Street Fighter V’s Ryu
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Gaming

プレイしておきたい『ストリートファイター』シリーズ 名作10本

世界的に有名なCapcomの対戦格闘ゲームは2017年に30周年を迎えたが、その長い歴史を感じるためにプレイしてもらいたいシリーズ代表作を10本ピックアップした。
Written by Damien McFerran
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30周年を迎えたビデオゲームシリーズには数多くのマストタイトルが含まれているが、Capcomの『ストリートファイター』シリーズのマストタイトルの数は大半のライバルシリーズよりも多い。なぜなら、黄金時代だった1990年代に数々の続編、スピンオフ、バージョン違いが次々と世に送り出されたからだ。
ベルトコンベア的に次々とリリースされた『ストリートファイター』シリーズは、新作がリリースされるたびに出費しなければならなかった保護者にとっては悩みの種だったかもしれないが、その歴史には格闘ゲーム全体の美しい進化が確認できる。というわけで、今回は『ストリートファイター』シリーズ(もしくは『ストリートファイター』シリーズが関係しているタイトル)の中から、注目すべきタイトルを10本ピックアップしてみた。
01

『ハイパーストリートファイターII -The Anniversary Edition-』

『ストリートファイターII -The World Warrior-』は対戦格闘ゲームブームを生み出し、失速していたアーケード業界を復活させたゲームだったかもしれないが、今回のリストからは除外した。なぜなら、Capcomがほぼ年1回のペースでアップデート版を定期的にリリースしていたため、これよりも優れたバージョンが存在するからだ。それが、2003年にPS2でリリースされた『ハイパーストリートファイターII -The Anniversary Edition-』だ。『スーパーストリートファイターII X -Grand Master Challenge-』をベースにしているこの作品は、それまでにリリースされた『II』シリーズ5タイトルのキャラクターを収録している。家庭用ゲーム機専用タイトルとしてリリースされたあと、アーケードに舞台を移して『ストリートファイターII』シリーズ最後のアーケード版となった。このタイトルは、『ストリートファイター』シリーズファンにとっての『ストリートファイターII』の完成形だろう。
02

『ストリートファイターZERO3』

『ストリートファイター』シリーズ数をこれ以上増やすわけにはいかないと言わんばかりに、Capcomは1990年代中頃に “ZERO / ゼロ” シリーズを展開。これは、1987年にリリースされたオリジナルと『ストリートファイターII』の間に時代が設定されていたこの作品では、リュウ、ケン、春麗などが全て若返っていた。また、美しいアニメスタイルに変更されていたこのシリーズのグラフィックスも特徴のひとつで、『ストリートファイターII』よりもリアリズムが追求されていない。『ストリートファイターZERO3』は間違いなく『ZERO』シリーズの最高傑作で、ファンの間で人気が高いキャラクター(『ストリートファイターII』シリーズの全キャラクターも含まれている。これは全体の時間軸を複雑にする要因のひとつとなっている)が収録されている他、スーパーコンボや必殺技などもリファインされている。ドリームキャスト版とサターン版が高く評価されているが、サターン版は日本だけでリリースされた。
03

『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』

1994年に公開された映画版『ストリートファイター』の映像を使用したこの悲惨なバージョンをリストアップした我々を許してもらいたい。リストアップした理由は、一度プレイしてその酷さをしっかりと理解してもらいたいからだ。尚、このゲームを、アーケードで稼働していた『ストリートファイター ザ・ムービー』と混同してはいけない(大差はないが)。1995年にPS1とサターンでリリースされた『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』のグラフィックスは、『Mortal Kombat』シリーズからアイディアを拝借して映画の実写映像を取り込んだものだ。ゲームシステムは『スーパーストリートファイターII X -Grand Master Challenge-』をベースにしており、スーパーコンボも用意されていたが、全てがどこか間違っている。全体的にスピード感に欠け、格闘ゲームに不可欠な直感的な入力を不可能にしていた。グラフィックスも近年のスタンダードからは大きく劣っており(正直に言えば、1995年当時でも酷かった)、挿入されている映画のカットシーンも、映画がいかに酷かったのかを思い出させるだけのものだった。ビデオゲームの歴史の中では興味深い1本と言えるこのゲームは、本物の『ストリートファイター』シリーズがいかに素晴らしいかを理解するための反面教師的ゲームでもある。
04

『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』

『ストリートファイターII』シリーズが大ヒットしたため、正規続編の開発は避けられない状況にあったが、Capcomが『ストリートファイターIII』をリリースするまではしばらく時間がかかった。そして、いつも通り、Capcomは共通のゲームシステムに新機能やキャラクターを追加した様々なバージョンをリリースしていったのだが、一般的には1999年にリリースされた最終バージョン『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』が『ストリートファイターIII』シリーズ最高傑作と言われている。『ストリートファイターIII』シリーズのセールスポイントはスムーズなアニメーションと奥深いシステムで、タイミングとカウンターを戦術的に使用する必要がある。多くの『ストリートファイター』シリーズファンが、このゲームをシリーズのひとつのピークと考えている。
05

『ストリートファイターEX plus α』

Capcomは『ストリートファイター』シリーズを2D世界に上手く閉じ込めてきたが、PS1時代に3Dポリゴンを試している。『ストリートファイターEX plus α』という名前は何ともお粗末で、さらに言えば、完全な3D格闘ゲームでもなく、2Dのステージで3Dキャラクターが動き回るだけだったが、『ストリートファイター』シリーズの魅力は全て保たれている。3Dポリゴンのキャラクター陣は2Dに比べると表現力に欠けているが、アニメーションは美しく、ライティングも効果的だ。時に退屈に感じられた『鉄拳』や『ソウルエッジ』に比べ、このスピンオフは活き活きとしており、新鮮に感じられた。また、『ストリートファイターIV』と『ストリートファイターV』への布石になったという意味でも評価できる。
06

『Capcom Vs. SNK 2』

1990年代、CapcomとSNKはライバル関係にあり、両社は対戦格闘ゲームの覇権を争っていた。Capcomが『ストリートファイターII』をリリースしたあと、SNKが後追いで『サムライスピリッツ』や『餓狼伝説』、『龍虎の拳』、『King of Fighters』などをリリース。『King of Fighters』シリーズは日本のアーケードで『ストリートファイター』シリーズを凌ぐ人気を誇ったこともあった。よって、このように激しい戦いを演じていた両社のコラボレーションを予想していた人は当時ひとりもいなかったのだが、2000年に『Capcom Vs. SNK』がリリースされた。シーンを驚かせたこのゲームは高く評価されたが、2001年にリリースされた続編はさらに充実しており、2Dで描かれたキャラクターと3Dで描かれた背景を融合させていた。
07

『ウルトラストリートファイターIV』

Capcomは、2000年代の大半を『ストリートファイター』シリーズ以外の作品に注力するというクレバーな選択をしたが、2008年にシリーズの復活を決定。その結果として生まれたのが『ストリートファイターIV』だった。このゲームは、アクションこそ依然として2Dだったが、画面上の全てが美しい3Dで描かれていた。『ストリートファイターII』シリーズのオリジナルキャラクターが、新キャラクターや他のシリーズの人気キャラクターと共に顔を並べていたこのゲームもまた、2010年に『スーパーストリートファイターIV』へとアップデートされ、その後もいつも通りのシリーズ展開が行われた。その最終版『ウルトラストリートファイターIV』はリリースからすでに10年近くが経過しているが、今でもシリーズ最高傑作のひとつに数えられている。
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『ストリートファイターV』

『ストリートファイターV』はスタートダッシュに失敗した。なぜなら、Capcomが全てのモードや機能を揃えずにリリースしたからだ。しかし、奥深いシステムと楽しいゲームプレイ、そしてハイレベルなオンラインコミュニティを備えているこの作品は『ストリートファイター』シリーズのファンから支持されており、時間と共に大きく成長している。また、珍しいことに、Capcomはすでに『ストリートファイターV』をシリーズ化しないことを明言しており、その代わり、ファンのモチベーションを保つために、数ヶ月に1度のペースでDLCをリリースしている。
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『Marvel Vs. Capcom 2 New Age of Heroes』

Capcomが『ストリートファイター』シリーズの世界をMarvelの『X-メン』シリーズの世界と組み合わせることを思いついた1996年、空中バトルとアシストにフォーカスした、格闘ゲームの新サブジャンルが生まれた。2017年にリリースされた『Marvel Vs. Capcom: Infinite』もこのサブジャンルのひとつだが、ファンの多くは、2000年にアーケードで稼働したあと、ドリームキャストへ移植された『Marvel Vs. Capcom 2: New Age of Heroes』を同サブジャンル最高傑作だと考えている。3on3のシステムとMarvelとCapcomを代表する56人のキャラクターを備えているこのゲームは、格闘ゲーム史上に残る名作のひとつに数えられている。のちにPS3とXbox 360でダウンロード版がリリースされた。
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『Ultra Street Fighter II The Final Challengers』

2017年10月現在の『ストリートファイター』シリーズ最新作は、賛否両論のタイトルだ。『Ultra Street Fighter II The Final Challengers』は、表面上は、2008年にダウンロード専用タイトルとしてリリースされた『スーパーストリートファイターII TURBO HD Remix』に少し手を加えただけの作品に見える。また、モーションコントロールを使用する「放て!波DO拳」モードも、格闘ゲームへの侮辱と捉えられても仕方がない内容だ。しかし、このゲームはNintendo Switchにはパーフェクトと言える。Joy-Conが取り外し可能なため、どこでも対戦が楽しめるのは評価が高い。このゲームは、ある意味手抜きとも言えるが、十分な本数を売り上げており、ゲーミングの世界にはまだこのシリーズを愛している人たちが沢山いるということを改めて示した。