Overview of the Red Bull Basement livestream event hosted in Vienna, Austria on December 13, 2020.
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アントレプレナーシップ

世界の学生が考案した "現状を打破するSDGsテックアイディア" 8選

【Red Bull Basement Global Final】で発表された「未来をポジティブに変えるサステナブルでイノベーティブなテックアイディア」の中から特にユニークなものをピックアップ!
Written by Trish Medalen
読み終わるまで:6分Published on
テックネイティブの現代の学生たちは、テクノロジーの大きな可能性を自由にイメージできる。そして何よりも、彼らは「これまでこうだったから」という理由で同じことを続けることに満足しない。
そのため、2022年3月24日から27日にかけてトルコ・イスタンブールで開催された、世界各地の学生チームが未来を変えるテックアイディアを発表するイベント【Red Bull Basement Global Final】は、実にエキサイティングだった。
学生チームたちは、キーノートスピーカーやメンター、ワークショップからインスピレーションを得たあと、SDGsを大枠とした8カテゴリーのいずれかに属するそれぞれのテックアイディアをジャッジパネルへ向けてプレゼンテーションした。
【Red Bull Basement Global Final】に参加した全チームのアイディアは【Red Bull Basement】のウェブサイトで閲覧できるが、今回はその中から特に注目のアイディアを紹介する。
01

内蔵LEDが点灯する歩行者道路用タイル

Red Bull Basement 2021

英国・ラフバラー大学の《Starry Light Tiles》チーム

© Mark Roe/Red Bull Content Pool

英国・ラフバラー大学の2人は「エナジー」カテゴリーの素晴らしいアイディアを用意した。「自宅までの夜道が恐ろしく感じるときがあります。街灯がないときは特にそうです。街灯を増やすことが迅速な解決方法ですが、街灯は高額ですし、光害に加担してしまいます」とテイバ・アーメドとエイミー・ドリングは説明している。
彼女たちが考えたテックソリューションは、足を置くとLEDが点灯する歩行者道路用タイルだ。運動型 / 圧電型環境発電テクノロジーを採用しているこのアイディア《Starry Light Tiles》は自足式で、足を置くたびに電力が発生・貯蔵されるようになっている。
02

海洋プラスチックごみを収集するAUV

Red Bull Basement 2021

エジプト・アレクサンドリア大学工学部の《Ocean Guardians》チーム

© Hesham Marcelo/Red Bull Content Pool

エジプト・アレクサンドリア大学工学部のイブラヒム・エルゴトミとアブドゥル・ムハマドが考案した《Ocean Guardians》は、複数台のソーラーパワーAUV(自立型水中機)でネットワークを構築し、海洋プラスチックごみを収集して水中環境をクリーンにしながら絶滅危機に晒されている海洋生物のデータを収集するテックソリューションだ。
気候危機を強く意識している2人は「《Ocean Guardians》が実現できれば、海洋生物を保護しながら未来の人たちのために美しい海を残すことができます」と説明している。
03

緊急医療が必要な人たちの命を救うアプリ

Red Bull Basement 2021

ジョモ・ケニヤッタ農工大学の《Siren》チーム

© Eric Kariuki/Red Bull Content Pool

ジョモ・ケニヤッタ農工大学で学ぶケニア代表チームは、短時間でファースト・レスポンダー(第一対応者)を見つけることができる「エンパワーメント」カテゴリーのアイディアを発表した。
チームメンバーのジョセファット・マイナは「緊急時の人命救助方法を考えていく中で今回のソリューション《Siren》に辿り着きました。このアプリは医療従事者、救急車、医療施設を必要としている人たちの助けになります」と説明している。
チームは、《Siren》ならフィジカルとメンタル両方のニーズに対応できる上に、医療関連のネットワークを通じて、救急車よりも短時間で患者に最も近い医療従事者を派遣できると付け加えている。
04

自動分別するスマートゴミ箱

Red Bull Basement 2021

NTTワイルドカードの《E-Trash》チーム

© Sebastiano Felicetti/Red Bull Content Pool

【Red Bull Basement】のオフィシャルテクノロジーサービスパートナーのNTTは、彼らのイノベーティブでハイブリッドなエクスペリエンスサービスを通じて、ソートリーダーたちと学生たちを結びつけている。今回も、彼らが選出したワイルドカードチームが【Red Bull Basement Global Final】に参加した。
イタリアのH-FARMでデジタルマネージメントを学ぶフィリッポ・カセラートとウンベルト・ボルゾーニは、ゴミをより簡単かつ効率的に分別できる「スマートシティ」カテゴリーのアイディアを用意した。
カセラートは「毎年、ゴミはわずか55%しかリサイクルされていません。また、正しい分別方法を知らない人もいます」と語っているが、彼らのアイディア《E-Trash》はゴミの内容を判断し、正しい種類に自動で分別するゴミ箱だ。また、2人はソーラーパワーを利用する考えも示している。
05

毛根管症候群を予防するスマートマウスパッド

Red Bull Basement 2021

プラハ・カレル大学第3医学部の《Wrest》チーム

© Jakub Zeman/Red Bull Content Pool

チェコのプラハ・カレル大学第3医学部で学ぶヴァシル・コスティンとトマシュ・トレイルは「ボディ&マインド」カテゴリー用のスマートマウスパッド《Wrest》を用意した。毛根管症候群(CST)の予防を目的に開発された《Wrest》は、手首の位置と圧力を感知し、圧力が強すぎればユーザーに警告を送り、手首をほぐすか休憩を取ることを促す。
2人は「毛根管症候群は2番目に多く確認されている職業病です。仕事がどれだけハードでも、健康維持が最優先されるべきです」と説明している。
06

自動ノート作成ツール

Red Bull Basement 2021

最優秀賞を獲得したアリゾナ州立大学の《Jotted》チーム

© Tanner Yeager/Red Bull Content Pool

アリゾナ州立大学初の「教育」カテゴリーのアイディアは、学業の問題を乗り越える力を学生に与えてくれる。
「テスト勉強では、“どこから始めたら良いのか” を見極めることが最も厄介な問題になるときがあります。講義のノートを何回もめくり直し、インターネットをひたすら検索したあと、自分の勉強の効率が悪かったことに気が付いている学生は少なくありません」とシルビア・ロペスは指摘する。
そこで、彼女とチームメイトのブリンリー・キッドはテックソリューション《Jotted》を考案した。この自動ノート作成ツールは、講義で出てくる重要な単語や情報をリアルタイムで認識し、それらを抜き出したカードセットを自動で作成すると同時に関連情報の収集や練習問題の作成も自動で行う。
07

いつでもどこでも安全な水を確保できるウォーターボトル

Red Bull Basement 2021

オウロ・プレート国立大学の《AQUALUX》チーム

© Donatello Ferraz/Red Bull Content Pool

安全な飲料水と公衆衛生が整っていればほぼ100%に防げる病気で今も毎年150万人が亡くなっているという事実を知ったブラジルのオウロ・プレート国立大学で学ぶバーバラ・パイバは、この問題に取り組むことを決めた。
「クリーンウォーター」カテゴリーに含まれる彼女のアイディア《AQUALUX》は、日光を使用して水を消毒・浄化できるウォーターボトルだ。電源を必要としない《AQUALUX》は、公衆衛生インフラが整っていないエリアに住む人たちやハイキングやキャンプで僻地へ向かう人たちに、安全でクリーンな水を提供できる。
パイバは「このプロジェクトはすべての人に常に安全な水を提供することを目的としています」と説明している。
08

プロからアドバイスを受けながら進む道を決められるアプリ

Red Bull Basement 2021

ICHECブリュッセルマネージメントスクールの《Find Your Pro》チーム

© Hajar Saidi/Red Bull Content Pool

ベルギーのICHECブリュッセルマネージメントスクールで学ぶ2人は、若い人たちがそれぞれの可能性を見出す助けになる《Find Your Pro》を開発した。このアプリは、学生たちをそれぞれが興味を持っている分野のプロフェッショナルと繋ぐことで、彼らが自分たちの可能性を探りながら、進みたい方向をより明確に理解する助けになる。
ハジャル・サイディとカウサル・サイディは「若い学生がキャリアの選択で混乱してしまうのはよくあることです。私たちはこのアプリが自分たちを含む世界中の学生の助けになると思っています」と説明している。
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