョーダンがついているなんて誰も思わないはずさ」
Anakinの《Class In Session: Anakin’s TEKKEN Academy》は7月23日からレッドブルのYouTubeチャンネルでスタートしており、動画が公開された翌日にTwitchのストリーミングでフォローアップが行われる。アカデミーゆえに “宿題” もこなさなければならないが、6週間が過ぎればオンライン対戦やローカル対戦で勝利を収められる確率が大いに高まっているはずだ。
マシューズは最後に次のようにコメントしている。
「今回の参加できることを楽しみにしているよ。次に会う時はかなり上手くなっているはずさ」
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