Taeyoung Boy
© Yusuke Kashiwazaki
ミュージック

Taeyoung Boyインタビュー『歌えて当たり前、その上でラップもできる』

Red Bullがキュレートする“その場限り”のマイクリレー《RASEN》 参加ラッパーたちのプロファイル|#4
Written by Tetsuro Wada
読み終わるまで:4分Published on
Taeyoung Boy

Taeyoung Boy

© Yusuke Kashiwazaki

——ラップをはじめたきっかけを教えてください。
おれは地元が西東京なんですけど、もともとスケボーをしていて、立川のほうのパークとかをひとりでいろいろ回っていたときに、パークの近くでサイファーをやっているのに遭遇して。
それで興味を持って遊ぶようになって、その子たちが週末ライヴがあるからってことで行ったら、QNくんが出演するイベントだったんですよ。それまで日本人のラッパーにはハマってなかったんですけど、QNくんはめっちゃカッコいいなと思って。ライヴ後に声かけて“おれもラップやりたいっす”って言ってトラックを送ってもらったりしたのが最初ですね。
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© Yusuke Kashiwazaki

それが3〜4年前なんで、22歳くらいのとき。ビートもらって、最初はすごい自信があって、ほかの日本語ラップを聴いてても絶対おれのほうがイケてるとか思ってたんですよ。でも最初のレコーディングは自分の思った感じと全然違くって、気持ち悪かったですね。
ただ、最後に録った曲は結構いい感じになって楽しくなっていった感じ。その曲をQNくんも“カッコいいね”って言ってくれて、まわりのやつらも“ヤバいね”ってなったんで、そこからハマりましたね。
——これまで発表した楽曲で、自身の代表曲を挙げるなら?
1曲だと"HOWL"かな。プロデューサーのDroitteとはダブルネームでアルバムも出していて、自分の名前が広まるきっかけとなった"Fault"も彼のビート。
Droitteのビートはパンチが効いてて、代表曲になる感じのものが多くて。彼はリリックにもアドバイスをくれるので、リリックもビートもふたりで高め合ってできた曲という感じです。フロウも含め、そのときいちばんいいものが出せたかなと思いますね。
『RASEN』

『RASEN』

© Yusuke Kashiwazaki

——自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
大谷翔平選手みたいな二刀流ってことですね。ラップも歌も両方いける。それを突き詰めたらいちばん最強なんじゃないかなと思って。
どっちを突き詰めてもいいと思うんですけど、自分はKendrick LamarとかJ.I.Dとかラップが上手い人が好きなので、ラッパーである以上、ラップはスキルフルでありたいって気持ちがすごくあって。
スキルで負けたくないし、ナメられたくない。自分のなかだと、歌えて当たり前、その上でラップもちゃんとできるっていうのが正解なんですよね。
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© Yusuke Kashiwazaki

日本語ラップから影響されたってこともあまりないと思ってるので、ほかのラッパーと同じようなことは言ってないんじゃないかな。日本語ラップというより、村上龍とか石田衣良、伊坂幸太郎の小説にハマってたので、そういったものからの影響のほうが強いのかなと思います。
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——楽曲制作の工程について教えてください。
最近はピンときた言葉を最初にはめこむことが多いですね。CHARIくんのEPに収録されてる"Do It"って曲は、フックの“あの頃いたのにな/あの頃まだいたのにな”ってラインがあって、その言葉がパッと浮かんで、それを最初にはめて組み立てていった感じ。入れたい言葉を最初に無理矢理でも入れるっていう。
そういう言葉は普通に日常を過ごしているとパッと浮かぶことが多いかな。過去の自分の体験からリリックが出てくることも多少はあるけど、自分にあったことの90%くらいを脚色して書いているかもしれない。
『RASEN』

『RASEN』

© Yusuke Kashiwazaki

——影響を受けた人物は?
従兄弟のリクタロウってやつですね。彼は頭もよくて音楽やスケボーもやってて、なんでもできるヤツなんですよ。Bボーイとかでもないんだけど、そのカッコつけてない感じのカッコよさにすごく憧れてましたね。
スケボーも彼の影響ではじめたし、自分にとっては大きい存在。自分の曲も聴いてるみたいで、たまにライヴとか来ますね。彼には“いちばん最初に作った曲がいちばん好き”ってずっと言われ続けてるんですが(笑)。
——今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
めっちゃ楽しかったですね。自分は終始余裕で、全テイクOKとして使える感じ。こういう形でみんなでひとつのものを作るというのは楽しかったですね。
LEXは前から好きで。おれだったらあのフワッとした感じで、あそこまで歌えないなと思って。SANTAもおもしろいっすね。完全に今日のムードメーカーだったし、楽しいヤツですね。キャラもいいし、バイブスも高いっていう。荘子itもそれまでのふたりと全然違うフロウでやってくれたのでよかったなって。
こういう企画でしか一緒にならないメンツだと思うので、そこも含めて楽しかったです。