バスケットボールはストリートのものだ。必要なのはフープとボール1個だけで、誰でも楽しめる数少ないスポーツのひとつだ。
ストリートバスケ(ストバス / ストリートボール)はそのバスケットボールから派生した競技で、通常のバスケットボールよりも簡略化されたフォーマットが特徴だ。この競技では、バスケットボールのオリジナルルールが少し緩和されており、選手たちがスキルをアピールできるようになっている。
ストリートバスケの正確な起源は記録されていないが、ひとつ確実に分かっていることがある。それは、ストリートバスケのルーツは米国のニューヨークやワシントンD.C.などバスケットボールが盛んなエリアにあるということだ。
01
発祥の地はニューヨーク・ハーレム
貧困に苦しむ若者たちの大学進学を助けることを目的に、1950年にハーレムの教師ホルコム・ラッカーが地元の公園でバスケットボールトーナメントを立ち上げた。“ラッカーパーク” と呼ばれるこのコートは、やがて他のどこよりも多くの物語を生み出すアスファルトになる。
現在でも、毎年夏になるとここではベスト中のベストを集めたトーナメント「エンターテイナーズ・バスケットボール・クラシック(Entertainers Basketball Classic)」が開催されており、ストリートバスケのレジェンドやベテランのNBAスーパースターたちが一堂に会して競い合っている。
観客がフェンスや木々の隙間、建物の窓、さらには屋根の上からコートを見つめる中、ウィルト・チェンバレン、カリーム・アブドゥル=ジャバー、“Dr.J” ことジュリアス・アービング、アレン・アイバーソン、コービー・ブライアント、レブロン・ジェームズ、ジョン・ウォール、ハリソン・バーンズなどがプレーしてきた。
このトーナメントで選手たちが見せるダンクやクロスオーバードリブルなどは常に観客たちを沸かせてきたが、このようなプレーはかつてのNBAでは異質なものとして扱われていた。
02
新たなオーディエンスを獲得したストリートバスケ
1998年からシーンを先導してきたAND1 Mixtape Tourなどによって、近年のストリートバスケはメインストリームメディアでも取り上げられるようになっている。
Skip 2 My Lou、Hot Sauce、The ProfessorをはじめとするストリートバスケのレジェンドたちはESPNの中継で超絶ボールハンドリングスキルや驚異的ダンクを披露したことでワールドワイドな注目を集めた。
『City Slam』などのTV番組、さらには『ビート・オブ・ダンク』、『ハード・プレイ』などの映画もこのあとに続き、ラッカーパークをテーマに制作された2013年のドキュメンタリー『Doin' It in the Park』はストリートバスケの露出が大幅に増えるきっかけとなった。
03
独自のゲーム形式
ストリートバスケの誕生当時からのユニークな特徴は、フープがひとつしか使用されず、バスケットコートも半分しか使用されない点だ。コートの広さに限りがあることから、2人(1on1)から6人(3x3)までの間で楽しまれている(4人対4人も可能だが、フープひとつのスペースがすぐに窮屈になってしまうため、楽しまれることはほとんどない)。
ストリートバスケは世界各都市の学校や公園で楽しまれているコミュニティ的性格が強い競技と言えるが、より高い競技性を希求する選手たちの受け皿も存在している。
1on1制トーナメント【Red Bull King of the Rock】、3x3制トーナメント【Red Bull Reign】、同じく3x3制トーナメント【Red Bull Half Court】は、ストリートバスケの選手たちが才能を披露し、勝利と賞金を手にし、自国のストリートバスケを発展させるためのイベントとして考案された。
26分
オウン・ユア・ゲーム
レッドブル・ハーフコートは、レッドブルが主催する世界規模の3×3バスケットボールの大会だ。このドキュメンタリーでは、ローマで行われた世界大会の模様を、各国チームのプレーヤーの視点で振り返る。このシンプルなスポーツが、世界中の人々を魅了しつづけている理由が分かるはずだ。
04
【Red Bull King of the Rock】の登場:真のグローバルスポーツへ
【Red Bull King of the Rock】がスタートした2010年当初は米国西海岸の選手のみが参加対象だったが、この世界で最もタフな1on1トーナメントは瞬く間に世界的人気を獲得し、2016年まで開催された。
サンフランシスコのアルカトラズ旧刑務所で開催された【Red Bull King of the Rock】の初期王者には、アイザイア・“クラッチ”・ボーマン(2010年)、ヒュー・“ベイビーシャック”・ジョーンズ(2011年 / 2012年)、タロン・“ザ・ビースト”・ウィリアムズ(2013年)が名を連ねている。
2014年のファイナルは台湾で開催され、キバンク・ディンラー(トルコ)が優勝した。ディンラーは地元イスタンブールで行われた2015年ファイナルでも優勝して連覇を達成。最後の開催となった【Red Bull King of the Rock 2016】では、ステファン・コジッチ(セルビア)が栄冠を手にした。
【Red Bull King of the Rock】アンバサダーを務めたブレイク・グリフィンは、2013年に次のようなコメントを残している。
「【Red Bull King of the Rock】は私がこれまで足を運んだ中で最もクールなバスケットボールイベントです。会場の雰囲気や観客、選手などのすべてがストリートバスケの最高レベルですね」
グリフィンは【Red Bull King of the Rock】の国際性について次のように付け加えていた。
「ストリートバスケはもはや米国一強のスポーツではありません」
のちに【Red Bull King of the Rock】には女子部門も開設され、女子バスケットボール選手たちに思う存分スキルを競い合える機会を提供した。
05
3x3が人気を獲得
90年代および00年代初頭にグラスルーツと競技の両方で3x3が人気を獲得し、バスケットボールの国際競技を統轄するFIBA(国際バスケットボール連盟)がそれまで以上に強い興味を示すようになった。
そして2007年、FIBAは中国・マカオで開催されたアジアン・インドア・ゲームズで3x3を国際競技大会の公開競技に初めて選出。3選手ずつで構成された2チームがひとつのフープと半分のコートで対戦する3x3のフォーマットは瞬く間に高く評価され、FIBAは2010年にシンガポールで開催されたユースオリンピックで3x3を公式競技として採用した。
2012年以降、FIBAは3x3世界選手権と3x3ワールドツアーを主催しており、2017年にはラッパーのIce Cubeが3x3プロリーグBig3を米国で立ち上げた他、IOC(国際オリンピック委員会)が東京2020で3x3を公式競技として採用することを発表した。その東京2020では米国(女子)とラトビア(男子)が金メダルを獲得している。
06
【Red Bull Reign】から【Red Bull Half Court】へ:世界各国での発展
【Red Bull King of Rock】の成功を足がかりに新たな3x3トーナメント【Red Bull Reign】がレッドブルによって考案され、世界中各国で国内ファイナルが開催された。
その後、【Red Bull Reign】での学びを活かし、レッドブルが展開する3x3イベントは【Red Bull Half Court】へ進化。【Red Bull Half Court】は2021年に誕生したトーナメントコンセプトで、現在も開催されている。
1分
Red Bull Half Court World Final 2022:ハイライト
このトーナメントでは世界20カ国以上で国内予選が開催され、各国の国内予選を制したチームには最終決戦となるワールドファイナル出場権が与えられる。このようなフォーマットの【Red Bull Half Court】は世界最大規模のストリートバスケトーナメントとなっている。
ローマで開催された【Red Bull Half Court 2021】のワールドファイナルでは、世界最高の3x3プレイヤーのひとりに数えられるドゥシャン・ドモビッチブルトを擁するセルビア男子チームがロシアを下し、女子部門ではロシアがイタリアに勝利して優勝を手にした。
【Red Bull Half Court 2022】のワールドファイナルはエジプト・カイロで開催され、男子ファイナルではイタリアが日本を下して優勝し、女子ファイナルでは日本がオーストラリアに勝利してチャンピオンに輝いた。
22分
作品名【ボールイズライフ】
ギザのピラミッドを間近に臨む特設会場で、世界最大規模のバスケットボールトーナメント、Red Bull Half Court World Final 2022が開催され、スキル・スピード・決断力、どれを取っても世界に通じるスターたちが参加した。ストリートスタイルの最もシンプルなバスケットボールでは、試合を制するために何が必要なのかが浮き彫りになる。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!
関連コンテンツ