lilbesh ramko
© Suguru Saito
ミュージック

lilbesh ramkoインタビュー『自分は普通に生活する人間で、いまが楽しければいいじゃんって思う』

レッドブルがキュレートするマイクリレー《Red Bull RASEN》EP28 参加ラッパーたちのプロファイル②
Written by namahoge
読み終わるまで:6分Published on
—今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
昔からRed Bull RASENは好きで見てたんですけど、いざ依頼がきて、“自分、ヒップホップじゃないけど、出ていいのかな”と思ってすごく迷いました。いつも声バリバリ加工してるし、あんま普通じゃない感じで曲作ってるし……こういうパフォーマンスの場で、どうすればいいのかわかんないんですよね。でも、せっかく来た話だし、いつもの感じでやれたらなと思って、ポップな歌にしてみました。
まあ最初はそんな感じでしたけど、やってみたらめっちゃ楽しかったですね。この日だけの一体感がだんだん生まれてひとつの曲になった感じがあって。VaVaさんはほんと中学生ぐらいから聴いてて、swettyくんも去年ぐらいに知って聴いてたし、TOKYO世界さんは今日はじめてお会いしたんですけど、みんなで話してて“ピースでいいね”みたいな、この時間を通してみんなのこと大好きになりました。
Red Bull RASEN EP28

Red Bull RASEN EP28

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自分のリリックでは、最後の“何者でもないわたし/いまが幸せ”っていう歌詞を入れたかったんですよ。ここ2〜3年のSoundCloudシーンの盛り上がりって、日本だけじゃなくて世界中のムーブメントじゃないですか。自分もその渦中のひとりなんですけど、だからこそ“わたしはJポップだ”とか“わたしはヒップホップだ”とか、そういうのでギスギスするんじゃなくて、“ぼくはlilbesh ramkoだ”というのでいいじゃんって思って。シーンの状況も、自分の状況も、全部不安定だし“いまが楽しければいいじゃん”って思ってずっとやっているので、それを歌詞に反映させました。
—ラップをはじめたきっかけを教えてください。
コロナ禍のちょい前、高校2年生ぐらいのときにヒップホップにハマって、友達とサイファーしたことがありました。で、コロナでヒマになったんで、GarageBandでビートを作って、歌を入れてみたのがいちばん最初です。その当時のモチベーションっていまと全然変わらなくて、自分が聴きたい曲、自分がプレイリストに入れたい曲を作ろうという感覚があって、単純に“いい曲できてうれしいな”って感じですね。そしたらSoundCloudで聴いてくれるリスナーも増えてきて、現在に至るという感じです。
Red Bull RASEN EP28

Red Bull RASEN EP28

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—これまで発表した楽曲で自身の代表曲を挙げるなら?
“lost woods!”かなと思います。この曲を作るまではGarageBandで全部作ってたんですけど、大学に入ってパソコンを手に入れて、本格的な曲作りできるじゃんってAbleton Liveを買ったんですよ。これはその最初期の曲で、自分がやりたいことが具体的に作れるようになってきた感じがあって。ライブでもみんな歌ってくれるし、今日もリリックにサンプリングしましたし、すごく思い入れがある曲ですね。
—自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
自分にしかないスタイル……たぶん、まだなにも定まってないんですよね。音楽についてなにもわかってない(笑)。楽しけりゃいいでしょ、みたいな。変な回答ですけど……。でも本当、自分は普通に生活をする人間なので、ただの人間が作ってる音楽です。まあ、ほかのひとよりはすごく気楽に作っている気がするというか、逆に自分のことしか考えていないから、自分という人間がそのまま曲になったみたいなイメージです。だからアートというつもりもないし、特別なものでもないです。
—影響を受けた人物は?
ヒャダインさん、星野源さん、あとはフランスのJusticeやPhoenix。それからヒップホップでいうと、XXXTentacionは衝撃でした。ぼくが中学3年生くらいで、ちょうどヒップホップにどハマりしてた時期、たまたまYouTubeのおすすめでライブ動画が流れてきて。Ski Mask The Slump Godとの"Take A Step Back"なんですけど、もう、メロディーなしのハイハットとドラムとベースだけみたいな曲で、ベースもめちゃくちゃ歪んでるし、ラップなのにめちゃくちゃシャウトしてるし、“なんなのこれ?”みたいな。すごいラフなサウンドだけどカッコよくて、“音楽って完璧じゃなくていいんだ”っていう価値観をもらって、自分の原点になってると思います。
音楽以外でいうと、画家の山口晃さん。絵も好きなんですけど、人柄が好きなんです。山口さんが自分の絵を解説する動画があって、しゃべりかたもすごく落ち着いてるし、しかも、たぶん自分のことしか考えてないんですよ。気楽で、適当で、余裕があっていいなって。自分に配慮できるひとってまわりにも配慮できるじゃないですか。ぼくもそういうおじさんになりたいです。
Red Bull RASEN EP28

Red Bull RASEN EP28

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—今後の予定と将来の展望について教えてください。
9月13日に『徘徊collection』というアルバムが出ます。前作『終末collection』の続編で、ポストアポカリプスみたいな、ちょっとダークな感じです。『アイアムアヒーロー』って漫画の最終巻みたいな、草木の生い茂る都会でコンビニ漁ってカップ麺食べる、みたいなイメージです……とか、いろいろ考えてるんですけど、実は現段階でまだできてなくて、今日も帰ったら作らないといけなくて……。あとは10月6日にワンマンライブをやります。ずっと緊張してて、ワンマンのことで頭いっぱいになってて。内容はとりあえず2時間以上自分が歌うってことだけが決まってます。なにがどうなるかわかりません。そのときの自分に期待してます(笑)。
 
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