『Star Wars バトルフロント II』は素晴らしいゲームになりそうだ。そのグラフィックスと内容への期待は高く、『スター・ウォーズ』ゲーム史上最高の1本になるとも言われている。
世間の多くは今も「映画原作のビデオゲームはお粗末だ」という否定的な意見を持っているが、映画『スター・ウォーズ』シリーズは数々の名作ビデオゲームを生み出してきた。そこで今回は、『エピソード8/最後のジェダイ』が2017年末の公開を控えていることも踏まえ、『Star Wars バトルフロント II』が『スター・ウォーズ』ゲーム最高の1本の称号を賭けて戦う相手となる珠玉の “8” 本を紹介しよう。
1:『スター・ウォーズ ローグ スコードロン II』
実は、NINTENDO64でリリースされたこの作品の前作に相当する『スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊』も素晴らしいゲームだった。このゲームはNINTENDO64の周辺機器だったメモリー拡張パックに対応しており、4MBを追加することでグラフィックスとパフォーマンスの向上が実現されていた。しかし、その次にゲームキューブでリリースされた『スター・ウォーズ ローグ スコードロン II』は、任天堂が前年にリリースしたばかりのこの当時最新の家庭用ゲーム機を一気に有名にすると同時に、ドイツに拠点を置いていたデベロッパー、Factor 5をトップデベロッパーの地位に押し上げる役目も担った。
このゲームのシステムは非常にシンプルで、プレイヤーはX-ウイング、Y-ウイング、A-ウイング、更にはB-ウイングと、反乱同盟軍の様々な戦闘機に搭乗して宇宙を舞台にミッションやサイドミッションをこなしていく。そのタイトで面白いゲームプレイも素晴らしいが、このゲームはグラフィックスも見事で、更には『スター・ウォーズ』シリーズに登場するビークルや惑星などについての詳細な情報も収録されていた。『スター・ウォーズ ローグ スコードロン II』はプレイヤーをとことん楽しませてくれたゲームだったため、ゲームキューブを大きく飛躍させる助けになった。
2:『スーパー・スター・ウォーズ』
このスーパーファミコンクラシックはまだ輝きを失っていない。『スーパー・スター・ウォーズ』は美しくまとめられた横スクロールアクションのステージと、スーパーファミコンの特徴だったグラフィックスの拡大・縮小・回転機能(Mode 7)を活用した、ビークル(ランドスピーダーやX-ウイングなど)に乗り込む疑似3Dステージが用意されていた。
また、グラフィックス的にスーパーファミコン時代の最高傑作のひとつに数えられるこの作品には、MIDIで鳴らされる映画『スター・ウォーズ』シリーズのサウンドトラックも備わっており、記憶に残るゲーミングエクスペリエンスを提供した。尚、この作品がヒットしたことで、すぐに続編の『スーパー・スター・ウォーズ 帝国の逆襲』と『スーパー・スター・ウォーズ ジェダイの復讐』がリリースされ、両作品ともそれなりに素晴らしかったが、今でもチャレンジングで楽しめるオリジナルのクオリティには届かなかった。
3:『スター・ウォーズ エピソード1 レーサー』
こちらもNINTENDO64でリリースされたクラシックのひとつだが、『スター・ウォーズ エピソード1 レーサー』は原作の『エピソード1/ファントム・メナス』に登場するポッドレースをネクストレベルに進化させており、原作を完全に上回っていた。のちにこのゲームはドリームキャストに移植され、グラフィックスが更に向上したが、オリジナルのNINTENDO64版はコントローラーの特徴を活かした優れた操作性を誇っていたため、ドリームキャスト版と単純に比較することはできない。
『スター・ウォーズ エピソード1 レーサー』はレーシングゲームが中心に据えられており、『F-ZERO』や『マリオカート』に似ていたが、ゲームプレイはこれらよりチャレンジングで、何よりもスピード感に優れていた。ジェイク・ロイドのアナキン・スカイウォーカー役を今も残念に思っている人は多いが、少なくとも彼は素晴らしいモータースポーツと、それをベースにしたビデオゲームを残してくれた。今でも楽しめる1本だ。
4:『スター・ウォーズ ダークフォース』
映画『スター・ウォーズ』シリーズをベースにしたビデオゲーム群の中で初のFPSタイトルで、リリース当時は『DOOM』のクローンとされていた『スター・ウォーズ ダークフォース』は、FPSらしいカメラの首振り表現、複数の階層が用意されたステージ群、ジャンプアクションなどが用意されており、秀作FPSとして高く評価された。しかも、このゲームはFPSを様々な面で進化させており、たとえば、ライティングの表現も素晴らしく、軍事施設内の動力を復活させるなどのゲーム内目標と上手く噛み合っていた。
また、タイトルが示している通り、これは『スター・ウォーズ』エクスペリエンスとしてはかなりダークなもので、その独特の雰囲気は数々の後発ゲームの開発に繋がった。ちなみに、2016年に『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』が公開されるまで、オリジナルのデス・スター計画が盗まれた経緯が語られていた『スター・ウォーズ』関連の作品はこれだけだった。
ダークでユニークなナラティブとFPSを組み合わせたゲームは当時では珍しく、しかも、『スター・ウォーズ』ユニバースを舞台にした複雑で分厚いストーリーが楽しめたことから、このゲームは瞬く間に「クラシック」の地位を獲得した。
5:『スター・ウォーズ フォース アンリーシュド』
残念ながら現在は閉鎖されてしまったLucas Artsの「新しいテクノロジーで新しい地平を切り開く」という伝統に沿って開発され、メディアから高評価を得た『スター・ウォーズ フォース アンリーシュド』は、DMM(Digital Molecular Matter)とEuphoriaという2つの革新的なテクノロジーを用いていた。前者は現実世界そのままの動作が再現できる物理エンジンで、たとえば、ガラスは粉々に割れ、木は裂け、金属は曲がるなど、力や運動を加える対象によって異なる動作が再現できた。
サンドボックス型の世界に上手く組み込まれたこのような物理エンジンと、TVドラマ『GALLACTICA/ギャラクティカ』で知られるサム・ウィトワーが声を担当した主人公スターキラーの派手なフォースが楽しめたこのゲームは、プレイヤーにフォースの真の力と、周辺環境を滅茶苦茶にする喜びを与えてくれた。また、Euphoriaは物理ベースのアニメーションシステムで、キャラクターにリアルな骨格を与えることができた。よって、このゲームでは各キャラクターのアクションがあらかじめプログラミングしておいたアニメーションで表現される代わりに、プレイヤーの入力に骨格がリアルタイムに反応する形で表現される。このシステムはやや笑えるアクションを生み出すことにも繋がったが、ストームトルーパーをフォースでギッタンギッタンに振り回せるアクションは爽快で飽きがこなかった。
6:『Star Wars Jedi Knight II: Jedi Outcast』
ユニークなナラティブと目標クリア型のゲームシステム、そして当時のFPSの特徴だったスピーディなガンアクションを備えていた『スター・ウォーズ ダークフォース』は1990年代を代表するFPSタイトルのひとつになったが、このゲームにはひとつだけ欠けているものがあった。そう、ライトセーバーだ。よって、その続編に相当する『Star Wars Jedi Knight II: Jedi Outcast』は、カイル・カターンを “フォース感知力” が備わった主人公として用意することでこの課題を解決した。“フォース感知力を備えている” とは、分かりやすく言えば、「ジェダイになれる可能性がある」ということだ。
微妙なタイミングでリリースされたことから、『Star Wars Jedi Knight II: Jedi Outcast』の知名度は低いが、このフル3Dゲームは非常にユニークだ。このゲームは『スター・ウォーズ ダークフォース』をヒットさせたFPSの要素を維持しつつ、優秀な「ジェダイ・シミュ-レーター」としても機能しているが、何よりも素晴らしいのは、クールな武器の数々や大掛かりなミッション、友情、そしてフォースの力が詰め込まれたひとつの壮大なストーリーにまとめられているという点だ。ちなみに、ダークサイドに堕ちてストームトルーパーにフォース・ライトニングを浴びせることも可能だ。
7:『Star Wars: Knights of the Old Republic』
RPGというジャンルがこの世に生まれて以来、『スター・ウォーズ』シリーズのファンは、自分が愛するキャラクターと化してそのキャラクターが住むユニバースの中に身を置きたいと願ってきたが、BioWareが手がけた『Star Wars: Knights of the Old Republic』は、その願いを叶えてくれたばかりか、全員が夢のまた夢と思っていたことさえも実現してくれたゲームだった。
素晴らしい『スター・ウォーズ』ゲームであり、素晴らしいRPGでもあったこの作品は、『スター・ウォーズ』シリーズの広大なユニバースの中に位置する様々なロケーションを訪れて、アドベンチャーを体験したり、キャラクターになりきった最高の瞬間を味わったりすることができた。
またこのゲームの舞台は、銀河帝国が台頭する何千年も前に設定されていたため、我々の知らない『スター・ウォーズ』を教えてくれたゲームでもあった。最初はXboxでリリースされた、欧米のデベロッパーが開発した初の大作RPGの1本に数えられるこの作品は世界各国の『スター・ウォーズ』ファンに届き、また、自由に探索できるオープンワールド形式のデザインは次世代のRPGの基礎になった。
8:『Star Wars: TIE Fighter』
1990年代はLucas Artsの黄金時代だった。彼らはこの時代を通じて『スター・ウォーズ』をベースした数々のクラシックタイトルをPCゲーム市場に送り込んでいた。
同じく秀作だった『Star Wars: X-Wing』のある種の続編としてリリースされた『Star Wars: TIE Fighter』だったが、銀河帝国軍の戦闘機パイロットとしてプレイするという点が、『Star Wars: X-Wing』とは一線を画していた。また、プレイヤーは訓練を経てTIEファイターの正規パイロットの資格を得る必要もあった。とはいえ、このゲームは基本的にはシンプルなアクションシミュレーターで、TIEファイターに搭乗して、反乱同盟軍の戦艦に攻撃を仕掛けたり、不審な輸送船を調査したり、銀河帝国軍の重要な資源を守ったりするゲームプレイは、『スター・ウォーズ』ゲームに新しくてユニークなテイストを加えることになった。悪役としてのゲームプレイが非常に印象深いゲーミングエクスペリエンスをプレイヤーにもたらしたのだ。
また、そのようなシンプルなアクションシミュレーターながらダース・ベイダーやパルパティーンが登場するストーリーも破綻しておらず、また、MIDIで鳴らされる素晴らしいサウンドトラックも素晴らしい。