『ロケットリーグ』にはデフォルトで用意されているもの、アンロックして使用できるもの、そしてDLCやインポートで手に入るものなど、30種類以上のマシンが存在する。ではなぜプロプレイヤーの大半がOctaneを使用しているのだろうか?
最近開催されたいくつかのメジャートーナメントのグランドファイナルを振り返ってみると、2017年6月に開催されたRocket League Championship Series(RLCS)のWorld Championshipで、Northern GamingとMock-it Esportsのプレイヤー6人全員がOctaneを使用していた。また、同年7月に開催されたX Gamesでもグランドファイナルに進出した6人のプレイヤーのうち5人がOctaneを使用しており、DreamHack Atlantaのグランドファイナルも全員がOctaneを使用していた。
『ロケットリーグ』のハイレベルマッチで勝利を収めるためにはマシンの選択が非常に重要だ。というのも、マシンによってヒットボックス(当たり判定)と旋回速度が異なるからだ。エアリアルとドリブルに強いマシンがある一方、ボールをハードヒットできるが、イーブンボールに向かう時に遅れを取ってしまうマシンもある。その中で、多くのプロプレイヤーは自分の予想通りに反応するマシン、自信を持って快適に操作できるマシンを選んでいく。
しかし、少し違う視点からマシンを選んでゲームをプレイしている一部のプレイヤーを除き、彼らの大半がOctaneを選択している。また、2017年夏にメインマシンをOctaneにスイッチしたプレイヤーも数人いた。『ロケットリーグ』の現行メタでなぜここまでOctaneが重宝されているのだろうか? 今回は数人のプロプレイヤーを捕まえて、彼らがなぜOctaneを使い続けているのか(またはスイッチしたのか)について話を聞きつつ、デベロッパーのPsyonixにOctaneの特徴について説明してもらった。
快適な操作感
もちろん、個人差はあるが、2017年7月のX Gamesに参加した数チームとOctane(とそのバージョン違いのOctane ZSR)を使用している理由について話を聞いた時、彼らの多くは操作感の良さをその理由に挙げていた。
多くのプロプレイヤーは、Octaneはヒットボックスが大きくてスイートスポットを捉えやすく、ショットのインパクトにも優れており、その結果、ドリブルとエアリアルでのボールコントロールにも好影響を及ぼすという理由から、このマシンをベストピックとしている。FripSid3 Tactics時代にワールドチャンピオンを経験し、現在はTeam EnVyUsに所属するプロプレイヤーMarius "gReazymeister" Ranheimは、Octaneを「最高のオールマイティマシンだね。エアドリブル、エアリアル、ドリブルなど、どんなプレイにも対応できる」と評価している。
単純にOctaneでシュートをゴールネットに突き刺す感覚が最高だと感じているプレイヤーもいる。比較的小型だが、Octaneのショットはパンチ力がある。Rogueに所属するプロプレイヤーのEmiliano "Sizz" Bennyは、これまで一番長くプレイしたマシンはDominusで、大きくて強靱なボディが気に入っていたことから3,000時間以上このマシンでプレイしたが、Octaneに切り替えてからはOctane1本に絞っている。
「この前、初めてOctaneを試したんだけど、その時に『このマシンの方が断然使いやすいぞ』と思ったんだ」とOctaneとの出会いを振り返るSizzは「ヒットボックスはパーフェクトだし、サイズも大きすぎない。でも、他のマシンと比べてショットのインパクトにも優れているんだ。このマシンのパンチ力は他のマシンでは期待できないものだ。インパクトした時の感覚は最高だよ。グッドフィーリングが得られるんだ」と続ける。
プロプレイヤーたちがデジタルマシンを愛する理由を情熱的に事細かに説明する姿は実に素晴らしい。彼らは自分たちが使用する『ロケットリーグ』のマシンに強い愛着を持っている。しかし、これは当然とも言える。なぜなら、彼らは数え切れないほど多くの時間をこれらのマシンに費やしてきたからだ。彼らは各マシンを細部まで知り尽くしており、自分たちのマシンの細部と安定感に頼りながらゲームを勝利し、チャンピオンシップを制し、スポンサーから支援され、賞金を稼ぎ、キャリアを築き上げている。彼らが数あるマシンの中から自分のプレイスタイルに最適なベストパフォーマンスマシンを選び出すことに徹底的に拘るのは当然の話なのだ。
Octaneのエアリアル性能はプロレベルの対戦では特に重要だ。プロレベルの対戦では、空中に浮いたボールをシュートしたり、それをブロックしたりすることに多くの時間が費やされる。Rogueの元スターターで現在はG2 Esportsのサブを務めるIssac “Turtle” Appは「Octaneはエアリアルに優れている。パワフルにヒットすることができるんだ。練習を積めばそのパワーをさらに引き出せるできるようになる」と説明している。
また、Turtleは、対戦相手を出し抜くための高精度な操作と思考力が求められる1v1モードにおけるOctaneの高い人気も、このマシンの優れた性能の証左だと付け加えている。そして、1v1モードで求められるこのようなテクニックは3v3にも流用できる。「Octaneは1v1に最適なマシンだよ。1v1の全プレイヤーがOctaneを使用している。この事実がこのマシンの優秀さを物語っているよね。あとは旋回半径が他の多くのマシンよりも優れている。優れているというのは言い過ぎかもしれないけど、アベレージだ」
優れた安定性
トップレベルの『ロケットリーグ』プロプレイヤーの大半は非常に精度の高いプレイをする。状況を察知し、ボールの行方を予測し、対戦相手の動きさえも先読みする彼らは、いつどのようにプレイすべきかを直感的に理解する。このようなプレイを大きく左右するのがマシンの選択だ。プロプレイヤーは自分のマシンが予想通りに動くことを求めている。そして、マシンがそのように動けば、ボールも予測した場所に動くようになる。多くのプロプレイヤーにとって、Octaneはそのためのベストピックなのだ。
Team EnVyUsのキャプテンで、2016シーズンにNorthern GamingでRLCSチャンピオンに輝いた経験を持つRemco “Remkoe” den Boerは「他のマシンよりもOctaneの方がミスをする回数が少ない。他のマシンではスカってしまうボールを簡単に上手くヒットできるケースが多いんだ。なぜそうなのか正確には理解できていないけど、Octaneなら、他のマシンよりもミスする回数が減るように思えるんだ」とコメントしている。
トッププロプレイヤーたちがOctaneの次に重用しているマシンは、おそらくBatmobileだろう(映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』とのタイアップモデル)。我々はこのマシンの素晴らしいプレイを何回か確認している。FlipSid3 Tacticsに所属するFrancesco "Kuxir97" Cinquemaniは、最も有名なBatmobileメインのプロプレイヤーで、RLCSのチャンピオンに輝いた経験を持つ彼はこのマシンの操作に優れている。また、すでに引退している元iBUYPOWER CosmicのTed "0ver Zer0" Keilも、Batmobileでシーズン1のチャンピオンに輝いた。彼らの他にも、NRGに所属するJayson "Fireburner" NunezやThe Leftoversに所属するNicolai "Snaski" AndersenもBatmobileを使っている。
Batmobileは他の車体の長いマシン(Dominusを含む)と同じように、ボールをパワフルにヒットすることが可能で、そのパワーはOctaneをも凌いでいる。また、Batmobileは車体が長いだけではなく、他の同タイプのマシンより幅も広い。BatmobileがOctaneに次ぐ人気を誇っているのはこれが理由だ。SizzはBatmobileについて「Batmobileのエアドリブルの性能は、他のマシンを大きく上回っている。Batmobileなら簡単にエアドリブルできるんだ。凄いマシンだよ」と付け加えている。
では、なぜBatmobileをメインにするプレイヤーが増えないのだろうか? その大きな理由はイーブンボールでの立ち回りにある。OctaneはBatmobileを含めた他の車体の長いマシンよりも車高がやや高く、イーブンボールの奪い合いになれば、車高が低くて平坦なBatmobileよりもボールに触れられる面積が大きい分有利だ。ミスに繋がる可能性があるにせよ、Batmobileもマシンの向きを少し変えればそのデメリットを補えるが、Octaneの方が予想していた結果をより簡単に得ることができる。
Remkoeのコメントにあったように、『ロケットリーグ』はミスを最小限に抑えることが重要なゲームで、多くのプロプレイヤーがOctaneをそのベストソリューションと考えているのだ。また、Octaneが選ばれているもうひとつの理由として挙げられるのが、ルックスとアクションの整合性だ。これはマシンによって異なる部分だが、複数のプレイヤーが、Octaneはそのふたつの間のズレが一番小さいと回答している。
「Octaneはヒットボックスが分かりやすい。明確なんだ」とSizzが説明し、次のように続ける。「気付かずにマシンの隅がボールに触ってしまうようなアクシデントを心配する必要がないのさ」
G2 Esportsのキャプテンで、RLCSシーズン1のチャンピオンに輝いたCameron "Kronovi" Billsも「Octaneのフィーリングは良いね。ルックス通りのアクションなんだ。Batmobileを使用しているプレイヤーがいるよね。Batmobileは予想通りのアクションをする。このマシンを好きじゃないプレイヤーもいるけれど、予想通りのアクションをすることに変わりはない。でも、Octaneはその精度が一番高いと思うんだ。そしてOctaneが極めて一般的なマシンというのも選ばれている理由のひとつだね。常識外れを好むプレイヤーは少ない」
誰もが知っているマシン
トーナメントプレイにおけるOctaneは確かに “普通” で、多くのプレイヤーが使っている。この事実はKronoviの発言を裏付けていると言えるだろう。そして、PsyonixのデザインディレクターのCorey Davisは、この普通さが、OctaneのeSportsシーンにおける人気に繋がっていると考えている。Octaneの高い人気の理由について質問すると、彼は「長時間使っても快適さが失われない安定性とコミュニティの共通見解、そして、これはほんの小さな差ですが、実際のメカニカルの違い - この3点が組み合わさった結果だと思います」と回答している。
言い換えれば、Davisは、Octaneがプロプレイヤーの間で重宝されている最大の理由は、マシンの性能差ではないと考えているということだ。もちろん、特定のマシンが突出した性能を持たないように留意しながらマシンのバランス調整をするのが、Davisの仕事だ。しかし、プレイヤーたちは特定のマシンに引き寄せられ、そのマシンをマスターすることに注力し、最終的にそのマシンだけを使用している。
プロプレイヤーの中には、数年分の長い時間をOctaneに費やしてきた者もいる。その大きな理由は、Octaneが『ロケットリーグ』のデフォルトマシンだからだ。Octaneはこのゲームを購入した直後から使用できるマシンのひとつで、リリース前のアルファ&ベータ時代から存在していた。そして多くのプロプレイヤーがこの時代からプレイしている(中には前作『Supersonic Acrobatic Rocket-Powered Battle Cars』 - 略称『SARPBC』 - 時代からこのゲームをプレイしてきたプレイヤーもいる)。さらに言えば、Octaneは『SARPBC』にもデフォルトマシンとして収録されていたのだ。つまり、かなり多くのプレイヤーによって、Octaneはトーナメントプレイのスタンダードという立場になったのだ。そしてプロプレイヤーがOctaneで次々と成功を収めていることを踏まえると、今後もOctaneを使用するプレイヤーが増え続けることが予想される。
Davisが説明する。「Octaneは長年に渡りデフォルトマシンとして使用されてきました。ベータを含めて長時間プレイされてきたマシンだということを踏まえると、このマシンへのプレイヤーの “慣れ” は、他のマシンのそれとは比べものになりません」
NRGに所属するGarrett "GarrettG" Gordonは「Octaneに3,000時間以上を費やしてきたのに、今さら他のマシンに切り替える意味はないよね。そしてプロプレイヤーの対戦を見たプレイヤーは、彼らのようになりたい、彼らのプレイを真似したいと思うようになる。だから、誰もがOctaneを使って、このマシンに慣れようとしているんだよ」と説明している。
ちなみにGarrettGは、Octaneのデザインも気に入っている。それゆえに、性能は同じであることが公式発表されているにも関わらず、わずかにデザインが異なるOctane ZSRを使うことに彼は動揺を感じている。「マシンのルックスはプレイヤーのメンタルに大きな影響を及ぼすと思うんだ。マシンのルックスの違いはマシンへの印象を変える。だから、Octane ZSRでさえも、僕は違うマシンだと感じている。まぁ、実際は自分が感じているほどの差ではないと思うけどね。でも、ルックスが違うと思ってしまえば、性能も違うんじゃないかって考えるようになってしまうんだ」
数人のプロプレイヤーは、今でも他のマシンを試しているが、結局はOctaneに戻ってしまうとしている。Kronoviは「Breakoutをサブで使う時があるんだ。Breakoutはプレイしていて楽しいからね。だから、チーム練習で1週間Breakoutを使うことがあるんだけど、最後はOctaneに戻してしまうんだ。なぜなら、Brakeoutのフィーリングが掴めないからさ。怖じ気づいちゃうんだ」とコメントしている。
また、Remkoeも「たまにマシンを変えたいと思う時がある。それで新しいマシンを使い始めると、結果も出せるし楽しいと思う。でも、使い続けようとすると、最後はOctaneに戻るんだ。それで『なんだって、Octaneを離れようと思ったんだ?』なんて考えるんだ。僕にはこういう時がちょこちょこあるけれど、トッププレイヤーの多くはOctaneをずっとメインに据えているね」とコメントしている。
Octaneへのスイッチ
2017年夏、数人のプロプレイヤーがメインをOctaneに変更した。そのひとりがNRGに所属するFireburnerだ。トーナメントシーンのトッププレイヤーのひとりに数えられているFireburnerは、Batmobileのトッププレイヤーとして活躍し、チームをRLCS North American Championship 3連覇に導いた経験を持つ。しかし、2017年夏のアップデートでBatmobileの車高がやや高くなってしまうバグが発生した。Psyonixは、このバグは『ロケットリーグ』の物理演算には影響しなかったとしているが、GarrettGのコメントにあったように、マシンのルックスと選択はプロプレイヤーのメンタルに大きく影響する。Fireburnerも、このバグにかなりの悪影響を受けてしまい、メインマシンをコミュニティに支持されているOctaneへ切り替えることを決断した。
FireburnerはX Gamesでの会話の中で「変わったのは車高だけだとPsyonixから説明されたけれど、Batmobileをプレイし続けてきた僕には、ターンが重くなり、インパクトの良さも失われたように感じられたんだ」とコメントし、次のように続ける。「その影響で、酷いプレイが数日続いた。それでマシンを変えることにしたんだ。その時に『変えるならOctaneだ。みんなが使っているし、優秀なマシンに違いない』って思ったのさ」
「Batmobileは、他のマシンでは不可能なパワフルなヒットが可能だけど、Octaneは安定してハードヒットができる。これがOctaneから得た最大の恩恵だね。ディフェンス時に安定してハードヒットできるようになったし、シュートも安定するようになった」
結局、そのX Gamesは、Octaneをメインに据えたFireburnerを擁していたNRGが優勝した。Fireburnerは試合前に、修正されたBatmobileを試して好感触を得られるなら、Batmobileに戻るかもしれないと発言していたが、X Gamesのトロフィーを獲得したあとの彼は、Octaneを使い続けると訂正していた。
Batmobileは二度と触らないよ
もうひとつの興味深いOctaneへの変更は、RLCS World Championshipを戦い終えてオーストラリアへ戻ってきたAlpha SydneyとJAM Gamingで確認された。両チームは、Dominusプレイヤーで揃えたチーム編成でこのトーナメントを戦っていた。Rocket League Oceaniaのアナリスト、David “yumi_cheeseman” Laneは「両チームはDominusの空中でのヒットとビッグフリックの性能を高く評価していました」と説明している。しかし、両チーム共にオーストラリア帰国後にメインをOctaneに変更した。
彼らはRLCSに影響を受けて独自のメタを放棄したのだろうか? どうやらそうではないようだ。yumi_cheesemanは、Dominusプレイヤーだけのチーム編成はRLCS以前から特殊なケースだったとしており、Rocket League OceaniaではOctaneにDominusやBatmobileなどの車体が長いマシンを組み合わせたチーム編成が一般的だったとしている。また彼は、両チームのプレイヤーの中には、以前からOctaneを使用していた者や、RLCS前にメインをOctaneに変更しようとしていた者がいたともしている。しかし、RLCS終了後に、ひとりのプレイヤーを除く全員がOctaneに変更したのは事実だ。yumi_cheesemanは「他の地域で活躍するプロプレイヤーたちの存在が、両チームがOctaneメインに切り替えるきっかけになりました。今もDominusをメインに据えているいるのはTorsosだけです」と説明している。
そのDaniel “Torsos” Parsonは「僕はDominusに戻した。デザインが直方体だし、ヒットボックスも熟知しているからね」と説明している。Torsosは2017年7月にAlpha Sydneyを離れ、現在はChief Esports Clubに所属しているが、上の映像で確認できる通り(0:40秒から)、TorsosはDominusを見事にコントロールしている。
Torsosが続ける。「Dominusを使っている時の方が、Octaneよりもハードクリア、シュート、ドリブルのようなテクニックや立ち回りなどを良く理解できるんだ。僕のチームメイトがOctaneに変えた理由は、ヨーロッパのプレイヤーたちが使っているというのもあるけど、それよりも、高い車高を活かして安定してボールをヒットできるというメリットが大きいと思う。Dominusはここが欠けているからさ」
好みか常識か
Torsosは、Dominusを使い続けているのは、自分の好みとプレイスタイルに合っているからだとしている。X Gamesで話をしたプロプレイヤーの多くも、Torsosと同じ理由でOctaneを選んでいる。しかし、数多くの選択肢が存在する中でここまで多くのトッププレイヤーが同じマシンを選んでいる理由はそれだけではないはずだ。
このような現状でも、非常に優れたスキルを持っているプレイヤーが強い意志を持って時間をかけて練習すれば、Octane以外のマシンでも大きな成功を収められることを示しているプレイヤーがいる。たとえば、NRGに所属するJacob "Jacob" McDowellは一風変わったプレイをすることで知られているが、彼はどのマシンをプレイしても問題ないように見える。X GamesではDominusを使っていた彼は「トーナメントごとにマシンを変えているんだ。先週はVenomを使ったよ」とコメントしている。
そして、前述した通り、FlipSid3 Tacticsに所属するFrancesco "Kuxir97" CinquemaniはBatmobileをメインにしているトッププレイヤーだ。Davisは、1v1ではOctaneを使うのが常識だと言われているが、Kuxir97は2017年夏に開催された1v1トーナメントGold RushをBatmobileで制したとしている。
「Kuxir97はOctaneをメインにするプレイヤーがひしめく中で、Batmobileで優勝したんだ。なぜなら、彼のプレイスタイルが優れていたからさ」とKronoviが説明する。「『ロケットリーグ』は様々なプレイヤーが結果を出せるゲームだ。『スマブラDX』と同じだよ。『スマブラDX』はフォックスが強いと言われているけれど、弱キャラと言われているキャラクターでも、プレイ方法やキャラクターの特長によっては、強キャラに勝てるよね」
『ロケットリーグ』にはこのような普通ではないプレイヤーがいるが、それでもOctaneが最も注目を集めているマシンであることに変わりはない。Psyonixは定期的にニューマシンを追加しており、カジュアルマッチや低レベルのランクマッチではそのようなニューマシンが使用されている。また、時としてニューマシンが一時的にハイレベルなトーナメントで結果を残すこともある。しかし、賞金や評価、そしてチャンピオンの称号が懸かっている状況でプロプレイヤーがProteusやEsperを使用することはない。
「もちろん、私たちは色々なマシンを見たいと思っています」とDavisは認めている。「ですが、『ロケットリーグ』は、バランス調整で特定のヒーローやチャンピオンがメタから外れるMOBAとは違います。バラエティを豊かにするためにOctaneを調整してしまうのは、プロプレイヤーだけではなく、このマシンを愛する世界各国の何百万人のプレイヤーの間に混乱をもたらしてしまいます。現時点でOctaneを調整する予定はありません」
しかし、Psyonixは2周年記念のアップデートとして2017年7月にいくつかの変更を加えており、そのひとつとしてマシンの標準化モデルを採用した。このモデルは、『ロケットリーグ』の全マシンを5タイプに分類して、同タイプ内のヒットボックスとハンドリングの差を最小化することが目的だ。現時点でこのモデルが適用されているのは一部のマシン(Octaneタイプを含む)だけだが、Psyonixは今後のアップデートでマシンの標準化を続けていくとしている。このような変更がトーナメントシーンにおけるマシンの人気順にどのような影響を与えるのか、またニューマシンがOctaneのポジションを奪うのかについては時間をかけて見守る必要がある。
Davisは最後にこうコメントしている。「結局のところ、無料で使用できるデフォルトマシンがプロプレイヤーの常識になっているのは、決して悪いことではないですよね。トーナメントで優勝するためにDLCやスキンを購入する必要がないというのは、個人的には良いことだと思っています。ですがもちろん、状況をより面白くするための新しいコンテンツを作り続けていく予定ですよ」
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