赤身肉にはプロテイン・鉄分・ビタミンB12・亜鉛が豊富に含まれる
© Marcus Bean
ランニング

トップシェフが教えるマラソントレーニング&リカバリー用レシピ

ポリッジやホームメイドスナック、赤身ステーキなど、マラソンのレース前トレーニングやレース後リカバリーに効果的な食事を英国人シェフ4人が提案してくれた。
Written by Will Unwin
読み終わるまで:7分Updated on
マラソントレーニングに食事計画は欠かせない。
十分な食事を摂ることで、膨大なカロリー消費(ロングランのカロリー消費量は莫大)に備えつつ、主要栄養素と微量栄養素を正しく選んで、パフォーマンスリカバリースピードを高める必要がある。
そのためには、かなりしっかりした管理計画が必要だが、食事計画は、マラソントレーニングの楽しい1ページになりえる。グルメなランナーにとっては特にそうだろう。
ランニング前後の食事についてフレッシュなアイディアを得るため、今回は英国で活躍するトップシェフ4人ギャレス・ミラー / セラーシ・グボールミッター / マーカス・ビーン / マット・ライリー)にマラソントレーニング用レシピを提案してもらい、その栄養価をキング・エドワード7世病院(ロンドン)のスポーツ栄養学者リック・ミラーに解説してもらうことにした。

クリーミー・ポリッジ

By ギャレス・ミラー
エナジー変換がゆるやかなポリッジはランニング前に最適な栄養補給源となる

エナジー変換がゆるやかなポリッジはランニング前に最適な栄養補給源となる

© Arx0nt /Moment / Getty Images

最初に紹介するのは、Dinner by HestonやQuality Chop Houseでシェフを務めるギャレス・ミラーが提案するシンプルな朝食メニューだ。ギャレスは、これを食べたあとマラソントレーニングを2回こなせたとしている。
「僕は少しゆるめのシンプルなポリッジが好きですね。ロングランを控えた長い1日を前にして、朝食に時間をかけたい人はいませんよね」
「オーツ麦はミルクと水を1:2の割合にしたもので加熱し、あまり煮詰めずにゆるく保ちます。そのあとで、ほんの少量の塩を加えます」
「好みのゆるさになったら、ボウルに盛り付けたあと、食欲を刺激するためにハチミツをひとまわしかけます」
「ちょっとした味のメリハリと栄養追加のためにベリー類を加える時もありますが、個人的にはシンプルなポリッジのままで満足です」
フィットネストレーニングファン御用達レシピとして知られるポリッジについて、栄養学者のリック・ミラーはランニング前の朝食にも最適だとしている。
「ポリッジに使われるオーツ麦は、エナジー変換スピードがゆるやかなので、レース中の血糖値を一定に保つのに役立ちます。血糖値の維持はエナジー戦略に不可欠です」
「ギャレスのレシピは、ミルクがプロテイン源として加わっているので、より栄養価が高く、フィットネスに適しています」
「エナジー変換をよりゆるやかにするためには、乳脂肪分を含んだ全乳を使うと良いでしょう。ハチミツをかければ、甘さと炭水化物を足せます」

サーモンと彩り野菜のロースト / ホームメイドスナックバー

By セラーシ・グボールミッター
サーモンと彩り野菜のロースト

サーモンと彩り野菜のロースト

© LauriPatterson / E+ / Getty Images

BBCの料理番組『Great British Bake Off』で知られるセラーシ・グボールミッターは、豊富な魚と野菜でロンドンマラソン完走に必要な栄養素をカバーした。
「緑だらけの料理は好きではないので、カラフルな野菜を選び、ローストしたあとサーモンと合わせました」
「また、ちょっとしたご褒美として、ナッツ類やドライフルーツをココナッツオイルでまとめたヘルシーなスナックバーを作りました。アーモンドやクランベリー、ナツメヤシ、カシューナッツ、ココナッツなども混ぜています」
市販品よりも断然ヘルシーなホームメイドスナックバー

市販品よりも断然ヘルシーなホームメイドスナックバー

© Selasi Gbormittah

「自分でロングランをする前は、米などで炭水化物を補給しています。また、必ずのどちらかを添えるようにしています。もちろん、何よりも重要な水とフルーツも忘れてはいけません。これらはマストですね」
ミラーは、スナックバーを加えている点を高く評価している。
「市販のスナックバーよりも栄養価が豊富ですし、ランの前後に食べるスナックとしては実に素晴らしいですね」
ミラーは、シュガーコートされていないナッツやドライフルーツを加えれば、ドライフルーツの消化しやすい炭水化物と、ナッツのより持続性の高い複合糖質脂肪分を上手くミックスできるとしている。
「また、ナッツとドライフルーツの食物繊維が、このスナックバーを腸内細菌に優しくしています。素晴らしいレシピですね」

赤身肉ステーキ フレッシュニョッキ添え

By マーカス・ビーン
赤身肉にはプロテイン・鉄分・ビタミンB12・亜鉛が豊富に含まれる

赤身肉にはプロテイン・鉄分・ビタミンB12・亜鉛が豊富に含まれる

© Marcus Bean

Virgin Money London Marathonへ複数回参加した経験を持つマーカス・ビーンは、ランニング後の “ご褒美ミール” の重要性を知っている。
「私はステーキに目がなく、リブロースが特に好きなんです。このレシピは、トレーニングランを終えたあとの自分へのご褒美に最適です」
「ステーキには豊富なプロテインが含まれますので、私はランニング後に良く食べています」
「グリドルパンやBBQグリルで表面に焼き目をつけてスモーキーな風味を加えたあと、ポテトとジャガイモ粉で作ったフレッシュなニョッキをハーブで和えたものを添えています。炭水化物・プロテイン・脂質といった重要な栄養素が含まれています」
多くのランナーが赤身肉の摂取を避けようとしているが、ミラーは週1〜2食赤身肉を食べることを推奨している。
「赤身肉にはプロテイン鉄分ビタミンB12亜鉛などの栄養素が豊富に含まれています」
「これらの栄養素は筋組織をリカバーしたり、赤血球を作ってエンデュランスパフォーマンスを高めたりするのに不可欠です。胃腸の健康を維持し、免疫をサポートしてくれます」

生ハムとゴートチーズのホームメイドピザ

By マット・ライリー
ホームメイドピザは様々な野菜を摂るための優秀なオプション

ホームメイドピザは様々な野菜を摂るための優秀なオプション

© Westend61 / Getty Images

BBCの料理番組『The Great British Bake Off』に出演した経験を持つマット・ライリーも熱心なアマチュアマラソンランナーで、日々のトレーニングで大量のカロリーを消費している。
彼は大好物のピザをほんの少しヘルシーに仕上げてみた。
BBCの人気料理番組に出演した経験を持つマット・ライリー

BBCの人気料理番組に出演した経験を持つマット・ライリー

© Mat Riley

「私はピザが大好物なのですが、マラソントレーニング中はひと切れで我慢しなければなりません」とライリーは切り出す。
「ピザはいつも自分で作っていますが、発酵の時間がいらない、かなりシンプルなレシピで生地を作っています。ベースはシンプルなトマトソースですが、トッピングにはちょっとしたこだわりがあります」
「個人的には(おそらくトレーニングには理想的ではない)スパイシーなピザが好みなのですが、普段はチョップした酢漬け唐辛子と一緒に生ハムゴートチーズを載せています。数種類の野菜も散らして、さらにサラダも添えています」
「冬のロングランのあとは、何らかのご褒美があるべきだと考えていますが、ピザはまさにそのための一品です」
栄養学を専門とするミラーは、このホームメイドピザも高く評価している。
「多くの人がピザをヘルシーではないと思い込んでいますが、このように生地、トマトソース、少量のチーズと肉類(肉類は抜いてもOK)というシンプルな材料にまとめられているピザは、ランニングの優れたエナジー源になります」とミラーは説明し、さらに続ける。
「野菜不足に悩んでいる時も、ピザをベースにすればより多くの野菜や生野菜を摂れますし、しかも美味しく食べられて胃腸の健康も保てます」
「一流ランナーにとって、胃腸の健康管理は重要なテーマです。胃腸を健康に保っておけば、身体全体の健康維持に役立ちますし、リカバリーも早められます」
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