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<語り手>
JENNI
21歳 シンガー 兼 YouTuber 無類の洋服好き
今日は、この夏のある日、渋谷で巻き込まれた不思議な体験について綴ってみようと思います。
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残暑がまだ厳しい9月のある日、私はあてもなく渋谷をブラついてました。
渋谷のセンター街はいつも賑わってるなぁ。ふぅ、暑い!
ふと『BLITZ』といういかにもロックっぽい看板が目に入りました。ロックTシャツ屋さん? 少しイカツイけど、それもちょっとかっこいいかも。
最近またバンドTが流行っているのは知ってるけど、あまり着たことがない私。
ちょっと勇気を振り絞って、そのお店に入ってみることにしました。
『BLITZ』の店内は薄暗くてちょっとコワイ……でも! Tシャツがいっぱいでめっちゃテンション上がる!
やっぱりイカツイ方がかわいいのかな?♥
こういうのもかわいいなぁ♥
レディースサイズの服もあるし、そのままワンピとして着れそう! やっぱり女の子も着るんだね! で、肝心のバンド名だけど……
SLAYER……?(って、バンドの名前?)
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「シブいのを選ぶねえ…」
ひゃあっっ!!
振り返ってみると、なんかプロレスラーの人がこっちを見てます。ずっと見てます。
……え、誰??
「HER NAME IN BLOODのIKEPYデス!」
プロレスラーかと思ったのは勘違いで、その人はHER NAME IN BLOODというバンドのヴォーカルなんだそう。
名前はIKEPYさん(いけぴー!外見の割にかわいい名前…笑)。
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「キミ、メタルをわかってるねえ」
IKEPYさんはそうやってTシャツのチョイスを褒めてくれてるみたいだけど、正直わたしこのバンド知らないんだけど…。メタル? …ってあの、映画の「デトロイトメタルシティ」みたいなやつ?
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「ちょっとオレについておいで」
グイグイくるな、IKEPYさん。でも面白そうだからついてってみよう!
…と思ってしまった私なのでした。
(さっきのTシャツ、褒められたから買っちゃいましたw。)
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歩きながらIKEPYさんは、私にメタルのあれこれを教えてくれました。
例えば…
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✍ IKEPYに教わったこと① ✍
あのキツネみたいなハンドサインは…。
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私のおぼろげな記憶のなかでは、メタルといえばこんな手のかたちを上空にかかげてるイメージ。
でもこれは間違い。
正しくは、こう。
キツネじゃなかったんだね。悪魔祓いのサインだとか、諸説いろいろあるそうなんだけど、立てた指とたたんだ指で「6」を作る(横から見ると)のが正しいやり方。
でもなんで「6」?「ロック」ってこと?
違います!「666」って、悪魔の数字なんだって。
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そんなこんなで気付けば原宿まで歩いちゃってる私たち。
ふとIKEPYさんが立ち止まった、その視線の先には……
ク、クレープかよ!
メタルの人もクレープとか食べるのね。そんなギャップもなんだか楽しい。
「オレの注文のしかたを、しかと見とけ」
そう言い残してレジに向かうIKEPYさん。
「チョ・コ・ヴァ・ナ・ナァァァアアア!!」
えっ! えっ!? IKEPYさん??
やっぱりメタルのバンドマンは、声がデカイということなのか?(…にしてもデカすぎだろおおぉ…。)
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だけど、そこで私も考えた。
いまやメロイックサインをかかげ、SLAYERのTシャツを着こなす私。
私にだって出来るかも!
「イ・チ・ゴ・ナ・マ・ク・リィィムゥゥウウウ!!」
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これで私も、一人前のメタル・ガール(なわけはない)。
ま、とにかく楽しかった!! 大声でシャウトするの、最高!
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✍ IKEPYに教わったこと② ✍
私が選んだTシャツに描いてあった「SLAYER」とは…。
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METALLICAとMEGADETH、ANTHRAXと共に「スラッシュ・メタル四天王」と崇められているのが、このSLAYER。
スラッシュ・メタルがどういうものなのかはよく分からないけど、普通のメタルよりも激しいのは確か!
だけどSLAYERは残念なことに、あと何年かのうちにツアー活動を引退しちゃうらしい。一度見てみたかったなぁ…。
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見事にクレープをゲットした私たち。
IKEPYさんはクレープにガッついてます。好きなものに全力になれるっていいね!
IKEPYさんはその間もずっとメタルの話をし続けてて(半分くらいしか理解できなかったけど)、メタルって、私が思ってた以上にディープな世界みたい…楽しい!
「今度、俺たちのライブを観に来い」
行ってみたい!! けどメタルのライブって行ったことないから、どう振る舞えばいいのかわからない。
女の子が1人で行くのはちょっと怖いな……。そんなことないのかな? 曲を知らないのに行っても大丈夫?
メタルのライブって、なんか輪になって走ったりするんでしょ?
あとほら、髪の毛を振り乱して、頭を振りまくるやつ! ヘッド…バンキング?
(※正しくは、ヘッドバン「ギ」ング。)
「うおおおおお! …それなら、連れて行きたいところがある」
とIKEPYさんは言う。
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「ヘドバンってのはな……、ヘドバンってのはな……。」
IKEPYさんがブツブツ言いながら向かったところは……なんと、えっ? スポーツジム!?
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✍ IKEPYに教わったこと③ ✍
IKEPYの マッスル・ヘドバン講座
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「いいか! ヘドバンには筋肉が必要だ!
しかし、どんなに鍛えても、やりすぎると首が痛くなるぞ!
でもやるんだよ!! うおおおおおお!!」
スポーツジムに到着するなりヘドバンをするIKEPYさん。すごい剣幕…。
「まずは、これがヘドバンの基本スタイル!」
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「そしてこれが8の字スタイル!!」
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「どうだ! お前もやってみろ!!」
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「……い、いいじゃないか…。
盛り上がってきたぞ……うおおおおおお!!」
「うおおおおおおおお…………」
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ふぅー、つかれた。ヘドバン最高、メタル最っ高!
最初はどこのプロレスラーだよって思ったIKEPYさんも、今ではすっかり打ち解けたし(笑)。
調子に乗ってインスタ上げてみたし!(笑)
この写真、我ながら結構メタルっ子になれてるんじゃない??(まだまだ程遠いけど)
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「今日はよくぞここまでついて来たな。次は現場(ライブ)で会おうぜ」
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なんだか今日1日でメタルの血を手に入れたみたいな感覚。
うん! 次は現場だね! 待っててIKEPY! ありがとうIKEPY!
そしてさようなら、IKEPY!!
(完)
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協力:増田勇一
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RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018
『METAL MANIA』
2018年9月28日
TSUTAYA O-East(渋谷)
出演:LOUDNESS, HER NAME IN BLOOD, LOVEBITES, HELL FREEZES OVER
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HER NAME IN BLOOD
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JENNI
2017年4月より音楽やファッション&カルチャーを中心とした自身の YouTube チャンネルを開設、約1年でチャンネル登録者20万となり注目を集める。フォロワー数4.9万人のInstagramでは独自のファッションやワードを日々更新。
初ワンマンライブにはプレオーダー殺到し、チケットが即完売。2018年8月に自身発となる600人規模のライブを成功させた。マルチな才能を見せるシンガー&クリエイター。
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取材協力:BLITZ
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