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トップブレイカーが教える「ネガティブ思考の乗り越え方」

Red Bull BC One All Starsとして活躍するPhil Wizardが自己否定やインポスター症候群に悩んだ過去とそれらを乗り越えるテクニックについて語ってくれた。
Written by Chiara Koeck
読み終わるまで:4分Published on
B-Boy Phil Wizard strikes a pose.
© Tyrone Bradley/Red Bull Content Pool
カナダを代表するB-Boy、Phil Wizardいくつものチャンピオンシップタイトル2023年度パンアメリカン競技大会優勝を手にすることで、トップブレイカーのひとりとなった。
先日、その彼がポッドキャスト『Mind Set Win』(英語音声)にゲスト出演し、ホストのリサ・ラムシュカットに自己否定インポスター症候群に悩まされた日々とそれらを乗り越えるのに役立ったテクニックなどについて語った。

『Mind Set Win』とは

『Mind Set Win』は、ホストのラムシュカットとヨーク=ピーター・クロッペルが、トップアスリートやエリートプロフェッショナルの “勝利のメンタル” を紐解き、私たちの日常生活における応用方法を示してくれるポッドキャストだ。
毎週火曜日にラムシュカットが新しいゲストとメンタルの強度がどのようにキャリアに影響を与えてきたかをテーマに対話を試みる。そして毎週木曜日にはレッドブル・アスリート・パフォーマンス・センターのメンタル・パフォーマンス部門長のクロッペルが加わり、火曜日の内容を分析して、専門知識を交えながら私たちの日常生活に活かすためのアドバイスを送ってくれる。詳細は下記をチェックしてもらいたい。
01

負の連鎖を断つ

私たちと同じように、Phil Wizardもよく自分に語りかけている。しかし、このスターブレイカーは、語りかけが日常生活やイベントにネガティブな影響を与えてしまうときがあり、そのようなときはかなり厄介だったと振り返る。「厄介ですし、なんとかならないかと思っていました。そういう生活に飽き飽きしていたのです」
Phil Wizard

Phil Wizard

© Tyrone Bradley/Red Bull Content Pool

この場にいることに感謝し、楽しい時間を過ごそうとしています
負の連鎖に巻き込まれてしまうクセがあったPhil Wizardは、メンタルへの悪影響に振り回されてしまうようになった。本人は「時間とともに諦めてしまうようになりました。“こういう自分と一生付き合っていかないといけない” と思うようになったのです」と振り返る。
しかし、今はこの負の連鎖を断ち切るストラテジーとルーティンを見出しており、イベントの前は特に重宝している。「日記を書くことが大きな助けになることに気付きました。また、すべてに感謝するようにしています。この場にいることに感謝し、楽しい時間を過ごそうとしているのです」とPhil Wizardは話を続ける。
さらに、ポッドキャストを聴くイベント直前にソーシャルメディアをシャットアウトする自分に向けてポジティブな語りかけをするなども、彼のメンタルの改善に大きく貢献している。
Phil Wizardは、ネガティブな思考が一番厄介だったのは、大学を中退してブレイキンにフォーカスしようとしたキャリア最初期だったと振り返り、2017年当時のブレイキンシーンは競争が非常に厳しかったと続ける。つまり、ブレイキンで生計を立てられる人はほんのひと握りしかおらず、レッドブル・アスリートになるのは夢のまた夢だったのだ。
そのため、エリートブレイカーの仲間入りをするという自分の目標が「はるか遠くに思えた」とPhil Wizardは告白しており、「注目を集められるようになるまではかなり長い時間がかかりました」と続けている。彼が世界的知名度を得られたのはCOVID-19の頃だった。
Phil Wizard

Phil Wizard

© Mpumelelo Macu/Red Bull Content Pool

02

アーティストのように考え、アスリートのように鍛える

Phil Wizardはその素晴らしいキャリアを通じて、「アーティストのように考え、アスリートのように鍛える」という考えを持ち続けてきた。2つの間でバランスを取ることが、フィジカルを健康に保ち、メンタルをフレキシブルにするためのカギだ。
彼のこのバランス感覚は、水泳選手たちを見ているときに思いついた “スイミング” をはじめとする様々なオリジナルムーブを考案するときに特に重要だ。そして、考案したムーブをフロアでメイクできるようになるためには、クリエイティビティと同じくらいフィジカルも重要になってくる。
尚、フィジカル面の健康を維持するために、Phil Wizardは自分と同じようなフィジカル面のトラブルを抱える可能性がある他のスポーツを参考にしており、「手首を強化するトレーニングは体操を参考にしています」と説明している。しかし、クリエイティビティのトレーニングは他を参考にしている。
「ブレイキンのクリエイティブな側面を面倒に思ったことは一度もありません。私は常にブレイキンについて考えていて、色々な物事からインスピレーションを得ています」と語るPhil Wizardは、アニメを観たり、ビデオゲームをプレイしたりすることでクリエイティビティに良い刺激を与えている。
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