コンスタンツェ・クロスターハルフェン
© Getty Images
ランニング

ランニング:ペース向上に役立つアドバイス&エクササイズ

プロランナーからスピードアップする方法を学ぼう! コンスタンツェ・クロスターハルフェンが全ランナーに役立つトレーニングメニューの組み方や筋トレを教えてくれた。
Written by Henner Thies
読み終わるまで:9分Updated on
中級以上のランナーなら「いつもの距離をより速く走りたい」という目標があるはずだ。プロランナーのコンスタンツェ・クロスターハルフェンは「大半のランナーには、たとえば10kmのタイムを向上させたい、つまりペースを高めたいという願いがあります」と語っている。
毎週走っている公園でのペースを高めたい人、10kmレースを速く走れるようになりたい人、または2024年5月5日に開催される【Wings for Life World Run】でなるべくキャッチャーカーに追いつかれないようにしたい人を問わず、今回紹介するガイドを読めば、タイムが向上して自己ベストを更新できるようになるはずだ!
コンスタンツェ・クロスターハルフェンも複数のメニューを組み合わせている

コンスタンツェ・クロスターハルフェンも複数のメニューを組み合わせている

© Tim Korbmacher/Red Bull Content Pool

より速く走る方法

ペース向上のカギになるのはバラエティに富んだトレーニングメニューだ。多くのアマチュアランナーは同じ距離を同じペースで週2〜3回走っている。このトレーニング方法は持久力を高めてくれるが、ペース向上には役立たない。
むしろ、バラエティに富んだトレーニングをしないとランナーとして成長できないのだ。【Wings for Life World Run】に向けてトレーニングしている人もこの点は注意しておきたい。
コンスタンツェ・クロスターハルフェンは次のようにアドバイスを送っている。
「トレーニングのバラエティを増やすことでペースを向上させることができます。いつも同じペースで走っているだけでは向上しません。より速くなるためには、1週間のトレーニングメニューに通常のランだけではなくテンポランも取り入れてみましょう」
いつものロングランにテンポランやインターバルを週1〜2回加えることでペースを向上できます
コンスタンツェ・クロスターハルフェンはテンポランを取り入れてペースアップを狙っている

コンスタンツェ・クロスターハルフェンはテンポランを取り入れてペースアップを狙っている

© Daniel Hug/Red Bull Content Pool

ペースアップに役立つ3つのトレーニング

  1. インターバルラン:インターバルランでは、比較的速いペースで比較的短い距離を間隔を開けながら連続で走ることになる。間隔、つまり休憩は1〜2分。たとえば、800mを4本、休憩2分などが考えられる。自分がフィットしていけば、本数を増やせるようになる。休憩時間を短くするのも効果的。
  2. テンポラン:テンポランは最大心拍数の80〜85%で行うトレーニングだ。この心拍数で決められた距離や時間を走り続ける。最初は数km、または15分程度だが、自分がフィットしていけば、45分、10kmを走れるようになる。テンポランで重要なのはスピードを出し過ぎないことだ。オーバーペースになってしまえば、効果が得られない。
  3. ドライビングゲーム:ドライビングゲームはルールが存在しないテンポチェンジランで、多くのランナーが気楽に楽しむことができる。このゲームでは、最高ペースに達するまでペースアップしていくタイミングとその長さ、またペースダウンしてジョグやウォーキングまで戻すタイミングとその長さを自分で決めることができる。短時間でペースアップしても、ゆっくりペースダウンしても構わない。重要なのは、負荷とリカバリーのバランスを取ることだ。つまり、ペースアップしている時間が長いなら、ペースダウンしている時間も長く取る必要がある。

翼をさずけるトレーニングメニュー

上記のメニューを使用して、ペースアップを狙っているランナーのための週間トレーニングメニューを組んでみた:
  • 火曜日:ジョグ(中速 / 中距離)
  • 木曜日:インターバルラン / テンポラン / ロードレース
  • 日曜日:ロングラン(低速 / 長距離)
コンスタンツェ・クロスターハルフェンはストレングストレーニングも欠かさない

コンスタンツェ・クロスターハルフェンはストレングストレーニングも欠かさない

© Daniel Hug/Red Bull Content Pool

バランス良く組み合わせることが重要です。私は日曜日は距離を重視して、火曜日と木曜日は負荷をかけます。その他は休息に充てています。

ストレングストレーニングで補強する

コンスタンツェ・クロスターハルフェンは次のようにアドバイスを送っている。
「ストレングストレーニングを加えることで、ストライド踏み込みを鍛えることができます。ストレングストレーニングを行うことでランニングパワーが増し、苦しいときもストライドを維持できます」
クロスターハルフェンはペースアップをブーストさせる方法として、自重を使ったサーキットトレーニングを挙げている。先述した週3日のランに加えて、以下の8種類のエクササイズを週1回行っていこう。
01

スクワット

エアスクワットは最も効果的な脚用エクササイズのひとつだ。自重だけで上半身を鍛えることができる。
エアスクワットは脚力アップに効果的

エアスクワットは脚力アップに効果的

© Viktor Fremling

やり方:足を肩幅より少し開いて立つ。つま先はやや外側に向けて、両腕をまっすぐ前方に伸ばす。背中や腰が曲がらないように上半身は起こしておく。そのままの姿勢を意識しながら尻をゆっくりと下げていく。下げきったらまたゆっくりとスタート位置へ戻る。これを10〜20回繰り返す(1セット)。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット繰り返したあと、次のエクササイズへ進む。
アレンジ:中級者以上はバーベルを追加して負荷を増やしても良い。
02

膝つきランジ

ランジは脚全体を鍛えられるエクササイズだが、臀部とハムストリングスに特に効果的だ。
やり方:足を肩幅に開いて立ち、つま先はまっすぐ前に向ける。上半身は起こしておき、体幹に少し力を入れる。この姿勢から大きく一歩を踏み出し(左右どちらでもOK)、そのまま背中を伸ばしたまま踏み出した側の膝に向けて上半身を倒していく。前足のつま先と並行の位置の床を両手の人差し指でタッチする。またこのときに後ろ足の膝も床に軽くタッチするようにする。ここからゆっくりと力を入れながらスタート位置に戻り、脚を入れ替える。これを左右10〜15回ずつ行う(1セット)。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
アレンジ:中級者以上はダンベルを両手に持って行っても良い。
03

プッシュアップ

プッシュアップは全身の筋肉に効果的だが、腕と胸、肩に特に効果的だ。
プッシュアップは全身に効果がある

プッシュアップは全身に効果がある

© Red Bull

やり方:うつぶせに寝る。両脚は伸ばし、つま先と床につけておく。両手は胸の位置で床につけて、指は頭側(前方)に向ける。この姿勢から両腕が伸びきるまで身体を起こしていく。全身に力を入れて一枚の板のようにする。腕が伸びきったあとは身体が床につくまで戻していく。これを10〜20回繰り返す(1セット)。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
簡易版:このようなプッシュアップが難しく感じる場合は、つま先の代わりに膝を床につけた姿勢で行う。
04

ダンベルロー

ダンベルを使ったローイングも全身を鍛えられるエクササイズだが、背中と肩に特に効果的だ。
ゾーイ・サドウスキー=シノットもダンベルローを取り入れている

ゾーイ・サドウスキー=シノットもダンベルローを取り入れている

© Roy Schott

やり方:両脚を肩幅より少し開き、ベンチから腕の長さ分だけ離れた位置に立つ。膝を少し曲げて、上半身はまっすぐ。ダンベルは足とベンチの間に置いておく。上半身を腰から直角に曲げる。片手をベンチの上に置き、もう片方の手でダンベルを握る。この姿勢からゆっくりとダンベルをへその横まで引き上げていく。背中は伸ばしたままで、上半身は固定しておく。次にゆっくりとダンベルを床に下ろしていく。これを10〜15回繰り返す(1セット)。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
05

デッドリフト

ウェイトトレーニングでベンチプレスの次に名前が挙げられるメニューがデッドリフトだ。この優秀なエクササイズは、より速くより強くランナーにとっても大きなゲームチェンジャーになる。
やり方:両足を肩幅より少し開いてバーベルの前に立つ。上半身を伸ばしたまましゃがみ、両膝の外側の位置でバーベルを握る。ここから尻を持ち上げることでバーベルを真っ直ぐ引き上げていく。上半身と両腕は真っ直ぐ伸ばして固定しておく。引き上げきったら床に戻していく。これを10〜15回繰り返す(1セット)。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
重要:やり方を覚えるまではウエイトを加えずにバーベルのシャフトだけで行う。
06

バイセップカール

ライナーにとって、腕を力強く振るために必要な上腕二頭筋(バイセップ)は非常に重要だ。上り坂では腕を振れれば大きくスピードアップできる。バイセップカールはその名の通り、上腕二頭筋に効果的なエクササイズだ。
Marc Marquez is pictured doing bicep curls at the gym in Cervera, Spain.

ウエイトをかけて腕を鍛える

© Jaime de Diego/Red Bull Content Pool

やり方:両足を肩幅に開いて立つ。両腕は体側につけておき、上半身は真っ直ぐ伸ばす。適切な重さのバーベルまたはダンベル2個を両手に持つ。手の平は自分の方へ向けておく。次に上腕二頭筋だけを使ってゆっくりと丁寧にウエイトを胸へ近づけていく。肘は固定して身体に近づけておく。胸まで寄せたら、またゆっくりと丁寧にスタート位置へ戻していく。これを10〜15回繰り返す。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
07

トライセプス プレスダウン

バイセップカールと対をなすエクササイズがトライセプス プレスダウンだ。上腕三頭筋(トライセプス)も腕の振りに重要な筋肉だ。
トライセプス プレスダウンは腕の振りを強化できる

トライセプス プレスダウンは腕の振りを強化できる

© Javier Reig (Fitness & Coach)

やり方:両足を肩幅に開いてケーブルマシンの前に立つ。適切なウエイトを選択して、両手でバーを両手で掴む。肘は体側につけて、両手は胸の位置に来ている。ここから腕を肘から伸ばして下げていく。肘が完全に伸びるまでゆっくりと丁寧に下げていく。肘は体側につけた状態をキープする。そのあとゆっくりと丁寧に元の姿勢へ戻っていく。これを10〜15回繰り返す。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
08

ショルダープレス

ショルダープレスは肩と首に効果がある他、腕の振りの強化にも役立つ。
やり方:両足を肩幅に開いて適切なウエイトのバーベルの前に立つ。肩幅でバーベルを掴み、スタート位置に戻ってバーベルを胸に近づける。膝はやや曲げて上半身はまっすぐ伸ばしておく。ここから肘が伸びきるまでバーベルを頭上へ持ち上げる。手首は肩の位置にあるべき(前後させない)肘が伸びきったらスタート位置までゆっくりと戻していく。これを10〜15回繰り返す。フィットネスレベルに合わせて2〜3セット行ったあと、次のエクササイズへ移る。
代替:バーベルの代わりにダンベル2個でも行える。
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