German DJ and gaming music producer TheFatRat.
© Christian Büttner
ミュージック

TheFatRat:ビデオゲームとEDMから愛されるDJ / プロデューサーのキャリアと魅力

顔は知らなくてもサウンドは知っている…。『Dota 2』や『ロケットリーグ』のサントラへの参加で知られるビデオゲームとEDMシーンで活躍するドイツ人アーティスト、TheFatRatを紹介。
Written by Dominik Sander
読み終わるまで:4分Published on
世の中には特定のジャンルを体現しているDJDiploのような万能タイプのDJがいる。そして、ドイツ・ゲッティンゲンには2つの異なるシーンから平等に愛されているDJ / プロデューサーがいる。
キャッチーなメロディと豊富な才能を備えているChristian Büttner aka TheFatRat合計700万人ビデオゲームファンEDMファンから愛されている希有な存在だ。
ビデオゲームはニッチな分野から最も包括的なアートフォームへ進化した
TheFatRat

著作権を意識しない

クラブでのパフォーマンスではなくインターネットミックスで知られるようになったTheFatRatの急速な人気獲得は、ノルウェー人アーティストのAlan Walker(「Fade/Faded」)やトロピカルハウスのパイオニアKygoのそれに似ている。
すべては2011年に立ち上げたチャンネル登録者数は数千人のYouTubeチャンネルからスタートしたが、TheFatRatが他と決定的に違うのは「YouTubeやソーシャルメディアで自分の作品のコピーライト / 著作権を要求しない」という非常に珍しいビジネスアプローチだ。
TheFatRatはファンが自分の作品を完全無料で自由に使えるようにしており、彼のトラック群は今も全員に開かれている。
「今は自分のレーベルThe Arcadiumを持っているけど、僕のアプローチは変わらない。僕の音楽をみんなに楽しんで欲しいし、クリエイティブなリミックスや『マインクラフト』を使ったミュージックビデオやダンスビデオ、YouTubeSoundCloudのピアノバージョンを聴くのを楽しみにしているんだ」
今をときめくDJ / プロデューサーはRedBull.comのインタビューでこのように語っている。

10分

TheFatRat: Everything you ever wanted to know about him

From Super Nintendo to turntable, Christian Büttner aka TheFatRat became a star overnight with his track “Unity”. Here you will find everything you ever wanted to know about him

TheFatRatがビッグブレイクを果たしたのは、メロディックなグリッチポップ「Unity」がリリースされた2014年だった。現在チャンネル登録者数3,540万人を誇るエルサルバドル出身のYouTubeスターFernanflooがこのトラックを自分の投稿動画のイントロとアウトロに使用したのがきっかけだった。
「Unity」の再生回数は1日数百回から一気に1日25万回まで上昇し、続けてリリースされた「Windfall」、「Xnogenesis」、「Manody」などの効果もあり、TheFatRatの音楽は合計1億7,000万回を超えた。
TheFatRatのトラック群の共通点のひとつがオーケストラ的なサウンドだ。オーケストラに所属していた経験を持つ本人は、自分の音楽性は今も学校で音楽を教えている母親から譲り受けたものだとしている。
現在40歳のTheFatRatは、少年時代はピアノを得意としていたが、今は楽器を一切使わず頭の中で作曲する時もあるとしている。

eスポーツシーンのスーパースターDJ

ドイツの音楽系YouTubeチャンネルのランキングで、TheFatRatのチャンネルは国内の他のビッグネームに大きく差を付けて1位に輝いている。Robin Schulz295万人)とFelix Jaehn34万人)を合わせてもTheFatRatのチャンネル登録者数434万人(2020年2月現在)には遠く及ばない。
ゲーミングシーンからの熱烈な支持を考慮すれば、TheFatRatのチャンネル登録者数1,000万人は十分可能な数字と言える。現在ゲッティンゲンのスタジオに置かれているYouTubeゴールドクリエイターアワードダイヤモンドクリエイターアワードに変わるのは時間の問題だろう。
TheFatRatのキャリア最大のパフォーマンスのひとつが伝統的な音楽専用施設やフェスティバルではなく、ドイツ・ケルンのランクセス・アレーナで15,000人を集めて開催されたESL Oneだったという事実は、彼のキャリアと音楽の特徴を雄弁に語っているが、ステージでパフォーマンスをしていない時や、『Dota 2』や『ロケットリーグ』のようなビデオゲームのサウンドトラック制作をしていない時は何をしているのだろうか?
答えは「ビデオゲームをプレイする」だ。
レインボーシックスシージ』のようなFPSや『Monkey Island』のようなクラシックタイトル、または4歳の娘Flaviaと『マリオカート』をプレイしているTheFatRat(元々これはゲーマータグだった)は、ビデオゲームについて次のように語っている。
「ビデオゲームはニッチな分野から最も包括的なアートフォームへ進化した」
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