Justin Leov in action during the Coronet Peak Enduro in Queenstown, New Zealand
© Sven Martin
MTBエンデューロ
MTBエンデューロライダー用トレーニングヒント
MTBプロライダーコーチが、エンデューロライダーのためのトレーニングヒントを伝授してくれた。
Written by Alan Milway
読み終わるまで:5分Published on
MTBエンデューロは、ダウンヒルの一番面白い部分にアドベンチャーとロングライドを融合させたカテゴリーだ。
エンデューロレースは、レースとして素晴らしいのはもちろんのこと、友人たちと共に楽しい1日(週末)を過ごすのにも最適だ。
アサートン兄妹をはじめとするトップライダーを指導するアラン・ミルウェイが、ロングライドに適応した身体作りや食事計画のヒントと共に、エンデューロトレーニングに最適な英国のスポットも教えてくれた。

持久力

「エンデューロレースは5分では終わらない。5時間を超えるレースもしばしばだ。だからこそ、持久力が重要になってくる
「ペダリングを長時間続ける能力は、このカテゴリーの第1条件なので、ペースを一定に保ったロングライドで肺活量を増やしていこう
「週末にエンデューロスタイルのステージを思いきりハードに攻めるのも効果的だが、2日間で複数のステージを完走するレースもあるので、トレーニングメニューにロングライドは不可欠だ
ウェールズはエンデューロに最適
エンデューロは長距離・長時間のチャレンジになる
エンデューロは長距離・長時間のチャレンジになる© Rob Barker
ウェールズはプロライダーを数多く輩出しているが、それには納得できる理由がある。ウェールズに広がる山々には長く続くヒルクライムもあれば、長くテクニカルなダウンヒルもある」
「無数にあるトレイルセンターは、トレーニングに最適なだけでなくレースも頻繁に開催されている。中でもCoed y Breninはトレーニングに最適なトレイルセンターだ」
ロングライド
「ペダリングしすぎたり、強度が高くなりすぎたりすることがなくなるので、ロングライドのトレーニングでは心拍数モニターが有用だ」
「生化学的に説明すると、理想の “エンジン” を作るためには、乳酸が発生するレベルの負荷を一定のペースで加える有酸素運動が必要だ。そのためには、強度を上限で保ちつつ、楽しみながら長距離を走るのがベストだ
「2時間以上、可能なら4時間を目指してライディングしてみよう。途中で補給も行う必要がある」
このトレーニングでは強度よりも量が重要なので、トレーニングパートナーが最初の登坂でいきなりペースを上げるようなら、注意してあげよう」

スキルトレーニング

スキル向上を意識してトレイルを走り込む
スキル向上を意識してトレイルを走り込む© Nick Pole
「ダウンヒルは1本のレーストラックを高速で駆け下りるカテゴリーだが、エンデューロではフルスピードのステージが6つ用意されているレースもあるので、スキルがカギだ。苦手なステージがあれば、全体のタイムに影響してしまう
「スキルトレーニングの重要性は見過ごされがちだ。漫然とライディングをするだけで、ベストラインやベストアプローチを学ぶために必要なセクション別のトレーニングを怠っているライダーは少なくない」
「このアプローチのアレンジとして、スキルの明確な向上を目的としたトレーニングを用意すれば、実際のライディングに大きな違いが生まれる。スキルコーチも大きな助けになってくれるので、彼らに投資してみる価値は大いにあるだろう」
「MTBビギナーは、トレイルの難易度を意味するグレードを活用して、徐々にチャレンジングなセクションに挑むようにしよう。テクニカルなセクションに慣れてきたら、ライディングを重ねてスピードを上げていこう」
「大半のトレイルセンターにはグレード付きのルートが用意されているので、スキル向上に効果的だ。中でも、Bike Park Walesは理想的なトレイルセンターだ」

ジムでの筋力トレーニング

ジムでの体幹トレーニングに励むダン・アサートン
ジムでの体幹トレーニングに励むダン・アサートン© Rutger Pauw
「エンデューロレースでは長距離を走ることになるが、各ステージは常に全力でアタックする必要がある。本質的にはダウンヒルレースと変わらないとも言える」
「エンデューロレースは、ハードなペダリング、ラフな地形、パンプ・スプリント・クライムを擁するので、上半身・下半身に強靭な筋力を用意すれば、ステージタイムが伸び、バイクのコントロール能力も高められる
「ベンチプレスやデッドリフトの記録更新を目指す必要はないが、プッシュ&プルで使う筋肉を鍛えつつ、脚力トレーニングで下半身を鍛えれば、ライディングで効果が確認できるだろう
「ジムでの筋力トレーニングは間違いなく有用なので、トレーニングの一部に加えられるべきだ」
「スタートポイントとしては、スクワット / ランジ / デッドリフトによる下半身の筋力強化インバーテッド・ロー / TRXロー / チンアップによる上半身の “プル” 系の強化プレスアップ / ディップス / ベンチプレスによる上半身の “プッシュ” 系の強化を挙げておく」
アラン・ミルウェイのInstagramで今回紹介したエクササイズをチェックしよう!

栄養補給

適切な栄養補給がレースでの成功を左右する
適切な栄養補給がレースでの成功を左右する© Hyundai
エナジーレベルを2時間以上保つには、途中での栄養補給が必須だ。こうすることでエナジーが底をつくのを防げる。エナジー補給には炭水化物が効果的で、軽食・ドリンク・エナジージェルなどはエナジーとパフォーマンスのレベルを保つための良い方法だ」
「長距離・長時間のレースイベントで結果が振るわない時は、その日の栄養補給が原因である場合が多いので、栄養補給には注意してほしい。バイクやバックパック、サイクルジャージのポケットなどに炭水化物を含んだ様々な種類の軽食を備えておこう」
長時間のレースではカフェインも非常に効果的だ。パフォーマンスと集中力維持に役立つ。ライディング後のリカバリーを促すには、炭水化物とプロテインを摂取すると良いだろう
「ライディング中の炭水化物補給は、既製品でなくても構わない。自家製のライスケーキ、ナツメヤシ、ピーナッツバター&ジャムのサンドウィッチなどもロングライドやレースでの栄養補給に役立つ」
   
アラン・ミルウェイはアサートン兄妹やブレンダン・フェアクローをはじめとするMTBトップライダーのトレーニング指導を13年以上担当しているプロコーチ。
アラン・ミルウェイのウェブサイトはこちら>>