© Dustin Satloff/U.S. Ski and Snowboard/Getty Images
アルペンスキー
リンゼイ・ボンが6年ぶりに現役復帰!
チタンプレートが埋め込まれた膝と鋼の意志を備える女子アルペンスキーシーンのレジェンドが見事な形で現役復帰を果たした!
リンゼイ・ボンが2024年11月14日に「今からコロラドへ向かいます…。米国スキー代表のユニフォームがまだ入ると良いですが…」とジョークを飛ばしたとき、世界はこれを興味と困惑が入り混じった感情で受け止めた。何しろ、度重なる怪我との戦いでキャリアが年単位で短縮されてしまったように思える彼女は、2019年に現役引退を表明していたからだ。一方、そのレガシーは無傷だった。
本気で現役復帰するのだろうか? それともただのジョークなのだろうか? 懐疑主義者たちは彼女の発言をブラフとして扱い、競技再開の可能性を “クレイジー” と表現した。チタンプレートが埋め込まれた膝を抱え、40歳でアルペンスキー競技への復帰を考える人などいるのだろうか?
答えは "イエス"。リンゼイ・ボンがその人だ。唯一無二の努力家で、良い意味でエクストリームな人物として知られる彼女は、現役復帰がクレイジーでもなければ、ジョークでもなく、本気だったことをスイス・サンモリッツで証明した。
約6年ぶりのFISアルペンスキーワールドカップに参戦したボンは、土曜日のスーパー大回転に出場して全世界から注目を集めた。
警戒心と自信とともにコースに姿を現した彼女は、復帰の難しさを十分に理解しながら、自分をレジェンドたらしめたスピードを披露し、14位となる1分16秒36でフィニッシュ。これはこの日を制したコーネリア・ヒュッターからわずか1.18秒遅れという素晴らしいタイムだった。
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パーフェクトな1日
数年間引退生活を送っており、このレースのわずか8ヶ月前に膝の置換手術を受けたばかりだった人にとって、この結果は素晴らしいものだったはずだ。しかし、ボンはいつも通り余計なドラマを排して、率直な感想を述べた。
まだまだ全力を出せていません
「今日はパーフェクトなスタートが切れました。まずまずのランでフィニッシュできました。どんなときも最初が一番難しいわけですが、今日は良い感触が得られました。コースが少しバンピーだったので、セクションによっては守りに入らざるを得ませんでしたが、一部のセクションではかなりのスピードが出せました。まだまだ全力を出せていません」
この日はただの現役復帰ではなかった。リンゼイ・ボンがリンゼイ・ボンらしさを発揮した1日でもあった。唯一無二で情け容赦のない彼女は、世界の多くがまったく予想していなかったことを成し遂げて、人生を楽しんでいた。
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リンゼイ・ボンがリンゼイ・ボンらしさを発揮した1日
翌日の日曜日は天候不良のため中止となったが、ボンは2025年1月にオーストリアのザンクト・アントンで開催される次のレースに照準を合わせている。ファンとライバルスキーヤーたちは、彼女がその輝かしいキャリアに新章を加える姿に間違いなく注目するはずだ。
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圧倒的なレガシー
ボンの現役復帰は、彼女の強靭な精神と、弱冠16歳でワールドカップデビューを飾った2000年から築き上げてきた偉大なレガシーの証しだった。
約20年の現役生活を通じて、ボンはワールドカップ82勝、クリスタルグローブ4回を含むワールドカップタイトル20回、世界選手権メダル8個を手にしている。
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