サッカー

CLで闘う本気モードの《南野＆奥川》両選手に、あえてプライベートな質問をしてみた｜一問一答

欧州CL決勝トーナメント進出をかけて激闘中のFCレッドブル・ザルツブルク。そのチームで活躍する南野拓実と奥川雅也の、素顔に迫る！

Written by Wataru Funaki

読み終わるまで：13分Published on 2019年11月22日 · 6時12分(UTC)

メディアで見せる一面だけでサッカー選手の全てはわからない。彼らとて今を生きるひとりの若者だ。

クラブ史上初UEFAチャンピオンズリーグ（通称：欧州CLまたはCL）本戦出場を果たしたFCレッドブル・ザルツブルク（FCRBS）に所属する南野拓実と奥川雅也、ふたりの若きアスリートに突撃インタビューを敢行！

南野と言えば、2022年W杯アジア予選開幕から4試合連続ゴール（26年前にアジア予選で三浦知良氏が記録した3試合連続を抜く快挙）を達成するなど、押しも押されもせぬ日本代表のエースとして活躍。FCRBSでも中心的な存在としてプレーしている。

一方、奥川は南野より約半年遅れで京都サンガF.C.からFCRBSに加入し学年的にもふたつ下となる、南野の弟分的存在。だが、2部リーグやブンデスリーガ（ドイツ）のレンタル移籍を経て確実に成長。今シーズンはFCRBSに帰還しCLにも出場するなど南野に負けじと輝きを放っている。

いま乗りに乗っているそんなふたりの本性を暴くべく、堅苦しいインタビューではちょっと聞きにくい“8枚の質問カード”を用意。それを交互に引いてもらいながら、彼らに“素の自分”をさらけ出してもらう……。

南野選手と奥川選手への質問カード（注：プライベートな内容含む）。
© Red Bull Japan

――今日は練習前のお忙しい中ありがとうございます。肩肘張らず、ざっくばらんな感じでいきましょう。どちらが先に引きますか？

南野　じゃあ僕が引いて、雅也に答えてもらいます。

――では1枚目、南野選手にお願いします。

南野　これにします。えーっと......

【Question1】学生時代に好きだった芸能人は？

南野　俺、こういうの苦手やつだからよかったわ（笑）。

奥川　芸能人......ずっと憧れているのは新垣結衣さんです。

南野　何で？ドラマとか？

奥川　いや、ドラマじゃないです。最初はCMかな。可愛かったです。

南野　「タイプの女性は？」って聞かれたら、新垣結衣さん？

奥川　いや、タイプとなったらまた別なんですけど......。拓実くんは？

南野　いやぁ、学生時代？ ......申し訳ないですけど、学生時代はいないかもしれないですね。もうサッカーばっかりしていたから（笑）。

奥川　せこいっすね（笑）。

――次に行きましょうか（笑）。2枚目は奥川選手、お願いします。

【 Question2】密かに温めているゴールパフォーマンスはありますか？

南野　うわっ、きっつ（笑）。う〜ん、密かにかあ……。

――南野選手はゴール後に両腕を広げて走るイメージがあります。

南野　そうですね。それは割とやりがちかな。でも憧れているのは、プレミアリーガーとかがよくやるんですけど、ダッシュで行ってひざで滑るのはかっこいいなと思います。

――実際にやったことはありますか？

南野　代表とかでは何回かありますけど、でもヨーロッパの選手みたいに3mくらいは滑れないじゃないですか（笑）。勢いがまだ足りないので、練習ですね。

（↑“ひざで滑るパフォーマンス”の例）

――あれって芝の上を滑ると痛いんですか？

南野　いや、痛くはないですね。芝生も濡れているし。でも、ちょっとコツはあります、なんとなく。

――ぜひ将来同じパフォーマンスをやりたいと思っている皆さんにコツを教えてください。

南野　ちょっと体重を後ろにかけた方が滑れます。こういう感じで。わかる？

奥川　できないっす、これ。僕は1回やってミスったんで。

――3枚目は南野選手です。どれにしますか？

南野　面白いの欲しいな。これで。

【Question3】サッカー人生で一番恥ずかしかった思い出は？

奥川　恥ずかしかったこと......。今思えばですけど、小学生までは毎試合泣いていましたね。負けても勝っても。

南野　え？自分のプレーに満足していないっていうこと？

奥川　それもあるし、監督に怒られた時とか。キャプテンをしていたんですけど、勝っても「お前はダメだ！」とか、監督は厳しかったです。試合中も厳しくて、しょっちゅう泣いていました。

南野　最後に泣いたのはいつ？

奥川　小学校6年生の最後ですね。

南野　逆にそれ以来泣いてないんや！

奥川　たぶん泣きすぎて、もう泣けないです。

南野　もう一生分泣いた？

奥川　はい（笑）。ホンマに毎試合泣いていたんで。試合中ですよ。

南野選手の“攻め”の質問を堂々と処理する奥川選手。
© Red Bull Japan

南野　いたわ〜そういう試合中に泣いている選手。確かに恥ずかしいっちゃ恥ずかしいな。

――奥川選手、4枚目に行きましょうか。

【Question4】（南野選手または奥川選手の）知られざる秘密は？

――おっ、これはぜひ奥川選手に答えてもらいたかったので、特別にそのまま話しちゃってください（笑）。

南野　雅也、マジで集中しろよ。ここで先輩の効力使うよ？

奥川　え〜。

南野　いい話でもいいですもんね？

――もちろんです。

練習中に並んでトレーニングを行う南野選手と奥川選手。
© GEPA pictures / Patrick

奥川　知られざる秘密......考えたことないなぁ......。あっ、でもいつも思うのがありました。僕たちって毎日練習で会うじゃないですか。次の日の練習が朝だったら、1日も空いていないんですけど、毎回会う度に拓実くんが「なんか新しいことあった？」って聞くんですよ。さっき会ったばっかりやん......って（笑）。で、「ないっすよ」と答えたら、「あかんなぁ」みたいな。

――何が「あかんなぁ」なのでしょうか。

奥川　毎回ですよ。何なんすかね（笑）。

南野　携帯とかで見れますけど、日本の情報が少ないから。毎日同じような日々の繰り返しで、お互いに面白いことがあったら共有したいし、でも僕はあんまりないんですよ（笑）。だから「雅也頼むぞ」って毎日何か面白いことがあったか聞くんですけど、ホンマに雅也にも何も面白いことが起こらないし、見つけてこないから……。

奥川選手の“カウンター攻撃”に少々照れ気味の南野選手。
© Red Bull Japan

――とはいえ、奥川選手は最近何か面白いことを見つけましたか？

奥川　これは拓実くんに教えてもらったんですけど、最近ハマっているのは「Lime」っていうスマートフォンのアプリで使える電動キックボードレンタルサービスがあって、しょっちゅうミュンヘンで乗っています。

南野　いいやん。俺も昨日ミュンヘンで乗ったわ。

奥川　あれ結構いいですよね。

南野　楽しい。いやぁ、ありがとう。可愛らしい暴露話でよかったわ（笑）。

奥川　さすがにね。悪い方といい方を天秤にかけて（笑）。

南野　俺は容赦なくいくけどな。

ピッチ上で喜びを分かち合う南野選手と奥川選手たち。
© GEPA pictures/ Jasmin

――では次のカード、南野選手から容赦なくいきましょう（笑）。

南野　これやな。

【Question5】全サッカー選手の中でライバルは誰ですか？

奥川　気にしているのは、同じリーグのラピド・ウィーンに所属している北川航也選手ですね。同い年で結構仲良くもしていて。彼が清水エスパルスでやっていた時も試合は見ていましたし。

南野　何歳くらいから知り合いなの？

奥川　中学校2年からですね。トレセンみたいな感じのやつで一緒になって。

南野　代表も一緒やしな。そりゃ意識するよな。

奥川　ずっと彼は僕らの世代で「日本の主砲」と言われていて、結構「すごいな〜」って見ていました。意識し出したのは一緒にプレーしてからですね。

――南野選手にはライバルとして意識している選手はいますか？

奥川　これは聞きたい！

南野　そうですね......香川真司選手は、僕が中学生くらいの時からセレッソ大阪で見ていて、その時は憧れの存在やったけど、でもこうやってプロの世界でプレーするようになって、憧れから、追いついて追い越していきたい存在という気持ちの方が今は強くて。だからプロにになって真司くんの残してきた功績とか、実力とか、（思っていたより）もっとすごかったんやと感じることもあるし、ホンマに偉大な選手だなと思う。でも、そこを追い越したいという気持ちがあるかな。まあ、ライバル......向こうは全く思っていないでしょうけど、僕の中で目指している選手ですね。

ハーランド（写真一番右）らとスーツ姿で移動する南野選手と奥川選手の貴重なショット。
© GEPA pictures / Mathias

――あと3問になりました、奥川選手お願いします。

南野　面白いの来て欲しいな。雅也、頼むで。

【Question6】全サッカー選手の中でマッチアップしてみたい選手は誰ですか？

南野　う〜ん......ユベントスのマタイス・デ・リフトとジョルジョ・キエッリーニとはマッチアップしてみたいと思いますね。イタリアのサッカーはすごく堅いというイメージもあるし、世界最高峰のDFが集まっているリーグだと思うし、ユベントスのセンターバックのふたりは速い、強い、上手い、賢い、全部が揃っているし。雅也は？

奥川　僕はあえてネイマールですね。動画では結構見ますけど、実際はどんな感じなんだろうって。拓実くんは何回か対戦しているんですよね？

南野　そうやな。でもマッチアップはしてない。雅也は目の前で間合いとかを感じてみたい？

奥川　そうですね。

南野　仕掛けられてみたい方？

奥川　両方です。仕掛けてみたいし、仕掛けられてもみたい。

――南野選手は先日、CLのリバプール戦で速い、強い、上手い、賢いが揃ったセンターバック、フィルジル・ファン・ダイクと対戦しています。現役では最高のセンターバックのひとりだと思いますが、実際に彼とマッチアップしてみてどんなことを感じましたか？

南野　やっぱり素晴らしい選手だなと思いました。圧倒的な高さとパワーとスピード、しかもロングボールも上手い。ビルドアップの時も、彼はボランチへのパスのつけ方とかが上手いし、総合的に全てのレベルが高い。その完成度の高さは本当に世界一の選手と言われているだけあるな、と感じました。敵わない相手とは思わないですけど、自分が今までやってきた相手の中で一番、トップクラスの選手でしたね。

ファン・ダイクとマッチアップする南野選手らの同僚、ヒチャン。
© GEPA pictures / Mathias

――そういう選手との対戦は楽しいですか？

南野　楽しい。

奥川　楽しいですね。

南野　下馬評を覆すというのもあるし、まさに僕らはそういうチームとしてCLを闘っていて、反骨心みたいなものは原動力になるし。

――ラスト2問です。南野選手、お願いします。

南野　来た！雅也、これはちょっと長くなると思うから短めでお願い。

【Question7】「あっ、オレいま超イケてる」と思う瞬間は？（プレー中でもプライベートでもどちらでも可）

奥川　サッカーの面で言ったら、攻撃の選手なんで、ゴールを決めた後ですよね。

南野　確かに。ゴールを決めた時は「見てくれ！」って思う。

奥川　僕は家に帰ってから、もう1回シャワー浴びるんですよ。で、いい試合をした後、家でシャワーを浴びて、髪の毛を乾かしている時に鏡を見るじゃないですか。その時は「俺、イケてる」って思いますね。今日やったったぞ感。

南野　確かに3倍くらいカッコよく見える時あるよな。

奥川　それです（笑）。

南野　自分に自信がある瞬間だよな。

――ちなみに最近で一番「俺、イケてるな」と思ったのは何戦の後ですか？

奥川　オーストリア・ウィーン戦ですね。

（↑奥川選手が「超イケてる」瞬間）

南野　ダイレクトループ決めた試合？あれは10倍くらいカッコよく見えるやろ。

奥川　そうですね（笑）。

――南野選手は1ゴール1アシストを決めたリバプール戦の後、さすがに気持ちよかったんじゃないですか？

奥川　あれはヤバいでしょ（笑）。

南野　まあ、負けましたからね。でも気持ちよかったし……確かにホテルでシャワー浴びた後、鏡を見た時に70倍くらいカッコよく見えました（笑）。やっぱりサッカーが一番自分に自信を与えてくれるんだな、ということで。

――では、最後のカード。この質問はおふたりともに答えていただきましょう。奥川選手、お願いします。

【Question8】ザルツブルクという街と、FCRBSチームのいいところとは？

南野　ザルツブルクの街はきれいです。コンパクトですけど、山もきれいで食べ物も美味しいし、誇れるところはいっぱいありますね。サッカーすることにおいての環境は全て高いレベルで整っているし、世界中から若くて野心のある選手が集まっていて、そういう選手たちとプレーするのはサッカー選手としての成長につながる、いいチームだなと思います。雅也は？

奥川　街はきれいですね。僕が一番好きなのは気候です。冬は……でも今の気候とかはすごくサッカーに向いていると思います。FCRBSの選手はみんな若くてワイワイしていて、そこにベテラン選手がいて、いい時も悪い時もありますけど、雰囲気のいいチームだと思います。

序盤はこちらから補足の質問も入れていたが、徐々に場の雰囲気も和んでいき、予定時間もオーバー。終盤はふたりでの会話も弾んだ。録音を切った後、南野からは「今までやってきたこういう取材の中で一番楽しかったかも」という嬉しい本音も。試合後のインタビューなどでは見られない彼らの素の一面も垣間見ることができたのではないだろうか。

質問カードにはなかったが、FCRBSの中心選手として輝くふたりに、まだ続くCLにおける目標や、日本のファンに向けたメッセージを聞いた。

――CLのグループリーグが佳境を迎えました。南野選手と奥川選手、それぞれこの大会での目標を聞かせてください。

南野　CLのグループリーグも残り2節になって、現在3位ですけど、突破に向けた可能性は残されているし、チーム一丸となって決勝トーナメント進出を目指して頑張りたいと思います。

奥川　僕はチームがこのグループリーグを突破して、もっと勝ち進むことを目標としていますし、個人としては得点を取れたらいいなと思います。