1000年以上もの長きに渡り、太平洋に浮かぶイースター島ではラパ・ヌイと呼ばれる人々が独自の文化と精神性の土壌を育んできた。強い肉体と豊かな資源、そして戦いを拠り所に彼らはこの土地でサバイバルをしてきた。現代では、年に1度2週間に渡りタパティと呼ばれる祭が開催されており、ラパ・ヌイの人々が自分たちの文化を祝いつつ、日頃から鍛えた武勇を披露する場となっている。というわけで、活火山をバックに20kgのバナナをぶらさげ、顔にウォーペイントを施した自分を想像しながらポリネシア流ワークアウトをやってみよう。
ポリネシア流ワークアウト
1.ランニング
いきなり心拍数が上がるようなワークアウトだが、ラパ・ヌイの人々は20kgもの重さのバナナを肩から下げ、ハミと呼ばれる腰巻きだけを身に着けて裸足で走る。そのルートは、ラノ・ララク火山のエメラルドグリーンのようなカルデラ湖の外周を巡る約1kmの周回路だ。
実際に取り入れるなら:トレッドミルではアドベンチャー気分は出ないだろう。サンドバッグ、もしくは小麦粉をぎっしりと詰め込んだバックパックを背負い、野外でランニングしてみよう。スピードは抑えながら、できるだけ長い距離を走ることを優先的に心がけよう。
2. 投てき
ラパ・ヌイの人々は長く真っすぐな枝を削って槍を作り、先端に尖らせた矢じりを付ける。そして、バナナの木を標的として、槍の先端が当たった場所によって得点を競う。狙った木が細ければ細いほど、自分の部族の高得点となって反映される。
実際に取り入れるなら:肩や背筋を鍛えるためにジムの器具だけに頼るのはもう止めよう。その代わりに、近くの陸上クラブに問い合わせて彼らがどんな投てき競技を扱っているかを尋ねてみよう。当然ながら、バナナの木は期待しない方が良い。
3. 彫刻
イースター島といえば、あの謎めいたモアイ像が有名だ。現代のラパ・ヌイの人々は、前腕部を酷使させながらどれだけ素早く彫刻作業をこなせるかを競う大会を開催している。ただし、削る対象のスケールはかつてのモアイ像に比べると遥かに小さい。
実際に取り入れるなら:二頭筋カール(前腕だけでダンベルを繰り返し上下させるワークアウト)を1,000回繰り返すだけが前腕部を鍛えるための唯一の方法ではない。シャツの袖口に付けるカフリンクを木の塊から削り出すのも効果ありだ。
4. 魚獲り
ラパ・ヌイの人々は魚獲りの名手としても知られている。彼らは水中で最大4分間も息を止めたまま動き回り、確実に獲物を捕まえる。
実際に取り入れるなら:フリーダイビングのコースを受講し、どれだけ水中で呼吸を止められるか確かめてみよう。
5. 乗馬
海岸沿いの断崖絶壁で馬を疾走させることは、ラパ・ヌイの人々にとってはお手のものだ。バイフという地で行われる馬のレースでは、ジョッキーたちは鞍も付けずにそのまま馬に跨がる。掴む場所といえば馬のたてがみしかなく、ふくらはぎや太ももで思いっきり馬の背を挟み込んで振り落とされないようにしなければならない。
実際に取り入れるなら:馬を所有している人は少ないはずなので、MTBに乗って同じようなワークアウトに取り組んでみよう。トレイルセンターを訪ねてみるのも悪くない。
6. パドリング
火山でのバナナを背負ったレースは先述の通りだが、このレースでは湖を横断することも求められる。ラパ・ヌイの人々はその湖で育った葦で作られたボートで湖を渡るのだ。
実際に取り入れるなら:ワークアウトの延長線上にはアドベンチャーの世界が待ち受けているとも言える。シーカヤッキングを試してみよう。
7. ダンス
イースター島のダンスは、この島の文化だけではなく、古来から交流してきた他の地域の文化も混じりあった集合文化だ。彼らのダンスからはニュージーランドのハカ、ハワイのフラ、さらには南米大陸のラテンパッションの影響が等しく感じ取れる。
実際に取り入れるなら:ジムスタジオの鏡の前で義務的にズンバをこなしている自分にはもううんざりという人は、もう一度ダンス本来の根源的な喜びに立ち返り、友人たちと一緒になって無心でダンスを楽しんでみよう。
8. 滑降
ラパ・ヌイの人々は、バナナの木の幹2本にまたがって火山の頂上にから一気に駆け下りるハカ・ペイと呼ばれるソリ遊びを楽しむ。身体じゅうにボディペイントを施した彼らの最高速度は実に80km/hまで達する。
実際に取り入れるなら:この記事をここまで読んだ人は、実際にラパ・ヌイの文化を体験してみよう! 2017年のタパティ祭は2月1日~5日の日程でイースター島にて開催される。