Mr Wiggles walking into the cypher with the bow & arrow pose
© Jason Halayko/Red Bull Content Pool
ダンス

ポッピング・ヒストリー:Electric Boogaloos

世界的に有名なストリートダンスのひとつ、“ポッピング” を語る際に欠かせないレジェンドダンサークルーのオリジナルメンバーと関連メンバーを紹介しよう!
Written by Tracy Kawalik
読み終わるまで:7分Published on
1970年代初期のブレイキングとロッキングに大きな刺激を受けたカリフォルニア州フレズノのダンサー、Boogaloo Samは「完全に新しいダンスを生み出したい」と考えるようになった。
そこで、テレビで見ていた『ソウル・トレイン』のダンサーたちやThe Lockersのムーブの大ファンだったBoogaloo Samは、弟のPopin’ Peteと従兄弟のSkeeter Rabbitを誘ってElectric Boogaloosを結成。やがてこのダンスクルーは、ダンスヒストリーに名を残す重要な存在となった。
ロッキングをベースにしつつ、そこに独自のリズムとアニメーションを加えたElectric Boogalooのスタイルは、ポッピングとファンクカルチャーを世界的にブレイクさせた。
彼らのユニークなスタイルは、クリーピングタッティングのような新しいダンススタイルや、数多くのレジェンドダンサーを生み出すことになり、様々な面で “先輩” のロッキングを上回った。
ポッピングの歴史は諸説あり、オリジナルについては正式に定義されていないが、Electric Boogaloosをルーツとする1977年以降のポッピングレジェンドたちがダンスシーンに与えた影響の大きさについて異論を挟む人はほとんどいない。
今回は、Electric Boogaloosのオリジナルメンバーと関連メンバーを紹介していく。

1:Boogaloo Sam

ポッピングとブガルーの生みの親として知られているSam Solomonこと “Boogaloo Sam” は、1977年にElectronic Boogaloo Lockersを結成、のちにElectronic Boogaloosとなった( “Boogaloo” はJames Brownの同名曲から取られている)。
Popin’ PeteSkeeter RabbitSuga PopMr Wiggles(Rock Steady Crew)のようなアイコニックなポッパーたちを擁していたElectric Boogaloosは、当然ながら大きな成功を収めることになった。
Boogaloo Samは『ソウル・トレイン』や数々のミュージックビデオに出演した他、世界中のダンスクルーと共演した。2012年には、カナダのダンスクルーStreetscapeと同じく、Choreographers Ballで生涯功労賞を受賞している。尚、この時のプレゼンターは、The Lockersのオリジナルメンバー、Toni Basilが務めた。

2:Popin' Pete

Timothy SolomonことPopin’ Peteは、1978年から兄のBoogaloo Samからダンスを学び始めた。その後、ポッピングの天賦の才を備えていたPopin’ Peteは、クレイジーレッグETスパイダーマンスリーピースタイルなど、様々なスタイルやムーブを考案することになり、今もポッピングシーンのパイオニアのひとりとして活躍している。
また、Popin’ Peteは、Michael Jacksonと20年に渡ってコンビを組み、「Thriller」や「Beat It」、ショートムービー「Ghosts」など、様々な作品のコリオグラフィーとパフォーマンスを指導したことでも有名で、近年も、Chris BrownYeah 3x」のミュージックビデオに出演した。

3:Mr. Wiggles

世の中には、幸運に恵まれてダンスクルーに抜擢されるダンサーがいるが、2つのダンスクルーに抜擢されたダンサーはほとんどいない。そして、その両方がダンスヒストリーに名を残すトップダンスクルーだったというダンサーは、ほんのひと握りしかない。
サウスブロンクスが世界に送り出したRock Steady Crewに抜擢され、その後、ポッピングスキルを試すべく米国を横断してElectric BoogaloosのメンバーにもなったMr. Wigglesは、今も世界各地でワークショップを開催している。

4:Skeeter Rabbit

残念ながらすでにこの世を去っているSkeeter Rabbitは、子供の頃にロサンゼルスのストリートでダンスを始めた。
当初はロッカーだったSkeeterがポッピングに目覚めたのは、従兄弟のBoogaloo SamとPopin’ Peteの影響だ。Boogaloo Samに誘われる形でElectric Boogaloosに参加すると、すぐにポッピングのパイオニアのひとりとして有名になり、シーンに大きな足跡を残した。

5:Suga Pop

Electric Boogaloosのメンバーで、ポッピングシーンの重鎮として活躍しているSuga Popは、エンターテインメントビジネスのビッグネームたちと仕事をした経験を持つ。
Michael JacksonJames BrownLionel RichieSheila Eなどと1980年代から1990年代にかけて仕事をしたSuga Popは、ダンサーとして彼らのワールドツアーに同行した。
また、1984年にはグラミー賞の授賞式でHerbie HancockRockit」のパフォーマンスに参加した他、1990年代にはJanet JacksonThat’s The Way Love Goes」のミュージックビデオにも出演した。近年は音楽プロデューサーとしても活躍している。
Suga Popはヒップホップシーンとの繋がりも強く、A Tribe Called QuestDe La SoulCypress HillBrand NubianLL Cool Jなどのダンスやプロデュースを担当した経験を持つ。

6:Pop N’ Taco

Bruno ‘Pop N Taco’ FalconはElectric Boogaloosの正式メンバーではないが、彼らと様々な機会で共演しており、Electric Boogaloos、Popin’ Pete、Skeeter Rabbitが自分に与えた影響の大きさを常々語っている。
Pop N Tacoはレジェンドダンサーのひとりで、映画『ブレイクダンス』シリーズの両作品に出演した他、Michael Jacksonのダンスレッスンを担当したこともある。
Michael Jacksonに関しては、「Smooth Criminal」のミュージックビデオと映画『ムーンウォーカー』に出演した他、ライブにもダンサーとして出演した。また、Lionel Richieのライブや、Chaka KhanI Feel For You」のミュージックビデオにも出演している。

7:Boogaloo Shrimp

Michael “Boogaloo Shrimp” Chambersの妹は、彼のダンスムーブの人気をさらに高め、そのユニークなスタイルをさらに際立たせるために、“Boogaloo Shrimp” と背中に大きく書かれたカスタムコートをプレゼントした。
Electric Boogalooの正式メンバーではなかったが、キャリアを通じてPopin’ PeteやPop N’ Tacoとアイディアやスタイルを共有したMichaelは、キャリアを通じて様々なミュージックビデオやテレビ番組、ワールドツアーなどに出演したが、最も有名なのは、映画『ブレイクダンス』シリーズのターボ役だろう。
Boogaloo Shrimpのダンスは非常に大きなインパクトを与えたため、現在、彼のドキュメンタリーの制作が進んでいる。