シュートコーチ “Lethal Shooter / リーサル・シューター” として数多くのNBA / WNBA選手をコーチングしてきたクリス・マシューズは、その実績が評価されたことで米国に留まらず、カナダ、ロシア、中国でも仕事をしてきた。
マシューズのバスケットボール・人生・シュートにおける哲学は、私たちのテスト・勉強・プレッシャーへのアプローチに活かすことができる。
「最初から今の自分だったわけじゃない」と米国・ワシントンD.C.で生まれ育ったマシューズは話を始める。
「成長、一貫性、マッスルメモリーの毎日の積み重ねなのさ。自分のヴィジョンをイメージし、雑念を取り除き、正しい仲間に囲まれ、悪い連中とは距離を取る。ドラッグやアルコールからも自分を遠ざけている」
「“完全に集中し、意志を強く持った状態” に自分をロックしておく」という彼のモットーは、個人的な経験から得たものだ。
「スポーツは、やった分だけ返ってくる世界だ。安定したパフォーマンスが求められるバスケットボールは特にそうだね」
スポーツで努力を重ねればその分だけスキルが伸びるが、同時に一貫性も得ることができる。
世の中の試験やテストはバスケットボールの1クォーターと同じくらい短時間で終わってしまうが、私たちはその一瞬で自分に何ができるのかを証明しなければならない。一貫性を得ることができれば、そのような状況でも自信が生まれてプレッシャーを最小化できる。
マシューズは「人生のどの局面でも、一貫性を得られれば良い結果を残せるようになる」と続けている。
また、バスケットボールでも勉強でも、自分の邪魔になるものを遠ざけておくことも重要だ。
現在35歳のマシューズは、自分たちの世代と若い世代との大きな違いは「ソーシャルメディアからのプレッシャー、瞬間的満足・¥パーフェクトへのプレッシャー、常にクールに見せなければならないプレッシャー」にあるとしている。
だからこそ、マシューズは自分を信じてくれているポジティブな仲間を周囲に置くことが重要だとアドバイスを送っている。
失敗は成功の一部
「今の子供たちは、僕たちの時代よりも激しい鬱に悩まされるようになっているし、パーフェクトでいなければならないというプレッシャーにも晒されている。多くの子供たちが失敗を恐れるようになっているんだ」
「でも、失敗は成功の一部だということを理解する必要がある。失敗しないで成功を手にした人なんていない。朝起きたら素晴らしい人物になっていた、なんて話はありえない。努力を重ねていく必要がある。それぞれの才能を磨いていくんだ」
「成功は失敗の直後に待っているのさ。失敗しても諦めなければね」
マシューズはコーチになろうという強い意志を昔から持っていた。なぜなら、ドラッグ・暴力・銃犯罪が日常だった子供時代にメンターたちが与えてくれたエナジーとモチベーションを次世代に伝えたかったからだ。
「僕のメンターたちは、僕を優れた人間にするために僕を導き、僕にモチベーションを与えてくれた。だから、“僕もコーチになりたい。誰かに何かを教え、その人の人生にモチベーションを与えられるほど素晴らしいことはない” と思うようになったんだ」
「バスケットボールは人生を理解する助けになっている」