F1
ワールドタイトルを4回獲得しているオランダ人F1ドライバーが、サーキット内外でのバランスの取り方や日本への思いなどを語ってくれた。
マックス・フェルスタッペンは世界の頂点に立っている。彼は最も完成している27歳のF1ドライバーだ。
ワールドチャンピオンを4回獲得しているこの希代の才能は、2025シーズンでF1記録に並ぶ5連覇に挑むことになる。現在、この記録はミハエル・シューマッハが所持しているが、シューマッハが達成したのは彼が35歳のときだった。一方、フェルスタッペンは、F1ドライバーとしてようやくピークに差し掛かろうとしている。
また、サーキットで大きな成功を収めてきた彼だが、レッドブルのプレミアムファッションブランド、アルファタウリのブランドアンバサダー就任記念独占インタビューの中で、自分はいたって冷静で、本当に必要なことだけに集中していることを明らかにしている。
01
マックス・フェルスタペン：10年・63勝・人生の幸せ
F1キャリア10年を数えるフェルスタッペンは、F1最高のタレントのひとりであり、誰もが憧れるドライバーへと成長した。強烈な意志と豪快なドライビングで知られる彼は、成功と人生バランスについてより深い学びを得たようだ。フェルスタッペンは次のように語っている。
「私は人生を通じてF1ドライバーとして成功を収められるように努力してきました。成功を収めることは私にとってとても重要であることに変わりはありません」
「しかしながら、突き詰めれば、その成功によって本当の幸せが手に入るわけではありません。本当の幸せは友人や家族、愛する人たちから得られるものなのです」
フェルスタッペンはF1キャリア10年で優勝63回・表彰台112回を記録してきた。圧倒的に強かった2022シーズンと2023シーズンを経て迎えた2024シーズンは、彼にとって最も難しいタイトル防衛シーズンとなり、「すべてのレースで最速のマシンを用意できなかったので、チーム一丸となってミスの数を減らそうとしました」と振り返っている。
結局、同シーズンのフェルスタッペンはマシンを限界の先まで追い込みながら9勝を挙げた。特筆すべきは2024年11月のブラジルGPで、この最高の勝利は彼の名前を世界中に知らしめるきっかけとなった。
最近のパドックにおけるフェルスタッペンは、年長組ドライバーに含まれており、パドック内外の多くの人たちからロールモデルとして見られている。結果、すべてにおいて以前よりも大きな責任が伴うようになったフェルスタッペンだが、本人はプレッシャーを感じていない。
02
心の平穏
フェルスタッペンは父親とともにF1サーカスとモナコで育った。モナコはモータースポーツのリトリートと言える場所で、彼はここに戻ることで自分をリラックスさせ、2月末から始まる新シーズンのテストに向けて自分を再び整えている。
ちなみに2025シーズンは21カ国・全24戦が予定されており、サーキットでのレース以外にもメディア対応やスポンサー関連イベントもあるが、フェルスタッペンは次のように語っている。
「F1のシーズンは非常に厳しいです。ここ数年でロケーションとレースがさらに増えました。ですので、自分だけの時間を見つけて休息を取り、家族や友人と一緒の時間を過ごすことが非常に重要です」
だからこそ、フェルスタッペンは、プライベートライフの充実にパーフェクトな空間をモンテカルロに用意している。
「私にとって、自由とは家に帰り、次の予定を考えなくてよいときです。そしてモナコが今の私の家です。ここでリラックスし、自分だけのことを楽しんでいます」
私にとって自由とは家に帰り、次の予定を考えなくてよいときです
03
ピークパフォーマンスを引き出すための工夫
フェルスタッペンからはリラックスしたムードが感じられるが、実際は研ぎ澄まされた集中力の持ち主であり、またもイレギュラーと言える2025シーズンを戦えるように努力を続けている。
セルフケアがピークパフォーマンスへ続く第一歩であることを理解しているマックスは、サーキットと同じくらいの気合いでフィットネストレーニングにも積極的に取り組んでいる。
F1では並外れたフィットネスレベルが必要だ。そのため、プレシーズン中のフェルスタッペンは、持久系トレーニングと高強度ストレングスコンディショニングトレーニングを1日2回・週6日こなしている。通常は海岸沿いの1時間のランだが、時間があるときは山側へ向かって2〜3時間のバイクライドを消化している。
モナコの夜は、静寂と交流が大きなコントラストを生み出す。フェルスタッペンは、執拗なメディアから遠く離れた場所で、現在と過去のサーキットでのライバルたちとの食事を夜遅くまで楽しんでいることを明かしている。
「イタリア料理が好きですが、気分次第です。日本料理も好きですよ。和牛は美味しいですよね」と語るフェルスタッペンは、日本料理は味だけではなく、体験すべてが好きだと続ける。
「私は日本料理のバラエティに富んだ調理方法も好きです。たとえば、鉄板焼きでは目の前で肉の様々な部位を調理してもらえます。あれは本当に素晴らしいですね」
実はモナコに住んでいなかったら、東京に住んでいた可能性もあったようだ。「行きたい場所について話をするなら、私は日本を選びますよ。東京はクールなスポットが沢山ある大都市です。時間をかけて日本全国を見て回りたいですね」
サーキットとは無縁の静かな1月を過ごしたフェルスタッペンは、リラックスした雰囲気でまたサーキットに戻ろうとしているが、不要なプレッシャーを自分にかけないように強く意識している。
「リラックスできています」と語るフェルスタッペンには、次のレースと同じくらい生活のバランスとセルフケアを重要であることが理解できている熟練のワールドチャンピオンの風格が備わっている。
時間をかけて日本全国を見て回りたいです
04
新シーズンと新チームメイト
フェルスタッペンは新シーズンに向けて次のように語っている。
「2025シーズンの自分たちにどれだけ競争力が備わっているのかを確認するのが楽しみですね。自分たちの現在地が分かれば、具体的な目標が設定できます」
隣のガレージの最大の変更が23歳の新加入ドライバー、リアム・ローソンだ。ローソンは、カルロス・サインツ、ダニエル・リカルド、ピエール・ガスリー、アレックス・アルボン、そしてセルジオ・ペレスに続く、フェルスタッペンにとって6人目のチームメイトになる。ミルトンキーンズにコンストラクターズタイトルを再び持ち帰ることが、ローソンとフェルスタッペンの最終目標だ。
自分たちにどれだけ競争力が備わっているのかを確認するのが楽しみです
「リアムとの仕事が楽しみですね。チーム全体が楽しみにしていると思います。昨シーズンは良いときも難しいときもありましたので、今シーズンはもう少し安定させたいですね」
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中！ トップページからチェック！