Topson playing with Team Finland at the WESG 2017 Global Grand Final in China.
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Topson:無名からTI8プレイヤーへ
たった1年で、ほぼ無名のミッドレーナーから『Dota 2』最大のイベントに出場するプレイヤーにまで成長した、若きフィンランド人プレイヤーのこれまでを振り返る。
Written by Jamie Galinat
読み終わるまで:9分Published on
OGの新ミッドレーナーとなった20歳のフィンランド人プレイヤー、Topias “Topson” Taavitsainenが『Dota 2』のプロプレイヤーになってからまだ1年も経っていないが、彼は8歳からMOBAをプレイしてきた。
そして今、彼のその12年の鍛錬とゲーム愛が実を結ぼうとしている。
Topsonは、『Dota 2』プロプレイヤー全員の目標である、『Dota 2』シーン最大のイベント、The International 8に出場するのだ。では、この短期間でいかにして彼はこのような立場にまで成長したのだろうか?
周囲や本人のコメントを加えながら、彼のこれまでのキャリアを振り返っていく。
Topsonにブレイクの瞬間が訪れてからまだ1年も経っていない。
当時、彼はロシアの新進チーム、SFTe-sportsに所属していた。このチームがロシア人のベテランキャリー、Ilya “Illidan” Pivcaevをキャプテンに据えたロースターを用意することを決定し、Topsonがそのひとりに選ばれたのだ。
SFTe-sportsは、ロシア人がキャプテンだったが、ロシア的な部分はそれくらいしかなかった。このチームの3人(Topsonを含む)はフィンランド人で、サポートのTommy “Taiga” Anh Leはノルウェー人だった。
SFTe-sportsは、Topsonにとって初のトップレベルのチームだったが、彼はこのチームに加入するかなり前から、プロシーンで活躍するための努力を続けていた。Topsonは数年前から、ProDota CupjoinDOTA Leagueなどのイベントで下位チームのメンバーとしてプレイを重ね、ブレイクのチャンスを狙っていたのだ。
このような下位チームで結果を出すことはできなかったTopsonだが、最終的にSFTe-sportsが注目し、プロプレイヤーとしてのキャリアを本格的にスタートさせることになった。
加入したSFTe-sportsで、Topsonはいきなり勝利を手にした。彼らは2017年8月末に開催されたProDota Cup Europe #21 Grand FinalDouble Dimensionに3-0で勝利して優勝すると、その2週間後には、StarLadder i-League Invitational #3のオープン予選のファイナルでMidOrFeedを下し、地域予選進出を決めた。
この結果は、当時驚きを持って迎え入れられた。なぜなら、当時のMidOrFeedは、Maurice “KheZu” GutmannAliwi “w33” Omarなどを擁しており、SFTe-sportsよりも知名度の高いチームだったからだ。
短かったTopsonのSFTe-sports時代のハイライトとなったのが、のちにTopsonが所属することになる強豪との対戦だった。ESL One Hamburgの地域予選でSFTe-sportsはOGに2-0で勝利し、OGをトーナメントから敗退させたのだ。
そのファイナルでTeam Secretと対戦したSFTe-sportsは3-0で破れ、最終的にDota Pro Circuitイベントの出場権を逃したが、OG戦勝利という結果は、シーンに大きなインパクトを与えた。
しかし、その後すぐにドラマが起きた。2017年10月17日、SFTe-sportsのロースターが新しい名称No Ratsを用意して、joinDOTA League Season 11に参加したのだ。
IllidanとSFTe-sportsのVKVKntakte / ロシア最大のSNS)ではお互いを非難する投稿合戦が展開され、プレイヤーとSFTe-sportsのコミュニケーション不足から単純な悪口まで、様々な内容が投稿された。原因が何であれ、最終的にロースター5人はSFTe-sportsと袂を分かつことになった。
しかし、結局、このNo Ratsは1ヶ月間で予選数試合と複数のカップ戦に出場したあと解散した。
No Ratsでの短期間での活動を終えたTopsonは、4人のフィンランド人プレイヤーと組んで、WESGの国別対抗戦に出場した。
このチームは、Joni “Buugi” Fältを擁してこのトーナメントの出場権を獲得していたが、彼が離脱したため、穴を埋めるプレイヤーが必要になった。それで、Topsonがオファーを受けてチームに加入し、スペイン・バルセロナで開催されたEurope Finalsに出場することになったのだ。
ここでの彼らは3勝3敗で終えたが、中国で開催されるグランドファイナルの出場権は獲得した。
バルセロナでの経験は新チーム結成を促すことになり、彼らはそのまま5 Anchors No Captainとして活動をスタートさせた。
このチーム名は、2014年と2015年に存在したフィンランドのチーム、4 Anchors + Sea Captainをもじったもので、4 Anchors + Sea Captainは、フィンランド人レジェンドプレイヤー、Jesse “JerAx” VainikkaLasse “MATUMBAMAN” Urpalainenを輩出したことで知られている。
5 Anchors No Captainはその後3ヶ月間行動を共にしながら、成長を重ねていき、いくつかのメジャーとマイナーの予選に参加したが、Dota Pro Circuit出場に最も近づいたのは、DreamLeague Season 9のヨーロッパ地域予選の4位だった。また、WESGのグランドファイナルも、グループステージで敗退した。
WESGのグループステージ敗退直後、5 Anchors No Captainは解散を発表。2018年4月に参加したjoinDOTA League Season 12を最後に5人はそれぞれの道を歩み始めた。
Topsonはストリーミングに注力することを発表し、ヨーロッパサーバーのナンバーワンを目指す努力を始めた。これはかなり高い目標だったが、Topsonにはこの目標を現実に変える実力が備わっていた。そして2018年4月4日、彼は宣言通りヨーロッパナンバーワンになった。
その後の2ヶ月間は静かに過ぎ去っていったが、Topsonが現地にいなかったにも関わらず、ESL One Birminghamは彼の『Dota 2』のキャリアを変えるイベントとなった。
英国初のメジャーだったこのイベントを終えたあと、OGはGustav “s4” MagnussonTal “Fly” Aizikを失ったため、新しい才能を見つけ出す必要に追われていた。そして、2人が離脱してから1週間後、OGは新ロースターを発表した。
そのロースターに顔を並べていたのが、Sébastian “7ckngMad” DebsJesse “JerAx” VainikkaJohan “N0tail” SundsteinAnanth “ana” Pham、そして、Topias “Topson” Taavitsainenだった。
OGの元コーチで現在はオフレーナーを担当している7ckngMadは、Topsonを加入させた理由について次のように語っている。
「オファーを出す前からTopsonのプレイはチェックしていたんだ。彼のゲームへの取り組みは僕たちにとって大きな刺激になっていた。ユニークな視点からゲームを見ているし、常に限界までプッシュしている」
「彼がライバルチームにとってどれだけ厄介な存在になるのかは理解できていた。実戦レベルで一緒にプレイしてすぐに、彼の実力が確かなものだということが分かった」
7ckngMadの直感は正しかったようだ。
TopsonのOGとしての初戦は、The International 8のオープン予選だった。複数のチームを渡り歩いてきたTopsonだったが、The Internationalの予選は未経験だった。
しかし、その初体験をヨーロッパトップチームのメンバーとして迎えたTopsonは、スター級の活躍を見せ、新生OGは1マッチを落としただけでこのオープン予選を突破した。
その1マッチはRound of 8のUnchained Esports戦で記録されたものだったが、彼らはこの対戦を2-1で乗り切り、次のRound of 4もElements Pro Gamingに2-0で完勝して、地域予選出場権を獲得した。
迎えたヨーロッパ地域予選は、他の地域とは異なり、The International 8出場枠はひとつしか用意されていなかったが、ここでもOGは優勝し、その1枠を勝ち取った。
1先のフォーマットが採用されていたグループステージを全勝で突破し、2先のプレイオフも、Wind and Rain戦で1マッチ落としただけで、ウィナーズからグランドファイナルに進出した。
グランドファイナルはそのWind and Rainとの再戦になったが、ここでのWind and Rainも勢いに乗るOGから1マッチしか取ることができず、最終的に3-1で勝利したOGがバンクーバー行きの切符を手にした。
そして今、Topsonは経験豊かなチームメンバーと一緒にキャリア初のThe Internationalに臨もうとしている。新生OGからポジティブな感触を得ているTopsonは、次のように語っている。
「OGでの経験はとてもためになっているよ。素晴らしいシナジー効果が生まれているし、全員がこのチームでのプレイを楽しんでいるように思えるね」
The International 8は、Topsonにとってキャリア最大のチャレンジになる可能性が高いが、彼は非常に前向きな態度で臨もうとしている。Topsonは最後にこうコメントしている。
「The International 8は、自分のベストを尽くすことしか考えていない。このアプローチが良い結果を出してくれることを願っているよ!」
OGにとって最高のThe Internationalになるのだろうか? The International 8がスタートすれば分かるはずだ。
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