WRC
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ラリー

【WRC 2020】これを読むだけで観戦の楽しみが増える記事。

遂に再開したWRC 2020シーズン。日本人ドライバーの活躍や見どころをまとめてみた。
Written by Daisuke Irie
読み終わるまで:7分Published on
第3戦メキシコ以降、キャンセルや延期が続いていた2020年年シーズンの世界ラリー選手権(WRC)。予定されていたアルゼンチン、ポルトガル、サファリ、フィンランド、ニュージーランド、ラリーGBが開催中止を決定。11月に久々のWRC復活が決まっていたラリージャパンも、残念ながら開催を断念した。
主催者は急遽ラリーエストニアとイプルー・ラリー(ベルギー)がWRCカレンダーに加え、全8戦というコンパクトなシーズンとして行われることが決めている。
そして、F1やスーパーフォーミュラに続き、WRCも先日のエストニア(9月4〜6日)からついにリスタートした。様々な変化を余儀なくされたWRCだが、公道世界最速を誇るトップドライバーたちが、その持てるテクニックでコンマ差を競うことは変わらない。
そんなエキサイティングなWRCを、Red Bull TVでは、登録や課金なしにライブ中継やドライバーの豊富なインタビュー、独自映像を楽しむことができる。知らずに見ても大興奮のWRC、より知識を深めてから見れば、その楽しさは数倍にも数十倍にもなるだろう。
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Red Bull TVで行われるライブ中継

ここで簡単に「ラリー」をおさらいしておこう。
ラリーが行われるのは基本的に普段使用されている公道。公道上に設定された「スペシャル・ステージ(SS)」と呼ばれる競技区間を1台ずつ走行し、そのタイムの合計で勝敗が決まる。SSとSSをつなく移動区間をリエゾンと呼び、指定されたタイムでの走行が義務付けられている。この区間は早くても遅くても、ペナルティタイムが科されることになる。
SSは基本的に1台ずつでの走行となるが、2台同時に走行するのが「スーパースペシャルステージ(スーパーSS)。ラリーはその性質上、すべてを見るのが不可能な競技だ。しかし、スタジアムや巨大な広場に2台同時走行可能なコースを作ることで、“分かりすい”バトルを演出しているのがスーパーSSと言えるだろう。
また、近年のWRCは最終SS(もしくは最終日の別のSS)に「パワーステージ(PS)」が設けられている。パワーステージは総合順位に関係なく、一発勝負でトップ5に5点(1位)から1点(5位)のボーナスポイントが与えられる。たとえ、その時点でポイント圏外にいたとしても、トップタイムを獲得すれば、8位入賞(4点)よりも大きいポイントを獲得できるのだ。
このパワーステージは、Red Bull TVでもライブ中継されることが多い。どこにいても、PCやスマートフォンで気軽にライブステージを楽しむことができる。ライブ中継が最終ステージに設定されている場合、総合優勝が掛かった非常に緊張感溢れるなかで行われるため、パワーステージは一見の価値アリだ。

初めて日本車でタイトルを狙うセバスチャン・オジェ

世界最速を狙うドライバーたちで、最も大きな注目を集めているのが、フランス出身のセバスチャン・オジェ。これまでシトロエンやフォルクスワーゲンで活躍してきた彼が、初めて日本メーカーであるトヨタに移籍を決めた。2013〜2018年までWRCドライバーズタイトル6連覇を達成したオジエが、トヨタ・ヤリスWRCで2年ぶりのタイトル奪還を狙う。
オジェのチームメイトとなるのが、昨年までMスポーツ・フォードでエースを張っていたエルフィン・エバンス。優勝回数は2回のみだが、特に舗装路でのスピードには定評がある。3人目として抜擢されたのは、19歳のカッレ・ロバンペラ。2000年代にプジョーや三菱のワークスドライバーとして活躍したハリ・ロバンペラの息子で、幼少期から期待されていた次世代フライングフィンが、いよいよトップカテゴリーにステップアップした。

久々の日本人ドライバー、勝田貴元。その活躍に期待!

日本人としては、ヤリスWRCでのプログラムを拡大する勝田貴元にも期待したい。現在27歳の勝田は2013年まではフォーミュラを中心に活動してきたという異色の経歴を持つ。2015年からトヨタの育成プログラムに抜擢され、フィランドに拠点を移して経験を積んできた。2019年はヤリスWRCをドライブするチャンスを獲得。ラリージャパンのテストイベントとして行われたセントラルラリーでは、優勝も手にしている。
久々に現れたトップカテゴリーで戦う日本人ドライバーとして、勝田貴元への期待は大きい。彼は多くの先輩ドライバーにも積極的にコミュニケーションを取り、一歩ずつ進化を遂げてきた。初めてヤリスWRCをドライブしたモンテカルロでは、めまぐるしく変わる路面コンディションに苦しみながらも、7位で完走。貴重な経験値を積み上げている。ヤリスWRCのドライブ機会が大幅に増加する2020年も着実な成長を見せてくれるだろう。

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勝田貴元選手の走行映像

トヨタの前に立ちはだかる、エース揃い踏みのヒュンダイ

そんな強力な体制を築くトヨタのライバルとなるのが、2019年に悲願のマニュファクチャラーズ選手権制覇を達成したヒュンダイだ。
昨年までトヨタのエースとして、ドライバーズ選手権チャンピオンに輝いたオィット・タナックを引き抜き、オールラウンダーのティエリー・ヌービルとのダブルエース体制を構築。ヌービルは開幕戦でオジェのモンテカルロ7連覇を阻止。さらに元WRC王者のセバスチャン・ローブや舗装路を得意とするダニ・ソルド、勢いのある若手クレイグ・ブリーンも確保しており、どのラリーでも勝ちを狙える状況にある。そして、チームを率いるアンドレ・アダモは、勝つために手段を選ばないツワモノ。冷徹なまでのチームオーダーが、どのタイミングで出されのかにも注目して欲しい。
3番目のチームがMスポーツ・フォード。トヨタやヒュンダイと比較すると、資金的に厳しいチームだが、フィンランド出身のエサペッカ・ラッピが加入。モンテカルロでもラッピがしっかり走りきり、2002年から続くマニュファクチャラーズ選手権ポイント連続獲得250戦を達成した。また、これまで埋もれた若手を数多く抜擢してきたチームだけに、次世代のスターにチャンスを与える可能性もある。

3カ月で5戦をこなす異例づくしの2020年シーズン

2020年のWRCは、当初、ラリージャパンを含む14戦が予定されていた。しかし、前述したように大きくカレンダーを変更。リスタート初戦となった、第4戦エストニア(9月4〜6日)に続き、第5戦トルコ(9月18〜20日)、第6戦ドイツ(10月15〜18日)、第7戦イタリア(10月29〜11月1日)、第8戦イプルー/ベルギー(11月19〜22日)と、約3カ月で5戦を一気に開催する。
WRC初開催となったエストニアを制したのは、母国凱旋を果たしたタナック。2位にもクレイグ・ブリーンが入り、ヒュンダイがリスタート戦を1-2フィニッシュで飾った。とはいえ、トヨタも3位にオジエ、4位にエバンス、5位にロバンペラが入っており、シーズン開幕から続くトヨタとヒュンダイが僅差で争う構図は変わらなそうだ。
派手なアクションに飢えていたファンにとって、待ちに待ったラリーの再開。公道を誰よりも速く走るラリードライバーの妙技は、一度見ればトリコになること間違いない。リスタート後も変わらぬ激戦が続く2020年シーズンのWRC、初体験するのに、これ以上のタイミングはないはずだ!
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